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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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ソニーは28日、グループ経営方針説明会を開催。2006年を目処に営業利益率10%を目指すグループ変革プランを「トランスフォーメーション60」と命名し、事業の改革を行なっていくことが明らかにされた。 トランスフォーメーション60は、同社の創業60周年となる2006年に、営業利益10%を達成することを目指した経営方針で、「事業の場の明確化と技術、リソースの集中による成長戦略の実行」と、「事業収益構造の変革」2つを中核としている。
同社会長兼CEOの出井伸之氏は、'96年度と比較して利益率の低下が起きている要因を解説しながら、「グローバルカンパニーであれば、少なくとも営業利益10%は必要条件だ。ソニーは2006年に60才の還暦を迎えるが、もっと筋肉質になる必要がある」とし、トランスフォーメーション60の具体的な内容を語った。 まず、事業の明確化に関しては、「エレクトロニクス事業の融合」をポイントにあげた。2006年に向けて、エンジニアリングリソースを集中し、半導体やキーデバイスをベースに、ホームエレクトロニクス/モバイルエレクトロニクス領域において融合戦略を展開するという。
半導体開発を推進するために、セミコンダクタソリューションズネットワークカンパニーを新設し、SCEI社長で、ソニーのゲームビジネスグループ、ブロードバンドネットワークカンパニー担当副社長の久夛良木健氏が、カンパニーのNCプレジデントに就任する。 同カンパニーでは、半導体やキーデバイスの内製率を高めることで、ホーム/モバイルエレクトロニクス製品の付加価値向上を図る。具体的には以下の取り組みがあげられている。
なお、同日付でサムスン電子と第7世代液晶パネル製造の合弁会社を設立することが発表されているが、全てをこの合弁会社でまかなうわけではなく、液晶の調達も引き続けていくという。PDPについては「将来も調達で行く」とした。なお、提携先がサムスンとなった理由については、「(パネルの)大きさと生産力を求めた」という。 また、反射型液晶パネル「SXRD」についても、現在の採用製品はクオリアブランドのプロジェクタ「Q004-R1」のみだが、「将来的にはグランドベガなどにも発展させ、プロジェクタをプッシュしていく」とした。 さらに、出井氏は現在のコンシューマ家電市場は、「Dellがテレビを発売したり、マイクロソフトがMedia Center Editionを投入するなど、業界の境目がなくなっている」と分析、これらが含まれるデジタル家電の市場は40兆円規模と分析する。 その市場を同社は、「ホームエレクトロニクス」と、「モバイルエレクトロニクス」の2つの領域にわけ、積極展開していく。ホームエレクトロニクスには、ベガなどのテレビや、コクーン、PSXなど、モバイルエレクトロニクスは、バイオやウォークマン、サイバーショット、ハンディカムなどの製品が含まれる。 ホームエレクトロニクス分野では、次世代テレビの開発、エレクトロニクスとゲームの融合による新市場創造、HD(ハイビジョン)の加速をポイントにあげた。 次世代テレビでは、フラットパネル化を進め、高画質/高品位/大画面を追求するという。また、デジタル化やネットワーク化、専用のメディアプロセッサーの開発などが重要課題として説明された。 エレクトロニクスとゲームの融合に関しては、PSXを皮切りに、Cellをベースにしたホームサーバーへの発展を目指すほか、次世代光ディスクの「UMD」をメディアプラットフォームとして活用していくという。 モバイルエレクトロニクス分野では、内製キーデバイスの強みを生かし、ソニーが得意とするビデオカメラやデジタルスチルカメラ等のデジタルイメージング領域でのNo.1ポジションを堅持し、非接触ICカード技術FeliCaをソニーの広範な商品群へ積極的に展開する。
収益構造の変革においては、同社社長兼COOの安藤国威氏が解説。戦略事業への集中や、間接および販売部門を中心とした人員削減、非生産材の調達改革などを通じて、2006年度までに固定費を連結で約3,300億円削減するという。これにより、営業利益が約4%向上し、「もし、エレクトロニクスの売上が伸びなくても、10%の利益率を確保できる(出井氏)」という。 製造物流サービス拠点を2002年度比で約3割減らし、スペースの効率化も図っていく。また、これに伴い全世界で約20,000人(国内7,000人)の人員削減も予定している。 そのほかにも部品の標準化により、現在84万店ある登録部品を、2005年末までに約10万点に削減。そのうち約2万点をソニー指定標準部品に認定し、全社で利用可能とするという。また、サプライヤーも法令遵守、グリーン調達などの観点から、現在の約4,700社から1,000社に集約し、戦略的なコストダウンを図る。
新たに、セミコンダクタソリューションズネットワークカンパニー NCプレジデントとなった久夛良木健副社長は、同カンパニーの取り組みを「ソニーグループにとっての本当の総力戦」と切り出し、「ゲーム、CE、エンターテインメントにわたる全てに関連したロードマップを作成し、遂行していく」と意気込みを語った。 半導体は、デジタル家電をメインに、携帯電話やゲーム、エンターテインメントなどの全ての市場を見据え、「未来の新市場を創造する」という。また、ソニーグループの強みを「キラーアプリケーションとなる、映画やビデオなどのコンテンツを自ら持っていること」とし、関連各社と協力していくことをアピールした。
なお、「次世代のネットワークプロセッサであるCellも、今後のさまざまなCE機器に内蔵される」とし、「より積極的に最先端テクノロジを投入し、ある意味、市場のモルモット的役割を引き受ける。水平化された部品を使うのでなく、明確に差別化された製品を何処よりも速く、どこよりも高い技術で、もっともお手ごろにお届けする」と語る。 また、ホーム/モバイルエレクトロニクスの展開についても、「こうしたデジタル家電の世界は、夢の話ではなく、現実となってきている。例えば、平面ディスプレイは、私が入社したときは夢、SFの世界だったが、今は現実のモノとなっている。デジカメはフィルムの解像度を超えつつあり、ネットワークを介して世界中に自分の目をどとけることができる」など技術の進歩について言及。 「ネットワークで接続されて、リアルとサイバーの統合された姿が次世代のデジタルエンターテインメントとなる」と述べ、デジタル家電のロードマップを提示。「2005~6年に投入予定のプロセッサCellで、テレビと家庭のエンタテインメント機器を使った、ブロードバンド自体の時代の新しいパラダイムを拡大していく。PSXはそのプロローグである」とし、Cellによりメディア体験も、異なる次元に突入すると説明した。 さらに、Cellと同時期にテレビなどに内蔵する「メディアプロセッサ」を開発していることも明らかにした。これは、「映像の高密度、高fps化が進めば、まったく新しいプロセッサが必要となる」とだけ解説されるにとどまり、詳細については明らかにされなかったが、「これは非常に重要なデバイスと考えている」とだけ語った。
□ソニーのホームページ (2003年10月28日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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