◇ 最新ニュース ◇
|
||
【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
||
|
松下電器産業株式会社は9日、2004年度の経営方針説明会を開催した。説明会では、2001~2003年までの中期経営計画「創生21」の総括が行なわれたほか、2004~2006年までの中期経営計画「躍進21計画」を発表した。 中村邦夫社長は、「2004年から2006年までの中期計画を、“躍進21”とする」とし、「“ユビキタスネットワーク社会の実現”と、“人類と地球環境の共存に貢献する”という21世紀の事業ビジョンを掲げ、“躍進21”を実践、成長、加速していく。松下電器が2010年に目指す姿として“お客様価値創造企業”という目標を設定した。その実現に向け、中間点の2006年を躍進21の目標とし、営業利益率5%以上、CCM(Capital Cost Management:資本収益性)ゼロ以上を実現する」と語った。
2001~2003年までの中期計画「創生21」では、破壊と創造をキーワードに、家電流通や雇用構造、ものづくりの改革を行ない、事業ドメイン制や、キャッシュフロー経営、ブラックボックス技術の導入などを行なった。その結果、商品力の向上やシェアの奪回を実現し、業績も2001年の大幅赤字を底に、V字回復を実現した。また、グローバルでのPanasonicブランドへの統一により、ブランド価値の向上を図るなどの取り組みが紹介された。同社では、業績の回復は果たしたが、「業績を潜水艦にたとえると、潜望鏡がようやく水面にあるが、船体は水面下にある」と、業績向上にもかかわらず、危機感を抱いていることを表現した。
新しい中期経営計画の「躍進21」では2010年を見据え、従来の発想を根本から変えるという意気込みで策定したという。また、躍進21のポイントとして、デジタルAV機器、アプライアンス、デバイスで、多用で豊かなユビキタスライフを提案する“ユビキタスネットワーク社会の実現”と、生活を向上させながら、環境負荷を極力減らした製品作りをあらわす“人類と地球環境の共存に貢献する”を挙げた。 戦略商品となる「V商品」には再定義が行なわれ、独自の“ブラックボックス技術”、環境や人にやさしい“ユニバーサルデザイン”、“省エネや省資源など環境への配慮”の3点を満たしていることを必須条件に挙げた。2004年度は71品目で約1兆5,000億円の売上を目指すという。
事業ドメインごとに柱を持つために、AVC社では、フラットパネルテレビの「VIERA」やDVDレコーダの「DIGA」でグローバルで高いシェアを獲得、事業の柱として育ててきた。新たに躍進21では、「デジタルカメラ」もその柱として、開発/製造/販売が一体となって力をいれ、これらを“3本柱”として展開していくという。 デジタルカメラの世界市場は、2006年に約5,500万台と予測されており、「手ぶれ補正技術」や「非球面レンズ」などのブラックボックス技術で、この市場でシェア10%を目指す。 設備投資では、PDP関連で600億円を投資し、今春茨木第2工場を稼動するなどで年産150万台体制を確立する。半導体関連では、2004~2005年度に1,300億円を投資し、魚津に新工場を設立、システムLSIを強化することで、商品力の向上を目指すという。 また、デジタルテレビのインターネットサービス「Tナビ」や電子書籍「Σブック」などの新たな取り組みや、ドラム式選択乾燥機やネット家電など新たなライフスタイルの提案も引き続き行なっていくという。
技術開発については、10年ビジョンを策定して毎年検討を加えるほか、技術ロードマップを共有し、積極的な選択と集中をはかり、生み出した技術の業界標準化を目指す。効率化や選択と集中により、研究開発費も2006年まで段階的に減らし、売上高に占める研究開発比率7%以下を目指すという。 市場展開については、海外を「成長エンジン」と位置づけ、引き続き世界同時発売、垂直立ち上げを実践していくとともに、先進的な機器の投入による先行者利益の獲得、2005年度の中国事業売上1兆円を目指すという。また、2003~2004年度の2年間でグループで1,000億円のコスト削減を目指す。 こうした取り組みにより、躍進21では、2006年度の売上高8兆2,000億円、営業利益4,100億円に目標設定。さらに、営業利益率5%、CCM ゼロ以上を達成し「成長軌道の確保を成し遂げる」という。なお、今年の経営スローガンは、「次代を拓く(Blaze a Trail to a New Era)」。
質疑応答では、「DVDレコーダ市場では、PSXやスゴ録でソニーが攻勢をかけているが?」との質問も出たが、「おかげさまで、DVDレコーダは好調で、年末少し品切れを起こすほどだった。これを踏まえて、シンガポール、大連の生産を拡張し、月産40万規模とする。2004年の世界市場は1,200万台を上回ると予測しているが、月産40万台で進めると480万台で、グローバルシェア40%を実現できる。新製品も投入し、2004年も好調に推移すると考えている(中村社長)」と、自社の好調さをアピール。 デルや、韓国、中国勢の家電の参入については、「テレビだけとっても、日本のテレビメーカーの絵作りは50年の歴史がある。簡単に真似できない。日本のテレビメーカーがもっているブラックボックス技術と言えると思う」と日本メーカーの技術力への自信を覗かせた。 また、「創生21の目標も営業利益率5%だったが、実現できなかったのはなぜか?」との質問には、「一般的に利益率が高い企業は、事業の集中と選択を極めて早い段階で行なった会社。松下もかなり速いスピードで取り組んできたが、間接部門の生産性が低かった。3年間で1,200億の投資を行ない徹底的なIT化により、生産性の向上を図った。これは躍進21でも継続していく」と回答した。 □松下電器のホームページ (2004年1月9日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
|
|