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ソニー、2004年度経営方針を説明
-レコーダの共通仕様を構築。Cellは2006年以降に


出井伸之会長兼グループCEO
5月19日開催


 ソニー株式会社は19日、2004年度のグループ経営方針について都内で説明会を開催した。出井伸之会長兼グループCEOをはじめ、各グループの担当役員8名が登壇。今年度の重点施策として、「構造改革の着実な実行」、「エレクトロニクスの成長戦略」、「エンタイテイメントの融合戦略」、「グループ経営の進化」を挙げた。


■ デジタルレコーダの共通プラットフォームを構築

構造改革による固定費削減の効果

 同社では、2006年に営業利益率10%を目指す変革プラン「トランスフォーメーション60」を実行している。中心となる構造改革について出井会長は、「中国でのオペレーションを増やすなど、グローバルでの人員再配置が進行中」と説明。「2003年度に使った構造改革費用は、2004年に効果を現す。固定費削減効果は、累計で2004年度に880億円、2005年度に1,400億円となる」と、将来性を訴えた。

 構造改革の具体的な進捗状況としては、日本・北米・西欧を中心に約9,000人を削減したほか、成長領域への人材シフト、最適配置を実施。また、生産、物流、、サービスの各拠点を集約し、約1割削減している。調達面では、サプライヤーを4,700社から2,400社に、部品点数を80万点から40万点へと削減した。

 同社は現在、全体の53%を国内で生産しているという。キーコンポーネントは国内で、労働集約的な組立作業は中国、メキシコ、東欧で行なっている。

 エレクトロニクス分野では、各ドメインを「Home Electronics」と「Mobile Electronics」に集約し、技術とリソースの融合を目指す。部門統合によるホームエレクトロニクスネットワークカンパニー(HENC)の新設もその一環。半導体についても「ソニーとSCEを1つにまとめて次のキーデバイスになる強い半導体を創る」(久夛良木健 副社長兼COO)とし、キーデバイスが製品の差異化を促すとした。そのためのオペレーションを徹底強化するという。イメージとしては、「水平分業型で競争力を維持する一方、(キーデバイスを共用するなど)グループ内での垂直統合も組み合わせる」(出井会長)としている。

エレクトロニクス事業をHomeとMobileに集約 コアデバイスとしてSXRD、ブルーレイ対応3波長記録ヘッドなどを紹介

 Home Electronicsは、ゲーム分野および半導体分野と共に、久夛良木副社長が担当する。なお、Home Electronicsに含まれるバイオは、2003年度にシェアを伸ばし、収益性を高めたという。

 出井会長は、フラットテレビを合わせたテレビ分野で国内シェアトップのポジションを得たことを「商品力の回復」に結びつけた。また、デジタルレコーダについては、「2003年末から春にかけてシェアを伸ばしたことで、情報家電市場への出足は良かった」(同)と説明した。

 久夛良木副社長は、今後は収益性を高めるため、スゴ録、PSX、コクーンにまたがる各シリーズに対し、「キーデバイスやソフトを含めた共通のプラットフォームを構築したい」と語った。

 Mobile Electronicsは、携帯電話、デジタルカメラ、カムコーダー、ポータブルオーディオなどが含まれる。出井会長は「現在、AVが携帯電話と融合するなど、『個電』として新しいカテゴリービジネスが生み出される可能性がある」と期待を述べた。

 Mobile Electronicsを担当するのは、副社長兼COOの高篠静雄氏。「2003年度はヒット作品が出て順調だった。2004年度はこの勢いを駆りたい。デジタルカメラ、カムコーダー、特にDVDカムコーダーが市場を引っ張っている状況」と説明し、「社内で『ポケットを制するものは未来を制する』といってきた。絶対に競合相手に勝ち続ける」との意気込みを見せた。

久夛良木副社長は“半導体コアデバイスの集約”というPSPを掲げた 「DVDカムコーダーが市場を牽引している」という高篠副社長

 なお、2005年3月に開幕する「愛・地球博」(EXPO 2005:愛知万博)において、同社がスクリーンサイズ10×50mのプロジェクタによる出品を行なうことを明らかにした。新開発の技術を投入するという。「今まで見たことのない画を見せるつもり」(出井会長)。


■ MGM買収は「慎重に事を進めている」

ハワード・ストリンガー副社長

 音楽、映画事業などのエンターテイメント分野は、元SCA会長のハワード・ストリンガー副社長兼COOが担当する。

 ストリンガー副社長は2003年について、「黒字転換した重要な年。音楽は海賊版などの問題もあったが、収益は上がった」と報告。2004年も「SPEでは7本の作品が収益を生むなど、幸先が良い。今夏のスパイダーマン2も期待できるし、ダウンロードサービス『Connect』も始まった」と期待を寄せ、「2004年は極めて順調」と予測した。

 なお、MGMの買収については「慎重に事を進めている」とコメント。進捗状況についての公表はなかった。

 Connectと国内ダウンロードサービスとの統合については、出井会長が「日本と米国では市場形態が異なる。日本と同じように大手レコード会社をすべて集めるのは無理。まだ試行錯誤の段階だが、3、4年後には同じような形態になっているかもしれない」とコメントした。なおConnectでは、今年後半にビデオのダウンロードサービスも検討しているという。

各グループの構成

 グループ経営については、これまで同様にGH(グループハブ)を中心とした統合と分離のモデルを推進する。出井会長は「ピラミッド型ではなく協調分担型。遠心力、求心力が働いた形態を目指す」と説明。グループ経営の仕組みとしてのチャレンジでもある」という。そのなかでもGHの役割を充実させ、グローバルサプライチェーンの強化などにつなげるとした。

 また、B2Cダイレクトビジネスを強化し、PSBG(パーソナルソリューションビジネスグループ)において可能性を追求するとした。PSBGには、新規のビジネスモデル構築を率先してきたというNACS(ネットワークアプリケーション&コンテンツサービスセクター)を統合する。GHおよびPSBGの担当は安藤国威社長兼グローバル・ハブプレジデント。

 2004年度は構造改革の途上にあることから、またキーデバイスへの研究投資が続くこともあり、出井会長は今年度を「2006年に向けて基礎固めをする。派手なことをやらず、足元を固める時期」とまとめた。

 なお、2006年を変革の目標に据えた理由について、出井会長は「将来はネットワーク化により、個人が力を持つようになる。人々の選択基準が変わることで、企業や技術のあり方が変わるだろう。宣伝・広報などメディアへの価値観も変わり、マスプロダクトで物を売っていく流れも変化する。これはエレクトロニクスだけでなく、全体の変革に及ぶだろう。その臨界点が2006年かと考えている」と語った。

 また、久夛良木副社長はCellについて「ゲーム製作用のワークステーションに加え、次世代ゲーム機、デジタルテレビ、ホームサーバーなど利用できる領域は多い。2006年以降に展開したい」と発言した。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/info/presen/mr_keiho/20040519/
□関連記事
【2003年10月28日】ソニー、経営方針説明会を開催。エレクトロニクス事業の融合へ
-Cell世代の家電用プロセッサの開発に言及
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20031028/sony1.htm

(2004年5月19日)

[AV Watch編集部/orimoto@impress.co.jp]


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