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三菱、「REAL」シリーズ発表会でテレビ事業戦略を解説
-60型で奥行き20cmを実現するリアプロ光学エンジンも


5月26日開催


 三菱電機株式会社は26日、新テレビシリーズ「REAL」の発表会を開催。液晶テレビ新製品6機種を6月21日より順次発売する。

 発表会では、既報の新製品のほか、同社のテレビ戦略について解説され、2004年度内にPDPやリアプロジェクションテレビを投入することを発表。また、超薄型DLPプロジェクションテレビを実現可能な光学エンジン技術も発表され、今後の製品展開に生かしていくことが明らかにされた。

大草文夫 リビング・デジタルメディア事業本部長

 発表会では、同社執行役副社長 リビング・デジタルメディア事業本部長の大草文夫氏が、同社のデジタル家電、テレビ製品戦略を解説した。

 地上デジタル放送の普及世帯は2004年中に約5%超の250万世帯となる見込みで、「対応機器は、普及率が10%を超えると、急速に普及のスピードがあがる」とし、「大画面・高画質テレビの土壌が整った。事業参入する絶好のチャンス」とし市場参入の理由を語った。

 また、直視型はCRTからPDP/液晶へ、投写型はVP管から、DLPやLCoS、透過型液晶に移行しているが、同社では多種多様化するデバイスの中から、特定のデバイスに特化しない「マルチデバイス」戦略を採用する。

 液晶やプラズマパネルの自社生産を行なわず、調達により確保し、最終製品の性能やサイズ、価格を検討しながら、最適なデバイスを選択していく。パネルを調達すると他社との差別化が図りにくいという意見については「供給元とは単なる調達関係を超えた関係を築きながら、独自の圧縮技術や映像処理技術、光学系技術、半導体技術などにより、差別化を行なっていく」という。

 今年の製品ロードマップについては、今回発表した液晶テレビのほか、9月に21/25/28/29/32型CRTテレビを投入。さらに、年度内に42V型と50V型のPDP、62型のDLPリアプロジェクションテレビを投入することを明らかにした。

大画面テレビ市場参入の理由 独自技術でREALシリーズを差別化 製品ロードマップ

古賀良男 リビング・デジタルメディア事業本部 副事業本部長

 続いて、同社リビング・デジタルメディア事業本部 副事業本部長の古賀良男氏が、REALシリーズの解説を行なった。

 REALシリーズでは、10~20インチまでの製品を「パーソナル」、21~39インチまでを「リビング」、40インチ以上の製品を「ニューリビング」と定義。パーソナル/リビングまでをCRTと液晶でカバーし、ニューリビング領域の40~60型までをPDP、50~60型以上をリアプロジェクションテレビで製品展開するという。

 REALシリーズでは、“REALTYの追求”という意味と、リアルフルHDの放送をそのまま表示するなどの意味を込めて命名されたという。また、従来は40V型以上の領域を「ホームシアター」と定義していたが、ハイビジョン放送の浸透により、一般層にも魅力的な領域となったと分析。新たに、「ニューリビング」という定義で製品展開を図るとした。

 古賀氏は、続いてDiamond Engnie IIや省スペース設計による、設置製の高さなどを例に挙げ、新REALシリーズの特徴を紹介した。目標シェアについては、「CRTでの約15%のシェアがあり、それを液晶でもキープしたい」という。また、他社の競合製品と比較した際の最大のアピールポイントとしては、Diamond Engine IIなどの独自技術を挙げ、「特に画素変換、視覚特性の補正技術による画質の違い」をアピールした。

REALシリーズのコンセプト パーソナル、リビング、ニューリビングの3つの領域を定義

先端技術総合研究所 久間和生所長

 続いて、同社先端技術総合研究所の久間和生所長が、DLPプロジェクションテレビ用の超広角光学エンジン技術について解説した。今回発表の「超広角光学エンジン」の採用により、60インチ超のリアプロジェクションテレビで、奥行き20cm以下を実現できるという。

 通常リアプロジェクションテレビでは、光学エンジンから背面ミラーに投射し、それをスクリーンに映し出す垂直投射方式を採用している。しかし、垂直投射方式の場合投射距離が、60インチ超の画面サイズで約50cmの投射距離が必要となるため、リアプロジェクションテレビの薄型化を阻む要因となっていた。

 三菱電機では、光学エンジンと背面ミラーの間に非球面ミラーを設置することで、投射距離を短縮する斜め投写方式を採用した、26cm厚の業務用途向けDLPリアプロジェクタを2002年12月に発売している。

 今回の「超広角光学エンジン」は、投写レンズのレンズ配置の見直しや、非球面ミラーの形状最適化により、160度という超広角での投写が可能となった(従来は134度)。新エンジンの採用により、60インチ超の大画面で、奥行き20cm以下のプロジェクションテレビが実現可能となるという。

従来製品と新方式の比較 超広角光学エンジンの構造 まとめ

 今後は量産技術を確立を図り、2005年頃の製品化を目指すという。久間所長は、具体的な製品イメージとして、60~70型の大画面を20cm以下の薄型で実現したプロジェクションテレビや、奥行き26cmと従来と同等ながら、背面ミラー無しで低コスト化を図った60~70型などの応用例を挙げた。

 発表会場では、超広角光学エンジンを利用したデモや製品モックアップを展示。2004年度投入予定の42V型PDPも展示していた。

投写デモを実施 超広角光学エンジンを利用した製品のサイズイメージ

参考出品の42V型PDP「PD-42MW3」。参考出品となっているが、発売予定の製品とほぼ同仕様という。VGAパネルを採用し、Diamond Engineを搭載。地上/BS/110度CSデジタルチューナは内蔵せず、価格は40万円弱の見込み 米国で7月発売予定の62V型DLPリアプロジェクションテレビ。日本で発売予定の製品も本製品をベースにチューナなどの変更を行なう見込み 米国向けの82V型LCoSリアプロジェクションテレビ

参考出品の7mm厚の「平面スピーカー」。支柱部がキャビネットになっており、スタンドベースはサブウーファを兼ねている。DIATONEのロゴが記されている 横から見ると薄さがわかる LCD-H37MRH4(右)と他社製37V型液晶テレビの比較

□三菱電機のホームページ
http://www.mitsubishielectric.co.jp/
□関連記事
【2002年9月20日】三菱電機、奥行き26cmの59V型DLPリアプロジェクタ
―天体望遠鏡「すばる」の開発メンバーも参加
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020920/mitsu.htm

(2004年5月26日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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