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CATVの総合展示会「ケーブルテレビ 2004」が開幕
-HDMI出力と160GBのHDDを搭載したSTBなど


開催期間:6月23日~25日

会場:東京ビッグサイト 西1・2ホール

入場料:無料


 ケーブルテレビ業界で国内最大規模の展示会「ケーブルテレビ 2004」が、東京ビッグサイトで開幕した。期間は6月23日から25日まで。主催は社団法人日本ケーブルテレビ連盟と社団法人日本CATV技術協会。展示内容はCATV関連業者向けとなっているが、一般ユーザーも入場可能。なお、入場は無料だが登録が必要となっている。

 同イベントは、ケーブルテレビ関連のハードウェアや各種サービスを展示する総合コンベンション。2002年までは池袋のサンシャインシティで開催し、2003年には会場を東京ビッグサイトに移し、規模も拡大。昨年は153社が出展していたが、今年は160社、636小間に増加している。

 今年は「実感!! デジタルケーブルワールド ~フルデジタル! 快適環境 元年!~」と題し、地上デジタル放送の再送信に関する技術や、対応STBだけでなく、光ファイバや同軸ケーブルを利用し、インターネットや映像、音声など、様々なデータを包括的に送受信できるシステムが紹介されている。


■ パススルー/トラモジ両対応のSTB

 ジュピターテレコム(J-COM Broadband)を初め、CATV網を利用した地上デジタル放送の再送信を行なう業者が増加。CATVの新しい魅力として注目を集める中、各メーカーからは地上/BSデジタル、110度CS、CSリマックス、i-HITS、JC-HITSなど、ほとんどの放送が受信できるSTBの新モデルが展示されている。

 なお、CATVで地上デジタル放送波を再送信する際は、地上デジタル放送の変調方式(OFDM)を変えずにそのまま送信する「パススルー方式」と、CATV局で受信したOFDMをCATVに適した変調方式(64QAM)に再変調して伝送する「トランスモジュレーション方式」が存在する。

 従来のSTBでは、どちらか一方の方式のみに対応していたが、パイオニアとマスプロは、両方式をサポートした新機種を展示。CATV業者のサービス形態に合わせて、柔軟に対応できるという。

 パイオニアの「BD-V375」はHDMI、D4端子を各1系統、i.LINKを2系統備えたフラッグシップモデル。光デジタル音声出力やEthernetも装備。参考出品だが年内の発売を予定しているという。

 マスプロの「DST22」は、D4端子と光デジタル音声出力、Ethernetなどを装備。EPGもサポートするほか、ケーブルモデムを内蔵したモデル(DST22M)もラインナップする。なお、これらのモデルは既に出荷が開始されている。

パイオニアのフラッグシップモデル「BD-V375」 i.LINKやHDMI端子などを備えている マスプロの「DST22」。標準リモコンと簡単リモコンを付属する

 伊藤忠ケーブルシステムのブースでは、Scientific AtlantaのSTBを展示。参考展示として、160GBのHDDを搭載し、録画も可能なSTBを紹介している。製品名は「エクスプローラ 8300HD」。日本での発売時期や価格は未定。出力端子としてHDMIや光デジタル音声出力も備えているが、日本版にはD端子などが増設される可能性もあるとのこと。また、別売のユニットを接続することで、HDDや記録型DVDドライブの増設にも対応できるという。

 7月から出荷が開始される新モデル「エクスプローラ 8200HDJ」は、日本ケーブルラボ運用仕様JCLSPEC 001~007に対応。トランスモジュレーション方式の地上/BSデジタル放送の受信に対応する。出力端子として、D4、光デジタル音声出力、Ethernetなどを備えている。

Scientific Atlantaの「エクスプローラ 8300HD」。HDMI端子も備えている 7月から出荷が開始される新モデル「エクスプローラ 8200HDJ」

 ほかにもDXアンテナが8月にリリースする「DAC-410」、シンクレアが7月に発売する「SSTB-3000」など、各社のブースで地上/BSデジタル、CSなどに対応したSTBが展示されている。

DXアンテナの「DAC-410」 シンクレアの「SSTB-3000」 NECの「CM4230T」

NECの「CM4540T」 パイオニアの現行最上位機種「BD-V2TC」 松下の「TZ-DCH500」


■ 松下電器

 松下電器のブースでは、デジタルテレビ/チューナ用インターネット情報サービス「Tナビ」のブースが注目を集めている。主な展示はCATV各社がオリジナルのコンテンツを提供できる新サービスで、6月22日から提供を開始している。

Tナビの注目度は高い CATV業者が独自のコンテンツを制作。地域密着型の情報を提供することで、顧客満足度の向上を図る Tナビの設定メニューから、加入しているCATV業者を選択すると、カスタマイズされたTナビが利用できる

 また、放送波にもCATV業者がオリジナルのデータ放送を付加できるシステムとして、自主BMLデータ放送が提案されている。これは、CATV業者が独自に制作するコミュニティチャンネルに、地上/BSデジタルと同様のデータ放送を加えるためのシステム。Tナビと異なり、加入者宅のブロードバンド環境に左右されることなく地域密着型の情報提供が行なえるほか、放送とデータ表示を共存できるなどの独自のメリットがある。同社は「システムとしては地上BSデジタル放送などで既に完成されているため、積極的に提案していきたい」としている。

データ放送の制作・送出システム コミュニティチャンネルの情報を増加できる

 また、集合住宅などの既設の同軸ケーブル網を使い、100Mbpsを超える高速伝送を実現する技術が展示されている。これは6月21日に発表されたもので、Entropic Communicationsが開発した宅内同軸ケーブル高速通信技術「c.LINK」を使用し、RF分配器の出力端子間で最高270Mbpsという高速通信を実現するというもの。

 光ファイバなどを使わず、既設の同軸ケーブル施設が利用できるほか、ケーブル内の空き周波数を使用し、構内の共聴信号と共存が可能。さらに、加入者宅にモデムを設置する際に複雑な設定が不要になるなどの利点がある。なお、同技術は宅内伝送にも応用でき、HD品質の動画も実現できるため、ブースでは次世代のホームネットワークをイメージした展示が行なわれている。

「c.LINK」技術を使ったホームネットワークシステム 「c.LINK」に対応したモデムを使ってデモが行なわれている

 また、「ReMUX方式」としては初のVODシステムの展示が行なわれている。CATV放送のデジタル化には、大きく分けて「ReMUX方式」と「トランスモジュレーション方式」があり、前者は1本のトランスポンダ(衛星の中継器)に多重化されている複数の番組をCATV局側が番組単位で受信し、再編成・再多重して送出する方式。後者はCATV局側がトランスポンダ単位で受信して変調方式のみを変更し、そのまま視聴者へ送出する。前者はCATV局側の自由度が高く、後者はコスト面で優れている。

 展示はシステムの概念図のみだが、課金などを実現するため、現行の松下電器製のReMUXシステムをバージョンアップし、ビューログサーバを追加するだけで構築できるという。これに合わせて、HTMLブラウザを使った簡易VODシステムや、現行のSTB(TZ-DCH500)のソフトウェアバージョンアップで対応できるVODシステムなども参考展示している。

ReMUX方式初のVODシステム HTMLブラウザを使った簡易VODシステム TZ-DCH500を使ったVODシステム

STBステータス情報収集システム

 ほかにも、IPベースの双方向通信機能を持ったSTBから、現在の視聴しているチャンネル、メールの開封状況、CASカード番号、STBのID番号、ソフトウェアのバージョンなど、各種情報をCATV業者がリアルタイムに把握できる「STBステータス情報収集システム」も参考展示している。技術的には既に完成しているというが、同社は「各チャンネルの視聴情報がリアルタイムにわかってしまうため、プライバシー的な面も考慮して、日本ケーブルラボと協議しながら開発を進めていきたい」としている。



■ 放送と通信を融合したFTTHサービス

 インターネット接続や、地上/BS/CSなどの各種放送、CATV事業者が提供するオリジナルコンテンツすべてを、同軸ケーブルではなく、1本の光ファイバで提供しようというPON(Passive Optical Network)型のFTTHサービスシステムが各社から提案されている。

 これは1芯3波多重WDM(光波長多重)技術を使用したもので、ヘッドエンドやメディアコンバータから送られたデータをWDMモジュールを通して多重化する。映像は1.55μm、通信の上りは1.31μm、通信の下りは1.49μmという異なる波形を、1本のファイバの中に共存させるというもの。

 最大の特徴は、光ファイバの経路途中に光スプリッタを挿入することで、光ファイバを分岐させ、1本の光ファイバを複数のユーザーで共有できること。基地局とエンドユーザーが1本の光ファイバで結ばれる従来の方式に比べ、ユーザーが増えても、光ファイバの総延長を抑えることができるので、経済的にFTTHを構築できるという特色がある。

マスプロの光受信機「OR77T-A」 Fujikuraの1芯3波多重用、光端末装置「ED200(仮)」 昭和電線電纜株式会社の光映像受信機「ONU-775」


■ そのほか

 ほかにも、日本デジタル配信はCATVとテレビのチャンネル、音量のみ操作できるシンプルなリモコン「ミニリモコン」を展示している。近日中にも発売する予定で、価格は700円前後。テレビ18社、ビデオ一体型テレビ15社、CATV12社のSTBが操作できる。

 また、東芝テクノネットワークは、BS/110度CSデジタル放送の受信に対応したメッシュタイプのアンテナと、地上デジタル放送に対応したゴールドアルマイト仕様のUHFアンテナを参考出品。どちらも発売時期や価格は未定。

日本デジタル配信の「ミニリモコン」 東芝テクノネットワークのメッシュタイプアンテナと、ゴールドアルマイト仕様のUHFアンテナ

中央が「EX-VISION 1500TV」

 エルザジャパンのブースでは、LowProfileサイズながら、3次元Y/C分離回路とゴーストリューサ、ハードウェアMPEG-2エンコーダを搭載したキャプチャカード「EX-VISION 1500TV」を展示。価格は21,000円前後で、7月上旬に発売予定。

 同日に発売予定のリモコン(3,000円前後)を利用すれば、テレビの視聴から、録画したコンテンツの選択・再生などの操作が可能。また、EPGを利用した録画予約に加え、キーワードに合った番組を自動的に録画する「おまかせ録画機能」も搭載。さらに、同カードを1台のPCで複数枚搭載・使用できるソフトウェアも、後日ダウンロード提供するという。

基本的な操作はすべてリモコンから可能 おまかせ録画機能も搭載する


■ サプライヤーゾーン

 会場には、コンテンツサプライヤーのコーナーも設けられている。主な展示は放送内容の紹介がだが、番組出演者によるイベントや限定グッズの配布など、一般視聴者も楽しめるコーナーになっている。

スーパーチャンネルのブースでは、ドラマ「ER」の宣伝に、看護婦さんが登場 ヒストリーチャンネルのブースには、アテネの女神様が BSデジタルの新キャラクター「ななみちゃん」。可愛らしい姿に足を止める人が多かった

アニマックスには巨大なマジンガーZ テレ朝チャンネルのブースには、クレヨンしんちゃんが応援に登場


□ケーブルテレビ2004のホームページ
http://www.catv-f.com/
□関連記事
【2003年7月23日】CATVの総合展示会「ケーブルテレビ 2003」が開幕
-CATVで地上デジタル放送を伝送、デジタルSTBも多数出展
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030723/catv.htm

(2004年6月23日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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