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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は22日、会長定例会見を行ない、ソニーグルーブCOOの安藤国威会長が、「当業界は堅調な伸びを維持しており、中長期的にも成長が期待できる」との明るい見通しを示した。 安藤会長は、今年1~6月までの上半期が前年同期比8.7%増の10兆1,700億円に達したことを示し、「通期の見通しでは前年同期比6.5%増としており、これを大きく上回る実績で推移している」と説明。「オリンピック需要もあるが、液晶、プラズマ、DVDレコーダといったデジタル家電や、カーナビなどが順調な売れ行きを示している。また、これらに使用される半導体、電子デバイスも2桁の伸びを示している。下半期もこの伸びを維持することを期待している」と語った。 だが、通期見通しの上方修正に関しては「決して今後の先行きを楽観視しているわけではなく、各社とも慎重な姿勢を崩していない」として、これを見送った。 具体的な懸念材料として安藤会長は、「11月の米国大統領選挙以降の経済政策の行方、およびそれに伴う米国の景気動向を注意しておく必要があること。中国でのインフラ整備、電力供給の問題などのほか、投資過熱抑制策の動きも注意深く見ておかなければならない」とした。 さらに、原油価格の高騰を背景に、素材、部品などの価格が上昇基調にあることを指摘。「デジタル家電が一部では価格の引き下げによって、需要を喚起するという動きに転じはじめているなかで、原材料などの価格上昇は、適正な粗利確保という点で問題となる可能性もある。最近では部品の価格が下がるという話は聞いたことがなく、これが各社の慎重な姿勢につながっている」と分析した。 しかし、冒頭にも触れたように、全体的には成長基調にあるのは間違いない。「年末は年間最大の商戦期。そこに向けて、各社から新たな提案の製品、新たな技術を搭載した製品が登場している。年末に関しては、テレビの需要は落ちないだろう」との見通しを示した。
■ JEITAが掲げる3つのポイント 一方、同協会では、下期のポイントとして次の3つに力を注ぐとしている。第1点は、中国との関係強化について。9月2日にJETRO(日本貿易振興機構)の北京センター内に、JEITAの北京事務所を開設。今後、中国政府や関連団体と、環境問題、知的財産権、中国独自の規格や仕様に対する標準化への取り組みなどについての話し合いの場を持つという。 11月には、日本のJEITAに相当する中国電子商会(CECC)と、これらの問題に対して話し合いの場を持つことが決定しており、「民間の団体同士の話し合いの場としては初めのことになる」(安藤会長)という。 JEITA側からは、中国で横行している模倣品の状況掌握や、中国側への対策の要請、知的財産権に関する中国側への説明などが中心になる見込み。一方、CECC側からは知的財産権、模倣品対策に関する日本の制度の説明要請などが提示されることになりそうだという。 第2点には、上半期の電機業界の回復基調を受けて、この持続的成長に向けた取り組みをあげる。適正な利潤確保を進めながら、今後のグローバル展開での競争力維持を課題とする一方で、デジタル家電分野において、日本の強みを生かし、主導的立場を維持することが重要だとした。 「液晶、プラズマなどは日本が開発した技術であり、長年に渡って投資を続けてきた。それを開花するところで、外国勢に取られるわけにはいかない。シャープの亀山などは戦略的に正しいし、すばらしいことだと思う。DRAMのような過ちをしてはいけないと各社が共通の認識を持っている」などとした。 10月5日から幕張メッセで開催されるCEATECにも触れ、「各社から最新技術を搭載した製品が展示される予定。国際的にも意味があるイベントとして昨年を上回るものになると期待している」と話した。 第3点には、有害物質対策、リイサクル問題などの環境への対応をあげ、「会長として、力を尽くしたい分野だ」とした。
■ 日本の強みを国際競争で発揮 なお、会見では、韓国メーカーの現状認識などにも質問が飛び、安藤会長は、「韓国企業は、デバイス分野に対する投資は日本のメーカーには真似ができないほど積極的で、高い収益性をあげている。だが、デジタル家電商品では決して高い利益をあげているわけではなく、日本メーカーとの競争もあるだろう。今後は日本のメーカーと韓国のメーカーが競争するだけでなく、新しい関係を作っていくことも必要だ」とした。 また、次世代ディスク規格の争いに関しては、「レコーダではブルーレイが先行したが、いまはROMの戦いに入ってきており、ハリウッドの影響は大きいだろう。HD DVDもハリウッドの切り崩しに入っているし、ブルーレイもソニーがハリウッドそのものに拠点がある。フォーマットの競争は日米にまたがる大きなスケールのものになる」とコメントした。 さらに、「いま、ディスプレイ革命が起こっている」と前置きし、「ブラウン管だけの世界から、液晶、プラズマ、SED、有機EL、SXRDなどの様々な薄型の技術が出てきている。小型のビューアから、ケータイ、PDA、モバイルパソコン、大型のテレビまで、それぞれの強いところで、それぞれの技術が活用されていくだろう。この分野については、日本のメーカーが知的財産権を持っており、国際競争においても優位になる」と指摘した。
(2004年9月22日) [AV Watch編集部/Reported by 大河原克行]
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