◇ 最新ニュース ◇
|
||
【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
||
|
具体的な裏付けとして佐々木会長は、「昨年12月時点の当協会が発表した2003年の生産見込みは、前年比5.8%増の19兆823億円だったが、今年2月に発表された生産動態統計では前年比6.6%増の19兆2,961億円と予測を上回る実績となった。さらに、今年夏のアテネオリンピックの影響で前半の好調が期待されること、地上デジタル放送受像機器が順調に推移していること」などを挙げた。 「デジタル家電という新たな商品が市場の回復を牽引しており、この構造はしばらく続くだろう。中国などの東アジア地区の購買が上昇していることで、デジタル家電やそれに利用される半導体の需要も旺盛だ。大きく底割れすることは今年一杯は考えられない」と、年間の成長にも自信を見せた。 昨年の1年間を通じて、牽引役となったのは、携帯電話とデジタル家電機器で、携帯電話が含まれる「無線通信機器」は前年比25.3%増、デジタル家電機器が含まれる「映像機器」は、前年比22%増というように、それぞれ高い伸びを示している。さらに、昨年12月単月の民生用機器は、前年同期比28.4%増で、そのうち「映像機器」は41.6%という高い伸びを見せたという。 「今年1月の賀詞交換会では、『昨年12月は引きが強かった、活況を呈していた』という声ばかりが出ていた。昨年のキーワードは「DIGITAL Everywhere」としたが、これが現実のものとなった1年であり、電子産業の発展の歴史のなかでも重要な1年であった」と佐々木会長は位置づけた。
また、地上デジタル放送の受像器の出荷については、2月末までに60万7,000台を出荷した実績を示し、「順調な滑り出しを見せている。政府や自治体、販売店などのほか、関連団体との連携によって、さらに普及を促進したい」と抱負を語った。
一方、中国などのアジア地域の勢力が台頭していることについては、「デジタル技術、著作権保護、省エネ、リサイクルなど、日本がまだまだ先行している部分も多く、日本の優位性が発揮できる」としながらも、「ただ、競争だけではなく、協調し、お互いに発展していくことも必要だ。一層の交流を図る必要もある」とした。 米国と中国で問題となっている半導体の税制については、「中国もWTOに加盟しているのだから、そのルールに沿った税制のあり方を制度化していくことが求められる。米中の問題だけで捉えるのではなく、日本も適切な解決策が得られるように考えることが必要だ」と話した。 今回の会見は、今年5月に任期を迎える佐々木会長の最後の定例会見となったが、内容はデジタル家電によって回復基調に転じた電子産業の明るい方向性を示すものとなった。 会見のなかでは、電子産業に懸念材料はないのか、という質問も飛んだが、佐々木会長は、「部品の供給逼迫やそれに伴う部材価格の上昇といった点が考えられるほか、物流における船舶の不足など、電子産業固有の問題以外の要素も念頭に置く必要があるだろう」としたに留まり、市場の成長そのものに直接的な問題ないことを示した。 ただ、会見を通じて示されたのは、電子産業の成長の起爆剤が、'90年代にはパソコンであったものが、2000年以降は、明らかにデジタル家電に主役が移行したという点だ。佐々木会長は、「パソコンもそれなりの市場規模はある」としながらも、「今後の電子産業の成長を支える重要なジャンルがデジタル家電。この構図は当分続くだろう」と指摘する。 日本の企業が、先行し、主導権を握りつつあるデジタル家電市場の成長は、パソコンの時代には主導権を握れなかった日本企業の復活へと直結する要素ともいえる。今回の会長会見は、その兆しが出始めていることを強く感じられるものとなった。
□ソニーのホームページ
(2004年3月24日) [AV Watch編集部/Reported by 大河原克行]
Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved. |
|