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東芝、映像事業を中核に“映像の東芝”復活へ
-新RD/face発表会を開催。SEDは2010年に8~10万円


9月28日発表


 株式会社東芝は28日、デジタル家電関連の新製品発表会を開催し、ハイブリッドレコーダのフラグシップモデル「RD-X5」や、LAN HDDへのデジタル録画に対応した液晶テレビ「face」新モデルなどを発表した。

RD-X5 液晶faceの新モデルなども発表

 また、同社経営陣による映像事業戦略も語られ、2010年の映像事業の売上目標として、現在の約3倍となる1兆5,000億円を掲げたほか、新製品のロードマップや、具体的な製品戦略が語られた。今回発表の主な新製品は以下のとおり。

種別型番発売日店頭予想価格
DVDレコーダRD-X511月中旬17万円前後
RD-XS2411月上旬5万円前後
液晶テレビ37LZ15011月上旬63万円前後
32LZ15050万円前後
37LZ10058万円前後
32LZ10045万円前後
20LB2013万円前後


岡村正社長

 岡村正社長は、「ハイビジョン/デジタル放送の拡大や、次世代DVD、映像配信事業への期待、HDDの小型/大容量によるモバイル機器への採用など、映像ネットワーク時代を目前とし、さまざまな変革が起こっている」と切り出し、キヤノンと共同で開発し、2005年より市場投入する「SEDディスプレイ」や、日立や松下と合弁会社を設立する「IPS液晶」、ソニーやIBMと共同で開発し、次世代プレイステーションなどに採用予定の半導体「CELL」などへの取り組みを解説した。

 同社では、これらの要素技術や、著作権保護技術、ノウハウを蓄積してきた映像技術を生かした、戦略製品の投入を予定しており、トップダウンのプロジェクトとして進行しているという。さらにコンテンツホルダ/プロバイダとの関係については、「共存、共栄を目指せるよう協力関係を強めていく」という。

 映像事業の今後については、「中期経営計画期間中の2006年までに電子デバイスとのシナジーを生み出し、次なる成長への足固めをし、2006年以降は、映像事業を収益の柱とする。2006年にはドイツワールドカップ、2008年には北京オリンピックも開催される。2011年にはデジタル放送への完全切替えなど、映像関連市場の拡大もここからが本番となる。長期的なビジョンのもと着実に成長していきたい」と意気込みを語った。

藤井美英 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社長

 藤井美英 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社長は、「本日9月28日をもって、映像の東芝復活の日、新しい映像の東芝元年を宣言したい。総力を挙げて新時代に向けた映像戦略を推進していく」と、切り出し、そのコンセプト/戦略を語った。

 藤井氏は「ポストPCのパラダイムが始まった。今後は、コンテンツホルダ/プロバイダとの協業による新しい映像文化の創造が非常に重要になる。東芝はハードメーカーとしてトータルなソリューションを目指す」と語り、「映像ネットワーク時代中心は、コンテンツになる。これをいかに安く、早く、安易に届けられるかが非常に重要となる。そのため、著作権保護、課金システムの強化や、コンテンツホルダとの共存を目指していく」という。

コンテンツプロバイダとの協力関係を築く 2010年のAV機器の姿

 「2010年のAV機器は新しいフェーズに入る。超薄型、小型やワイヤレスでのハイビジョン視聴などが実現され、一般の家庭にも普及していくだろう。DVDレコーダの進化によるホームサーバーや、デジタルカメラの進化なども見込まれる」と述べ、イメージビデオを上映。UWB(Ultra Wide Band)によるワイヤレステレビやHD DVDレコーダ、Bluetooth対応gigabeatなどのコンセプトをビデオで紹介した。

2010年の生活のデモ映像。音声認識対応のHD DVDレコーダ UWBによるワイヤレスSEDテレビ 0.85型HDD搭載のハイビジョンカメラ
ワイヤレス対応の超小型HDD搭載gigabeat 携帯にダウンロードした着うたをBluetooth経由でgigabeatなどに転送

SED、HD DVD、gigabeatなどを戦略製品に

 また、戦略製品として、「SED」、「HD DVD」、「gigabeat」、「ムービーカメラ」を“No1セット”と位置づけ積極展開を図るという。「gigabeatに関しては“東芝さん何をいまさら”と言われるかもしれないが、(27日発表の)新製品などを見てその意気込みを感じて欲しい」と語った。

 また、HD DVDとSEDをつないだディスプレイ展示も行なわれた。ディスプレイ事業については、「40型以下では液晶、プラズマは一部地域でローエンドとして展開。リアプロジェクションテレビは40型以上のローエンドと考えて、今後の製品展開を予定している」という。SEDについては、「2005年の市場投入当初はハイエンドと位置づけて40型以上で展開。“SEDは高級というイメージを浸透させたい”。2010年の40型以上のマーケットで、シェア25%以上、300万台以上の販売を目指す」という。

 SEDの2010年の売上については、「OEM含めて約300万台を予定している。30型台まで小型化した製品も投入して、価格は8~10万円としたい。規模的には2,000~3,000億円を見込んでいるという。HD DVDへについては、「先進国ではHD DVDが普及するが、基本的に今後10年はDVDとの共存が進む。現在の売上げは約1,400億円だが、2010年には2,500億規模を目指す」と語った。

 また、「東芝の強みである、半導体、PC、携帯、映像技術、ストレージ技術などを生かして、積極的に展開する。アライアンス戦略も強化、さらにコンポーネントの内製化などで、差別化を図っていく」と述べ、「現在4,900億円規模の映像事業を事業の柱に位置づけ、2010年には約3倍の1兆5,000億円を目指す」という。「東芝は変わる。新しいパラダイムのトップランナーになる」とその意気込みをアピールした。

藤原さんと藤井美英 デジタルメディアネットワーク社長 CMキャラクタには、引き続き藤原紀香さんを採用

 また、CMなどのマーケティング活動を強化するとし、CMキャラクターの藤原紀香さんを紹介した。

 藤原さんは、「家でのDVD鑑賞が楽しみのひとつですが、RDやfaceを家で使ってみるとすごく使い易い。こんなわたしでもあんないろいろな機能が簡単に使えてしまう。1年でこんなに進化していくというのは驚き。“映像の東芝”、私も期待しています」と語った。

 テレビ事業担当するを江原一夫 CTV事業部長は、新faceについて解説。新搭載の統合エンジン「メタブレイン」は、SEDテレビのデジタルコアとして開発し、先行してfaceに採用したという。また、DVDレコーダ事業を担当する桐山輝夫 デジタルAV事業部長は、2004年下期のRD-X5の新機能や、RDシリーズのラインナップを紹介したほか、3月発売のポータブルDVDプレーヤー「ポータロウ」が大ヒットし、4月から8月までの累計で6割のシェアを獲得したことなどを紹介。「録再機のみならずバランスよく展開していく」と語った。

gigabeatの将来展開

 映像システム事業部長の萩尾剛志氏は、gigabeat Fシリーズなどの新モデルを紹介したほか、gigabeatの将来展開について語った。まず、音楽配信各社との協力関係を築き、音楽だけでなく、歌詞やジャケット写真などを一体化した“三位一体配信”を推し進めていくという。

 さらに、同社がキーデバイスを有している小型HDDやBluetoothを生かした製品展開や、MPEG-2/4やH.264動画対応、10月よりスタートする「モバイル放送」との連携機能などについても言及した。同社で開発を進めている燃料電池の採用も検討しているという。また、山森一殻 ストレージデバイス事業部長は0.85インチHDDなど、小型HDDの強化ポイントや新ロードマップを紹介した。

東芝HDDの事業戦略 将来のHDD製品計画 HDD記録密度の推移


SEDとHD DVDをコンポーネント出力経由で接続した再生デモも行なわれた

 会場ではHD DVD関連の展示や日本未発売のリアプロジェクションテレビ、gigabeatの新モデルや参考展示モデルなどが出品された。

 HD DVDプレーヤーは、CESなどの展示会で出品されていたものから、筐体デザインを一新したほか、搭載LSIなども変更されている。従来の参考展示HD DVDプレーヤーでは、MPEG-2/H.264の再生が可能だったが、VC-1(WMV9)の再生は行なえなかった。新プレーヤーデコーダチップは2チップ構成ながら、VC-1の再生にも対応しているという。

 SEDディスプレイは先日の発表会のものと同様で解像度1,280×768ドットの36V型となっている。デモではHD DVD-ROMに記録した1080i/12MbpsのH.264映像をコンポーネント接続で、SEDディスプレイに出力していた。


新HD DVDプレーヤー 将来のHDD製品計画 北米での61型DLPリアプロジェクションテレビ。日本での発売予定は無い

 また、0.85型HDDを利用したHDDオーディオプレーヤーやデジタルビデオカメラのコンセプトモックアップを展示。0.85型HDDは2GB容量製品を既にサンプル出荷開始しており、年末より量産開始、対応製品は来年の発売が見込まれている。また、0.85型HDDを接続したPDA「GENIO」でWMVを再生するデモも行なわれた。

0.85型HDDを搭載した携帯電話のモックアップ 0.85型HDD搭載オーディオプレーヤーのコンセプトモック
0.85型HDDデジタルビデオカメラ 実動デモも行なわれていた

Bluetoothユニットを利用したgigabeatのデモ

 gigabeat関連では、Bluetoothを利用したオーディオ伝送のデモも行なわれている。Bluetooth搭載のgigabeatを車内に運び入れると、Bluetoothプロファイルを自動認識してカーオーディオ出力に切り替えて利用できるというもの。

 現在はBluetoothユニットが大きめのため、外付けしているが、将来的にはgigabeatに内蔵し、車載システムやコードレスヘッドオンなどに応用していきたいという。また、Bluetooth携帯電話を利用したリモコンのデモも行なわれた。


Bluetoothリモコンのデモ 新gigabeat Fシリーズも展示 Fシリーズのヘッドオン。カラーは変更される予定

参考展示の小型プロジェクタ

 バッテリや無線LANを内蔵し、完全ワイヤレスを目指すという小型プロジェクタも参考展示している。ランプ出力は18Wで、バッテリ駆動を実現。詳細なスペックなどは未定だが、「企業向けのデータプロジェクタ市場のみならず、民生向けの市場にも展開していきたい」という。

 また、10月から本放送が開始される衛星デジタル放送サービス「モバイル放送」の受信機を参考展示していた。端末の発売日は11月上旬で、価格は5万円程度の見込み。EPGを搭載しており「目的の番組を素早く、高画質で見ることができる」(同社)としている。

 SDカードスロットを備えており、番組の録画も可能。AV出力も備えており、テレビなどに映像を表示することもできる。なお、展示機は実際の放送(試験電波)を会場内で再送信したものを受信・表示しており、アンテナを内蔵した本体の角度などを変えても、映像が乱れず、デジタル放送ならではの利点を体験することができた。

 ほかにも、地上デジタル放送の携帯端末向け1セグメント放送の受信に対応した端末も参考展示。こちらもSDカードスロットを備えており、記録された動画や静止画を表示するビューワとしても利用できるという。映像はMPEG-4/30fpsに対応し、H.264フォーマットもサポート可能。2.5型TFT液晶を搭載した縦型モデルと、3.5型液晶の横型モデルの2タイプを用意。発売時期や価格は未定となっている。

モバイル放送の受信端末 1セグメント受信に対応したSDカードビューワ。スタンドにもなるフラップカバーの中にアンテナが内蔵されている 有機ELを使った次世代ポータブルビューワも展示していた

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2004_09/pr_j2806.htm
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(2004年9月28日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp/yamaza-k@impress.co.jp]


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