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Sonaptic株式会社は9日、2004年末から順次発売されるNTTドコモの新型FOMA端末「901i」シリーズに同社の3D音響技術が採用されたと発表。また、今後の予定として、携帯音楽プレーヤーやバーチャルサラウンドヘッドフォンなどへの展開も検討していることを明らかにした。 同社の3D音響技術は2chでマルチチャンネルサラウンドを再現するというもの。大きくわけて、リスナーに近付いてくる音像を再現する「ニア・フィールド・アルゴリズム」と、リスナーの左右や背面に仮想的に作り上げた点音源で、音の広がりや音像の大きさなどを表現する「ボルメトリック・アルゴリズム」、音像の頭外定位や距離感を再現する「ダイナミック・アンビエント・プロセッシング・アルゴリズム」から構成されている。
6ch、8chなどのマルチチャンネルソースに対応でき、これらすべての処理をソフトウェア上でリアルタイムに実行できるのが特徴。同社は今回、携帯電話上で同処理を行なうために、複数のエンジン群を軽量化。携帯電話に搭載されたDSPでの処理を実現したという。 901iシリーズの場合、TIのOMAPプロセッサで処理を行なっている。同技術が搭載されているのはFOMA N901iC、F901iC、D901iの3モデル。なお、全ての処理をソフトウェアで行なっているモデルと、同社のライセンスを受けてヤマハとロームが開発したLSIを内蔵し、左右チャンネル間のクロストークの解消などの処理の一部を担当させているモデルがあるという。
アルゴリズムで3Dサラウンドを実現しているため、ダイポール技術などと異なり、携帯電話上でスピーカーを近接配置する必要はない。左右の耳の位相差を利用し、立体感を再現するため、チャンネル間のセパレーションが重要となる。そのため、携帯電話の筐体の左右にスリット状の穴を設け、そこから音を放出できるスピーカーユニッットも試作・提案した。 なお、携帯電話では、iアプリのゲームの音声もリアルタイムに3D化が可能。会場では3D対応版「川のぬし釣り」の試作ゲームが紹介された。
■携帯音楽プレーヤーへの展開も
Sonapticは、PCの3Dゲームなどでも利用された3D音響技術「Sensaura」を手掛けた英Sensaura社の主要メンバーにより、2002年に設立された。EMIミュージックラボラトリーの流れを汲む企業であり、同技術の携帯電話への搭載は今回の新型FOMAシリーズが初となる。
同社の共同創業者であり、テクニカル ディレクターのリチャード クレモゥー氏は「携帯電話の最先端である日本で、その市場を代表するドコモの製品に採用されたことを、非常に光栄に思っている」と喜びを語る。そして「2005年は欧州市場などにも参入を予定しているが、引き続き最重要な市場として日本での展開を広げていきたい」としたうえで、ドコモ以外にもボーダフォンと交渉・開発を進めていることを明らかにした。
さらに、新岡亨代表取締役は携帯電話以外への展開についても言及。「このアルゴリズムを使って、あらかじめマルチチャンネル音源を2chにエンコードすれば、様々な2ch音楽再生機器でサラウンドが楽しめる」とし、同エンコード処理を施した音楽ファイルをiPodで再生したり、携帯電話にヘッドフォンを接続し、バーチャルサラウンド再生するデモなどを行なった。
同社はこのプリプロセスを行なうオーサリングツール「Sonaptic VST Plug-in」を開発しており、着うたやiモーションなどのコンテンツをあらかじめ3D化できるソリューションを提案。デジタルラジオや地上デジタルテレビの移動体向け放送などへの採用も目指しているとのこと。
新岡取締役は「現在は携帯電話向けの事業をメインに行なっているが、今後は携帯音楽プレーヤーや、バーチャルサラウンドヘッドフォンなどへの参入も検討している」という。しかし、3D化を行なうソフトウェアやLSIを携帯プレーヤーに組み込むのか、PCなどであらかじめ音楽ファイルを3D化するツールを提供するのかなど、具体的な展開については「アイデアを集めている段階」と語った。
□Sonapticのホームページ
(2004年12月9日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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