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ブエナ、DVD「バンビ」の試写会を開催
-60年前の名作を9,500時間を費やして修復


試写会はソニーPCLの本社にある「シネラピスタ」で行なわれた

3月18日発売

標準価格:3,465円

品番:VWDS-5010


 ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント(ブエナ・ビスタ)は10日、3月18日に発売するDVD「バンビ スペシャル・エディション」(VWDS-5010/3,465円)の試写会を開催した。会場にはDVD化にともない、60年以上前に作られた同作品の修復を行なったスタッフも登場。DVDの見所を解説した。

バンビ スペシャル・エディション
(C)Disney.

 映画「バンビ」は、「白雪姫」、「ピノキオ」、「ファンタジア」、「ダンボ」に続くディズニーの長編アニメーション第5作目として‘42年に公開された。当時は第2次世界大戦中だったため大ヒットには至らなかったが、後の‘50年に米国で再公開された際には大ヒットを記録したという。

 ブエナ・ビスタは新作を製作する傍ら、「アラジン」や「ライオン・キング」など、過去の作品をより高画質・高音質に修復し、DVD化する作業にも力を入れている。「バンビ」は公開から60年以上が経過した「ディズニー・クラシックス」に分類される作品だが、今回大がかりな修復を行ない、「バンビ スペシャル・エディション」としてDVD化されることになった。

 発売日は3月18日。特典ディスクを加えた2枚組みで、ディスクは片面2層。本編の映像は4:3のスタンダードサイズ。音声は英語をドルビーデジタル5.1chとモノラル(オリジナル)の2種類で、日本語をドルビーデジタル5.1chとドルビーサラウンドの2種類で収めている。字幕は日本語と英語の2種類。

 なお、ドルビーデジタル5.1の音声はいずれも「ディズニー・ホーム・シアター・ミックス」仕様。これは、DVD化にあたって新たにオリジナルの音声をミキシングし直し、「一般家庭のホームシアター環境で、最新の大型映画館に匹敵する臨場感が味わえる」(同社)というもの。臨場感や包囲感を向上させたサウンドデザインが特徴となっている。


■ 9,500時間を費やした修復作業

DVD制作の総責任者、デイヴィッド・ジェッセン氏

 DVD制作の総責任者であるデイヴィッド・ジェッセン氏は「60年以上にわたり、あらゆる世代の人々を楽しませてきた作品が、DVDとして新たに蘇った。初めて見る人には新鮮に、そして既にバンビのファンである人には、この作品が昔も今も変わらず、芸術的で、技術的にも極めてレベルの高いものだと再認識してもらえるだろう」と新しいバンビに対する自信を語った。

 さらにデジタル修復の責任者、デイヴ・ボサート氏が、修復作業の手順を紹介。まず、‘39年に作られたオリジナル版のネガを議員図書館の地下から取り寄せた。「この時代の映画はすべてニトロセルロース・フィルムが使われている。これは非常に火に弱く、保存が難しいのだが、運良くバンビのネガは良好な状態で残っていた」という。

デジタル修復の責任者、デイヴ・ボサート氏。「バンビは芸術。修復作業中は、フレスコ画を修復する専門家になったような気持ちだった」という ニトロセルロース・フィルムは火に弱く、長期保存には向かない。しかし、湿度や温度の管理が徹底している議員図書館に保管されていたため、バンビのネガは無事だったという 修復前(左)と修復後(右)。別の作品と思えるほど色鮮やかで、クリアな画像になっている
(C)Disney.

 なお、バンビはカラーの作品だが、保存性を考慮して、フィルムは時間が経っても色褪せにくい白黒で保存されていたという。撮影の際は赤・緑・青のフィルタがついたカラーホイールを通して1コマを計3回撮影し、モノクロネガからカラーの映像を作り出していた。

 デイヴ・ボサート氏はこのネガを4,000×3,000ドットで1コマずつスキャン。コンピューター上で傷や汚れの修復、ちらつきの除去、色調の調節などを行なった。「オリジナルの色彩を再現するのは難しい作業だが、幸いオリジナルの背景絵などが残されていた。我々はそこから正しい色を決めていった」という。作業は根気のいるもので「中には1コマに何時間もかかることもあった。我々はこの作業に4カ月を費やした」とのこと。デイヴィッド・ジェッセン氏によれば、音声なども含めた全修復作業には14カ月、計9,500時間を費やしたという。

 続いて、アニメーターのアンドリアス・デジャ氏が登壇。「バンビの大ファンで、当時の資料などを見て研究するのが好きだ」と語る彼は、当時のアニメーターが描いたスケッチや絵コンテを紹介。「ウォルト・ディズニーはアニメーター達に動物の動きや解剖学的な体のつくりなどを学ばせた。スタジオに“バンビ”と“ファリーン”という名の小鹿も飼われていた。彼らは当時、世界で最も動物の体の作りや動きに詳しい人々だったかもしれない」と語り、その功績を称えた。

 なお、DVDにはこれら修復の過程や、当時の制作状況を解説したメイキング、ゲーム、5.1ch音声を収録したスクリーン・セーバー、ギャラリーなども収録している。

アニメーターのアンドリアス・デジャ氏 走り方、ジャンプの仕方1つとっても、当時のアニメーターが、実際の動物の筋肉の動きなどを良く参考にしていたことがわかるという


■ バンビは女の子?

 試写会で上映された映像は、60年以上前の作品とは思えないほど色鮮やかで、古くささを感じさせない。また、現代ディズニー・アニメとは異なる水彩画タッチの背景が印象的で、アニメと言うよりも“動く絵画”といった趣。逆の意味で新鮮な映像だった。また、その背景を重ね、多重スクロールさせて森の奥行きを表現など、様々なテクニックが取り入れられていることにも関心させられた。

 ストーリー面では、様々な野生動物が世代交代が繰り返す、自然の大きなサイクルがテーマになっており、後の「ライオン・キング」で描かれたサークル・オブ・ライフ(輪廻転生)の源流を感じさせてくれた。

 なお、ブエナ・ビスタによれば、バンビという作品は「安心して子供に見せられる映画」などのランキングで、よく上位に選ばれるという。しかし「知名度は高いが、実際のところ、その物語をちゃんと知っている人は少ない。可愛いバンビが出てくることは知っているが、バンビが女の子だと思っている人も多い。今回のDVDを機に、可愛らしさだけでなく、多くの人にバンビの壮大な物語にも触れてほしい」(同社)という。

□ブエナ・ビスタのホームページ
http://club.buenavista.jp/
□製品情報
http://club.buenavista.jp/disney/special/bambi/index.jsp
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-新音声「5.1DTSディズニー・ホーム・シアター・ミックス」とは?
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030929/buena.htm

(2005年2月14日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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