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2005年日本国際博覧会(略称:愛知博 愛称:愛・地球博)が3月25日から開幕する。愛知県名古屋東部丘陵に設営された会場は、自然環境に配慮し、起伏に富んだ地形を生かしながらバリアフリー化を図るなど自然との共生を図っているのが特徴。テーマは「自然の叡知」。121カ国、5国際機関が参加し、国内開催の万博では史上最大規模という。 入場料は4,600円(大人)/2,500円(12~18才)/1,500円(4~12才)/3,700円(65才以上)。全期間入場券(大人17,500円)や夜間割引入場券(大人2,300円)なども用意される。
会場はメイン会場となる「長久手会場」と自然環境を生かした「瀬戸会場」から構成される。各国のパビリオンや、企業、自治体のブースが設営されているのは、長久手会場で「グローバル・コモン」と呼ばれる各国パビリオンをアジア、アメリカなどの地域ごとに6箇所配置する。 また、長久手会場を横断する「キッコロ・ゴンドラ」や瀬戸会場と長久手会場を接続する「モリゾー・ゴンドラ」が配備されているが、プレビュー初日となる18日には、強風のためモリゾー・ゴンドラは途中から運休となっていた。
中央の「センターゾーン」には愛・地球博のシンボル・パビリオン「グローバル・ハウス」を設営し、冷凍マンモスの頭部などを展示しているほか、ソニーの「GxL(ジー・バイ・エル)」プロジェクタを利用した2005インチシアター「レーザー ドリームシアター」などが設営されている。
また、北ゲート側にはトヨタ、日立グループ、三菱などによる「企業パビリオンゾーン」を配置。そのほか、日本の伝統の技術や先端技術をアピールする「日本ゾーン」、“となりのトトロ”の主人公サツキとメイが暮らす家を再現した“サツキとメイの家”など、自然を楽しむことができる「森林体感ゾーン」などが設けられ、6つのグローバル・コモンと各ゾーンを結ぶ会場のメインストリート「グローバル・ループ」で接続している。
■ ソニーは2005型スクリーン利用の「レーザー ドリームシアター」を設営
ソニーはメインホール「グローバル・ハウス」の半分を占めるブルーホールに、「レーザー ドリームシアター」を出展している。収容人数は900人。 レーザー ドリームシアターは、2005型/10m(縦)×50m(横)のスクリーンに新開発の「GxL」を採用したフロントプロジェクションシステムで投射するシアター。GxLは、従来「GLV(Grating Light Valve)」の名前でソニーが開発を表明していた技術を使用した、光回折格子を用いたレーザープロジェクション方式のディスプレイ技術。 システムの核となるGxL素子は半導体技術を用いて製造されるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子で、素子表面に配された微細なリボンを電気信号で動かすことで、光源のレーザーから発せられた光の回折光の強弱を制御し、映像化する。 色表現にはR/G/Bのレーザーから発せられた光をそれぞれに対応したGxL素子で制御。3つの光を合成することで映像表現を行なうというもの。レーザードリームシアターでは、色純度に優れたレーザーを光源に採用し、色の再現能力を従来テレビの約2倍に広げ、色鮮やかな色彩表現が可能となったという。 今回上映された映像は、自然環境と人類の関係をテーマにした10分強の作品「2005 our planet(ソニー PCL制作)」で、解像度は600万画素(1,920×1,080ドット×3システム)以上。コンテンツの撮影には左画面/中央画面/右画面に対応する3台のHDCAMから同時に撮影し、通常のカメラでは不可能な超ワイド/高精彩映像を実現。投射時には3台のHDCAMごとに、それぞれ4台のプロジェクタからなるGxLシステムを介して、左/中央/右の3画面に投射する。
ホールに入った直後に、世界最大級という横50mのワイドスクリーンを見た多くの人が「でかい!」、「広い」と驚きの声を上げていた。実際の投射映像も超ワイドかつ高精細だったが、画面が黒色になった際には画面の左右1/3あたりに映像の繋ぎ目が確認できてしまう。これについては、「画面が黒色になっているのは、映像信号が無い状態。各プロジェクタからの光漏れなどの影響で、繋ぎ目に違いが現れてしまう。調整により繋ぎ目を消すこともできるが、長期にわたってその状態を維持するのは難しい」という。
□関連記事 ■ NHKはスーパーハイビジョンシアターを開設
NHKは、グローバル・ハウスのオレンジ ホールに、「スーパーハイビジョン シアター」を設営。横13m×縦7mの大型スクリーンと22.2chの音響システムから構成されるシアターで、映像テーマは「地球・いのちを育む惑星」(3月25日~6月24日まで)。収容人数は350人。 プロジェクタには、4,096×2,160ドット(885万画素)/画素ピッチ0.95μmのD-ILAデバイスを採用したビクターの4K対応D-ILAプロジェクタを利用している。オーディオ関連ではボーズやヤマハが協力している。会期後半の6月25日~9月25日にはテーマを変更した新しい作品を上映する予定。
■ 押井守プロデュースのテーマシアター「めざめの方舟」
企業パビリオンブースの「夢見る山」には、押井守氏がプロデュースしたテーマシアター「めざめの方舟(Open Your Mind)」を設営。 96枚のプラズマディスプレイを床面に敷き詰めながら、周囲に動物のキャラクターを擬人化したという巨大な像を139体設置。中央に地球環境回復への願いを込めたという精霊「汎(ぱん)」の美術造形を配している。さまざまな方向からシアター内の布や外壁などに光の投射を行なうほか、周囲を立体音響で囲み、映像と音響から地球環境への「めざめ」を誘うというもの。 映像/音響の中心でシアター体験できる「アリーナ」と、上階からやや俯瞰しながら体験できる「スローブ」の2つの体験方法が用意されている。強烈な光の明滅と、ノイズ混じりの強烈なマルチチャンネル音響が印象的な展示で、「よくわからない」という感想も多く聞かれた。
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会場で子供たちの人気を集めているのは、映画「となりのトトロ」に登場する、「サツキとメイの家」をリアルに再現した日本家屋。定員は1日800人で、日時指定の予約制のため入場困難が予測されるが、プレスプレビューとなる18日にも整理券を配布して入場制限を行なっていた。 関係者向けの公開日ながら、多くの子供達が訪れており、人気は非常に高い。整理券配布時間の直前には大急ぎで配布会場に向かう子供たちが多く見受けられた。 室内の調度品や、置いてある新聞/書籍なども、トトロで描かれた時代のものにこだわっているのが特徴。井戸も再現されている。
■ その他 展示にはあまり関係ないが、サツキとメイの家と並び、子供から女性まで幅広い層に人気を集めているのが、愛知万博キャラクターの「モリゾー」と「キッコロ」。機敏な動きと毛むくじゃらが愛くるしい上に、この種のキャラクターとしては珍しく、しゃがんで小さくなれるのが見所。しゃがむ度に驚きの声があがっていた。
□愛・地球博のホームページ (2005年3月18日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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