■ 格安タッチパネル液晶リモコンが登場! 欧米では、PC周辺機器メーカーであるLogitechが参入するなど、多種多様な製品が発売されている一方で、日本国内ではなかなか盛り上がらない「学習リモコン」市場。もちろん、「日本に学習リモコンが必要ない」というわけではなく、家庭内にはテレビやビデオデッキにはじまり、オーディオ機器、DVDプレーヤー/レコーダ、さらにはエアコンや照明まで、リモコンで操作する機器は増加の一途をたどっている。 さらに、世界の中でいち早く日本で普及し始めた、DVD(ハイブリッド)レコーダなどでは編集機能など機能が多岐にわたるため、ボタンが増え、操作も複雑化。本体に同梱されているリモコンの使い勝手に納得のいかない人も多いことだろう。 そいうった意味で、日本市場でも「学習リモコン」が、普通の人にも必要とされる時代がやってきたと、勝手に思っている。と、約1年半前にも同じようなことを書いたのだが、今でも状況はまったく変わらず、学習リモコン好きには悲しいところ。 学習リモコンは、なくても操作ができないわけでもなく、使ったことがない人にとっては、便利さが伝わりにくい製品でもある。「何万円も出してリモコンを買うなんて信じられない」というのが、普通の人の感覚なのだろう。 そんな状況の中、エバーグリーンの運営する、海外から面白い製品を見つけて販売する「上海問屋」で、なんと9,980円を切るタッチパネル式液晶を搭載した学習リモコン「EG-LR320」が発売された。 学習リモコンの中でも、「タッチパネル式液晶パネル」といえば高級クラスに属する。日本で店頭発売されている現行機種は、ソニーの「RM-AV3000U」(標準価格28,350円)ぐらいだろうか。過去には、ビクターの「RM-A2500」もあったが、こちらも3万円近い価格で販売されていた。 またEG-LR320は、パソコンと接続してカスタマイズできるという特徴もあり、学習リモコンの最高峰である「Pronto」を彷彿とさせる。それが、一万円で購入できるとあれば、学習リモコン好きにとっては気になって仕方がない。早速、購入してその使い勝手を検証した。なお、4月25日現在、販売ページには「売り切れました。次回入荷時にはメールマガジンで告知いたします」と記されている。
■ ハードウェアキーは装備しない
外箱はすべて英語表記で、日本語はエバーグリーンが貼ったと思われるシールのみと、上海問屋らしいパッケージだ。なお、外箱に印刷された型番は「NE-512」となっていた。 付属の取扱説明書は全88ページで、日本語と英語の2つの言語を収録。各言語約44ページぐらいづつになる。取扱説明書以外には、PCと接続するUSBアダプタと、ドライバとアプリケーションの入ったCD-ROMが付属している。 電源は単4電池4本を使用するが、電池は別売りとなっており、別途用意する必要がある。単4電池は、単3電池よりコストは高くなるが、電池を入れたときの重量が単3電池より重くならないメリットもある。本体のみの重量は155g、電池を入れると約200g(編集部実測値)。
外形寸法は142×72×32mm(縦×横×厚さ)で少々厚みがあるが、掌の中での収まりは悪くない。単4電池を電源にしたこともあり、このタイプの製品では小さい方になるだろう。
本体の大部分を占めているのが、240×160ドットのタッチスクリーン式の白色バックライト液晶。各画面ボタンに自由に機能割り当てが可能。本体背面にスタイラスペンも収納されているが、液晶にあまり小さいボタンを表示できないので、実際に使うのはタッチスクリーンのアラインメント設定ぐらいで、リモコン操作では使用することはないだろう。
本体上部には明るさセンサも搭載しており、周囲の明るさに応じて、バックライトのON/OFFを自動的に切り替えることもできる。赤外線到達距離は最大10m。
EG-LR320には、タッチパネル以外のハードウェアボタンはページ送りと戻しボタンしかなく、学習できるハードウェアキーはまったく備えていない。そのため、VHSデッキなどの押しっぱなしで早送り/巻き戻し再生するような機器の操作には、向いていないだろう。
リモコン操作はタッチパネルで行なうしかなく、押した感触がほとんどないので操作音を出したいところだが、内蔵BEEP音があまりチープな音なので鳴らす気になれなかった。
■ パソコンとはUSB-シリアル接続
EG-LR320の最大の特徴である、パソコンとの接続はUSBで行なう。実際にはEG-LR320がシリアル接続となっているため、付属しているUSB-シリアルアダプタを介して、パソコンと接続することになる。実際に使用するには、添付のCD-ROMからドライバと、アプリケーション「Remote」をインストールする。 インストールして起動すると、左側にEG-LR320の絵が表示される。この画面を見ながら操作していくことになる。ソフトは日本語化されておらず、すべて英語になっている。しかし、説明書では日本語で解説されており、機能も複雑ではないので、操作するのは難しくはない。
ただ、使ってみるまでは、「Pronto」レベルの自由自在のカスタマイズ性能があると勝手に思っていたが、実際にはそれほど自由度は高くなかった。
配置できるキーのデザインは、プリセットから選べるのみで、ユーザーがデザインすることはできない。例えば、スカパー!ではチャンネル数が多いので、その局のアイコンを使いたいといった要望は実現できない。また、ボタンが配置できる位置も1ドット単位というわけではなく、最小ボタンの半分程度が単位となっている。 デザイン機能としてはボタンのデザインのほか、ボタンの中に英数字とプリセットの記号を入れることができる。ただ注意したいのは、文字の大きさを2種類から選べるのだが、フォントの問題かPC上では収まって表示されていた文字が、EG-LR320に転送するとはみ出ていた。この点は、トライ&エラーを何度か繰り替えす必要があるだろう。
また、EG-LR320側がシリアル接続になっていることもあって、転送はEG-LR320からPCへは6秒と短いが、PCからEG-LR320への転送は約6分17秒とかなり遅かった。 これを利用して、ボタンバンク用のページを作って、そこに学習したキーを置いておくと、各リモコンボタンの学習内容を各キー単位で管理することができる。
学習リモコンとしてはすでに一般化しているマクロ機能ももちろん装備している。表示するページに8個まで登録可能で、「Remote」上で編集・管理することができる。
■ なぜか、電卓と温度計機能も搭載 学習リモコンとしては驚くべき、電卓機能と温度計が搭載されていたこと。電卓は、√などは計算できない簡易的なものだが、メモリ機能はついている。 電卓機能までなら、マイコンとタッチパネル液晶が入っている機器につけるのは簡単なので、想像の範囲内だったが、温度計はそれ用に温度センサーを内蔵する必要がある。それなのに、計測された温度に応じてなにか機能するならまだ理解もできるが、機能としてはただ温度を表示するのみ。ある一定の温度になったら、なにかの動作をするといったことができたら、エアコンなどの操作に応用できそうなのだが……。 また、時計機能を搭載しており、タイマーも利用できるが、1つの時間を指定して1つのマクロが実行できるのみ。複数の設定はできない。タイマーというよりは、アラーム機能でマクロも実行できる程度の機能にとどまっている。
実はパソコンの「Remote」上で行なったカスタマイズはほとんどすべて、本体のみで行なえる。ボタンサイズの変更や、文字入力、記号入力まで対応している。つまり、パソコンを使わなくても、問題なく使えることになる。 本体側でカスタマイズした結果をパソコンに転送して保存することも可能。ただし、忘れずにパソコンに転送しておかないと、不用意に「Remote」からEG-LR320に転送すると上書きしてしまって、本体でカスタマイズした結果や、学習した内容が消えてしまう。
■ タッチパネルリモコンの入門用に 前述の様にハードウェアキーがなく、PCと接続してのカスタマイズ性が低いので、高機能なタッチパネルリモコンを求めている層には向かないかもしれない。また、メーカープリセットがないので、まったくの学習リモコン初心者が使うのも難しいように思う。ターゲット層としては、「タッチパネルリモコンには興味があるが高価なため、あきらめていた人」が、入門用に購入するということになるだろうか。 特に転送ソフト「Remote」の完成度が低いという不満点はあるが、1万円で購入できる同種製品は、日本ではなかったのだから、その点では大いに意味がある製品だ。 第1次出荷分が売り切れたということで市場の反応も良かったようだ。個人的には、これに刺激されて、日本の学習リモコン市場が盛り上がってほしいと切に願う。 □エバーグリーンのホームページ (2005年4月25日) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
AV Watch編集部 av-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
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