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リムーバブルHDDの規格団体「iVDRハードディスクドライブ・コンソーシアム」は26日、報告会を開催し、新フォーマットの策定や新著作権保護規格「SAFIA」などが発表された。
従来はコンソーシアム内でiVDR対応の著作権保護規格の策定を進めていたが、26日付けで専門のライセンスグループ「SAFIAライセンスグループ」を設立し、iVDR用の著作権保護規格「SAFIA(Security Architechture For Intelligent Attachment device:サファイア)」を活用したデジタル家電展開を図っていくという。 iVDRハードディスクドライブ・コンソーシアムの日置敏昭代表は、iVDRの現状と今後の展開について解説した。まず、iVDRが目指す姿を「放送とネットワークが融合する時代に、ネットワーク化するAV機器と、AV機器化するPCの間を連携するものとなる」とし、大容量/リムーバブル、高速アクセス、AVとPCの親和性などを強調した。
また、HDDの用途としても、従来のPCやサーバー用途から、HDDレコーダやポータブルオーディオなどのデジタル家電市場が立ち上がっていくことに言及。「デジタル家電市場の成長にあわせて、従来“部品”として扱われていたHDDをアプリケーションに最適な容量や仕様を実現しながら差別化を図り、iVDRでは“商品”へと転換したい」と語り、そのイメージとして「カセットテープの30分/60分での価格の違いのように、使い方によって価格差を出していける製品を目指す」と説明した。 続いて、新たに策定されたiVDR Secureについて説明した。iVDR Secureは、著作権保護機能を有したiVDRで、UDFフォーマットの通常のリムーバブルHDDとして利用も可能だが、デジタル放送やデジタルコンテンツの保護機能を搭載している。
iVDR Secureでは2.5インチHDD/1.8インチHDDでそれぞれ規格が策定されているほか、1インチと3.5インチについても規格策定中という。1インチのiVDR Secure microについては既に暫定規格が策定済みで、3.5インチについては10月の規格策定を目指している。 iVDRは、当初リムーバブルかつモバイル用途での展開を目指していたため、3.5インチの予定はなかったが、ハイビジョンレコーダ向けなど、会員企業からの要望が強く規格策定に取りかかったという。
iVDR Secureに搭載されているのが、新たに策定された著作権保護機能「SAFIA」で、ブロードバンドネットワーク配信やデジタル放送録画などの用途を想定している。また、あたわてiVDR用のアプリケーションフォーマットとして、静止画用、オーディオ用、テレビ録画用の3つのフォーマットを定義した。 静止画については、デジタルカメラの標準規格「DCF」との親和性を重視、音楽についてはオーディオコーデックとしてMP3/AAC/LPCMをサポート。さらにプレイリスト機能やアルバム管理、著作権保護などについての標準規格を策定している。テレビ番組については録画フォーマットをMPEG-2 TSとし、プレイリスト機能やフォルダ管理形式などの仕様を定めているという。 今後のアプリケーションフォーマットの策定予定例としては、ビデオカメラ用、電子アルバム用、カーナビ用などを挙げている。
続いて、株式会社日立製作所 研究開発本部 新事業規格センタ 担当部長の助田裕史氏が、26日に設立された「SAFIAライセンスグループ」とSAFIAの概要について解説した。 SAFIAライセンスグループは、iVDRコンソーシアムの著作権保護関連の部会が分離、独立し、三洋電機株式会社、シャープ株式会社、パイオニア株式会社、株式会社日立製作所が中心となり設立された。 設立の目的はiVDR向けの堅牢かつ互換性の高いコンテンツ保護環境を提供することで、コンテンツ保護規格の「SAFIA」を策定。また、iVDRのデジタル家電応用に向けたライセンスフレームワークの策定も担当する。 SAFIAでは、AES 128によるコンテンツの暗号化やPKIベースの双方向認証と転送プロトコルを採用。さらに、暗号鍵とコンテンツの利用条件を一体として取り扱うコンテンツアクセス機構などを備えており、コピー回数やムーブ回数などのコピー制御や、「24時間」や「10日間」といった利用期間制限などが、コンテンツ提供者の意向に沿って実現できる。PKIをベースにしているため、ネットワーク経由での認証などにも対応する。 暗号化のためのキーやライセンス、ライセンス転送ログなどはHDD内の「TRM(Tamper Resisitant Module)」と呼ばれる専用の領域に格納し、特殊なコマンド以外ではアクセス不能とする。なお、SAFIAによるコンテンツ保護機能を備えたiVDR Secureでも通常のPC用ストレージとしても利用できる。
SAFIAライセンスグループでは、7月に対象製品や料金などのライセンスプログラムを確定し、関連商品を市場投入できるビジネス環境を立ち上げるという。最初にライセンス対象となるのは「デジタル放送録画」で、日本のデジタル放送のコピーワンスに対応予定という。 デジタル放送のコピー制御信号(CCI:Copy Control Information)の管理が可能で、現在は放送局やコンテンツメーカーなどに、SAFIAのフレームワークなどを説明している段階。7月のライセンスプログラムの開始前には、ARIB(社団法人 電波産業会)への申請を行なう予定という。 著作権保護機能にCPRMを採用しているDVD-RW/RAMなどと同様に、ムーブにも対応する予定。今後はオーディオやネット配信などのフレームワーク策定を進めるほか、日本からはやや遅れるものの、米国のデジタル放送についても米国連邦通信委員会(FCC)などへの申請を予定しているという。 なお、iVDR Secureのライセンス料については、「既存の著作権保護規格と大きく変わらない程度(助田氏)」という。また、現在のところiVDRに対応した製品は、アイ・オー・データのPC用データストレージ製品しか発売されていないが、iVDR市場の立ち上がりについては、「リムーバブルのHDDとしては、AV市場で受け入れられないと厳しいと考えている。iVDR Secure/SAFIAの導入により、PCだけでなくAV、デジタル家電での応用が期待できるようになった。これをきっかけにiVDRを推進していきたい」としている。
会場では各社のiVDR対応機が参考出品された。
□iVDRコンソーシアムのホームページ (2005年4月26日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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