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株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズは10日、社長定例会見を開催し、2004年度の決算概要と2005年の戦略を説明した。 6月からスタートするチューナレンタルや光ファイバを介した再送信サービス「ピカパー!」、モバイル向け新サービスなどの戦略説明を行なったほか、グリッドコンピュータを利用した多チャンネルIP映像配信技術などについても解説された。 2004年度の連結決算は、営業収益が前年比21億3,400万円増の740億1,600万円。営業利益は9億2,400万円減の28億2,600万円、税引後の純利益は8億2,200万円増の37億900万円となった。増収ながら減益となった理由について、同社の重村一社長は、「第3、第4四半期に次年度をにらんだ加入獲得策などを実施したため」と説明した。
1年間の個人加入者状況を見ると、2004年は43万2,000件で、解約率9.4%と伸び悩んだ。しかし、2005年はアンテナ取り付け無料キャンペーンなどの営業施策に加え、チューナレンタル事業の開始や、スカパー!110の加入者拡大などで54万件の新規加入を目指すという。 内訳としては、スカパー!が40万件、スカパー!110が10万件、ピカパー!が4万件。解約率の見通しは9%で、来年度の純増は23万2,000件を見込んでいる。 特に力を入れるのは、40代以上の年齢層へのスカパー!の普及という。従来の加入者は20~30代までが中心だったが、「この一年で加入者層が大きく変わった。韓流ブームなどの影響で、加入者の年齢構成がかなり上がってきており、ペイテレビも新たな段階に入ったと感じている(重村社長)」という。 しかし、加入者の年齢が上がるにつれ、アンテナ設置工事やチューナ購入の初期導入費用などが敬遠されるようになり、販売店などとの意見交換でも、こうした問題が指摘されてきた。そのため、まず4月1日からアンテナ取り付け工事を無料とするキャンペーンを実施したところ、加入者が前年比8.1%増と大きく伸張。「ワールドカップ以来の大幅な増加」という。 また、6月からはチューナのレンタルサービスも開始し、加入者の増加と加入者層の拡大を図っていく。チューナのレンタル料金は月額315円で、チューナはOEMメーカーによるレンタル専用機となる。
さらに、コンテンツへの投資会社スカパー・ウエルシンクの立ち上げや、同社の投資案件である映画「交渉人 真下正義」などの事例を紹介し、プラットフォーム事業だけでなく、エンターテインメントコンテンツへの投資や放送事業者などとの協力によるコンテンツの強化にも引き続き取り組んでいくという。
110度CSデジタル放送の「スカパー!110」では、2004年9月よりスター・チャンネルにてHD放送「スター・チャンネルHD」を開始しているが、今後は自主運営チャンネルの「スカチャン! 110(801/802ch)」のHD化を予定。 子会社のオプティキャストが展開する、光ファイバー網を利用して、テレビ放送やスカパー!の有料チャンネルなど再送信する「光パーフェクTV!(ピカパー!)」については、7大都市での展開を図り、通信キャリアとの連携によるサービス展開などを予定。2005年度中に4万世帯の獲得をねらう。なお、ピカパーの損益分岐点は「約70万件(オプティキャスト 篠木廣幸社長)」という。
なお、2005年度の業績見通しは、売上高が約850億円、経常利益5億円、純利益10億円。増収減益となるが、アンテナ取り付け無料による加入促進や、オプティキャストのサービスエリア拡大に伴う投資などを2005年度中に予定しているためという。 また、あわせてグリッド・コンピューティングを応用した、多チャンネルIP映像配信技術も発表。ウタゴエ株式会社と共同で研究している多チャンネル配信実験で、スカパー!の放送波をエンコーダや暗号化サーバーを介して、インターネット上のグリッドネットワークに配信。クライアントを備えたPCなどからアクセスして視聴できるというもの。 映像コーデックにはテレビ会議などで用いられているH.263を利用しており、画質などに改善の余地があるほか、今後の課題として、セキュアな配信プラットフォームの構築などをあげている。11日より東京で開催される「Grid World Expo2005」でデモが行なわれる。
□スカイパーフェクト・コミュニケーションズのホームページ (2005年5月10日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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