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三洋電機株式会社は、薄型テレビシリーズ「CAPUJO(カプージョ)」の新モデルとして、42V型プラズマ「PDP-42HD6」と、37V型フルHDパネル採用の液晶テレビ「LCD-37HD6」の計2モデルを10月21日に発売する。価格はプラズマが593,250円、液晶が556,500円。両モデル共通のサブウーファ内蔵システムラック「TD-WHHD6」(84,000円)も用意する。 いずれも地上/BS/110度CSデジタルチューナを搭載した薄型テレビ。同社は2004年9月より、外部デザイナーを起用して丸みを帯びたデザインを採用したCAPUJOシリーズを展開。液晶の17V型と23V型、プラズマの42V型を発表。さらにVIZON(ヴィゾン)シリーズとしてプラズマの37V型、液晶の30V型を発売。2005年6月には液晶の20V型、27V型、32V型を順次追加している。 今回の42V型プラズマと、37V型液晶の追加により、37V型がプラズマから液晶に変更。17V、20V、23V、27V、30V、32V、37V、42Vのラインナップが完成。最上位の42V型のみがプラズマという状態になる。
■ フルHDパネル採用の37V型液晶 37V型の液晶テレビ「LCD-37HD6」は、解像度1,920×1,080ドットのフルHDパネルを採用したモデル。なお、パネルは他社からの供給を受けており「VA(Vertical Alignment)系」としているが、供給元は公開していない。輝度は550cd/m2。コントラスト比は1,200:1。応答速度は6ms。視野角度は上下左右176度。
画質面では、新開発の「VIZONエンジンHD」を搭載。従来のVIZONエンジンとの違いは、新たに開発した高画質LSIを追加したこと。信号処理系の最終段、パネルドライバーとの間に挿入されている。具体的には「コントラストブースター」、「ブラックシャープネス」、「マルチディレクショナルエンハンサー」、「モスキートノイズリダクション」という4つの機能で構成。 コントラストブースターは、映像の特徴に応じて2,750億通りのガンマカーブから最適なカーブを算出し、適用するというもの。ブラックシャープネスは画像表示の立ち上がりと立下りを補正することで、特に白と黒の境目を明確にし、字幕などの輪郭をクッキリさせる。マルチディレクショナルエンハンサーは画像の周辺画素のレベルに応じて、あらゆる方向の鮮鋭度を向上させるという。
また、32V型「LCD-32HD6」、27V型「LCD-27HD6」で採用している「スポーツモード」をブラッシュアップ。「野球/サッカー/ゴルフ」、「相撲/格闘技」、「ウインタースポーツ」、「マリンスポーツ」、「マラソン/その他」の5モードを用意し、芝の緑や肌の色、海の青などをそれぞれ鮮やかにするという機能は同じだが、今回から音質も連動して変化するようになった。 それを実現するために、SRS WOWを搭載。野球やサッカーでは歓声の広がりを、相撲や格闘技ではぶつかりあう高音を強調、マリンスポーツモードでは波の音の中域音を強調するなど、さらにソースに合った、臨場感のある映像・音声が楽しめるという。 また、GUIも「使いやすさ」をテーマに改良。リモコンも新デザインを採用し、基本機能のみのサブリモコンも引き続き同梱している。メインリモコンには新たに「何みる」ボタンを備えており、押すと「何みるガイド」が表示される。これは地上アナログ/デジタル、BS/110度CSデジタルの番組表と、ジャンル検索、よくみる放送登録、入力表示切替などが1画面にまとめられているもの。
なお、番組データは各デジタル放送からのみ受信しており、Gガイドなどには対応していない。そのため、地上アナログの番組表は表示できず、チャンネル番号のみが表示される。
丸みを帯びたデザインがCAPUJOシリーズの特徴だが、37V型は直線を取り入れたデザインを採用。カラーリングもホワイトからシルバーに変更されている。入力端子はD4×3、S映像×2、コンポジット×3、アナログ音声×5、アナログRGB×1。HDMI端子は備えていない。出力はデジタル放送×1、モニター×1、光デジタル×1、ヘッドフォン×2、ウーファ×1。さらにi.LINK、モジュラージャック、100BASE-TX対応のEthernet端子も備えている。また、SDカードスロットとストレージクラス対応のUSB 2.0端子も備えており、JPEG静止画の表示も可能。
内蔵アンプの最大出力は10W×2ch。また、サブウーファ用の音声出力も備えており、別売のサブウーファ内蔵のラック「TD-WHHD6」(84,000円)も用意。本体と合わせて、45Wのウーファ出力が楽しめる。また、左右各30度までの電動スイーベル機能も備えている。スタンドを含めた外形寸法は、92.5×31.4×72.7cm(幅×奥行き×高さ)。重量は30.6kg。消費電力は210W。
■ 42V型プラズマ 「PDP-42HD6」は、富士通日立プラズマディスプレイ(FHP)の第5世代ALISパネルを採用した42V型のプラズマテレビ。解像度は1,024×1,024ドット。輝度は1,400cd/m2。コントラスト比は3,000:1。黒が引き締まった、ボケ感のない映像を実現したという。 そのほかの主な仕様は液晶テレビ「LCD-37HD6」と共通で、「VIZONエンジンHD」や「スポーツモード」を搭載。チューナやリモコン、GUI、EPGの仕様も同じ。なお、入出力端子の種類と数も同じだが、3系統のD4端子の内2系統を背面に、残り1系統を液晶は側面に、プラズマは前面に用意している。 スタンドを含む外形寸法は107.6×31.4×82cm(幅×奥行き×高さ)。重量は46kg。消費電力は370W。
■ 大型モデルはリアプロの導入も検討
同社は昨年、薄型テレビの台数ベース国内シェアの目標を4%と掲げたが、300万台の市場で10万台出荷と、目標に届いていない。この点についてAVカンパニー テレビ統括ビジネスユニット国内テレビビジネスユニットの友田宏之リーダーは「昨年度はラインナップも完全に揃っていなかった。今年はこの2モデルを追加したことでラインナップが完成。20万台まで伸ばしていきたい」と抱負を語った。
しかし、同社は液晶/プラズマのどちらのパネルも他社から供給を受けているため、単価の下落が続いている薄型テレビ市場において、価格面でアドバンテージを持つことは難しい。市場で勝ち抜くために、「極力他社と同じような商品から脱却し、独自の魅力を提案。そこに価値を見出してもらえるようにしたい」とし、その一例としてデザインを挙げた。
なお、今回の2モデルも、従来のCAPUJOシリーズと同様に、グエナエル・ニコラ氏をデザイナーとして起用している。だが、丸みを帯び、ホワイトを基調とした下位モデルと比べ、上位2機種は直線を取り入れたシルバーを採用。他社製品との差別化というコンセプトが薄らいだようにも見える。 この点に関して友田氏は「上位モデルでは高級感を最優先に考えたため、ニコラ氏と話し合って直線とシルバーを取り入れることにした。確かに独自色は薄まったかもしれないが、店頭で他社の製品と比べてもらえばデザイン面の大きな違いを認識してもらえると思う」と語った。 HDMI端子の搭載を見送った理由については「現在の日本市場では搭載している機器がほとんどない。今後は市場動向を見ながら判断していきたい」(商品企画グループ川本準マネージャー)という。また、著作権保護の観点からデジタル放送の伝送をHDMIのみで行なおうという議論については「HDMIを搭載していない薄型テレビは既に大量に発売されており、消費者にとって不利益になるそのような考えは理解しかねる」(川本氏)と答えた。
また、今後の展開については「その時点で最良のパネルや映像表示システムを採用できるのが強み」とした上で、「最近注目を集めているリアプロジェクションについても検討している。業務用製品では既に手掛けているのでノウハウは持っている。展開するとすれば、42型以上の大型モデルになるだろう」と可能性を語った。
□三洋電機のホームページ
(2005年8月23日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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