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株式会社ディーアンドエムホールディングス(D&M)は26日、9月末で「Rio」ブランドで展開するMP3プレーヤーの販売活動を終了し、全世界的にMP3プレーヤー事業から撤退すると発表した。現在のところ、「Rio」ブランドの引き受け先がないまま撤退するため、Rioブランドは市場からなくなる見込み。
D&Mでは2003年4月よりRio事業を展開していたが、「市場競争が激化し、価格競争もさらに熾烈化している中、ユーザビリティを向上させるなど、競争力の維持に努めてきた。しかし、コアであるプレミアムAV事業との戦略的シナジーが少なく、これ以上の経営資源の投下は難しいと判断した。また、ポータブルオーディオ技術を吸収するという、当初の目的は既に果たされた」として、撤退を決定したとしている。
なおアフターサービスや、修理、保証、販売店に対するサポートは、D&Mが引き続き対応する。また、7月に米SigmaTelへ、MP3プレーヤー事業の知的財産、および技術資産の一部を売却しているが、知的財産や技術リソースに対するアクセスはそのまま確保する。D&Mでは今回の撤退により、「コアであるプレミアムAV事業により焦点を当てた事業展開が可能になる」としている。 またD&Mでは、2006年3月期第1四半期(2005年4月1日~6月30日)の概況も発表した。連結売上高は対前年比2.5%減の187億円。デジタル・ネットワーク関連事業の売上高は、前年度より若干上回ったが、営業損失は10億4,000万円、経常損失は11億3,000万円、損失は7億1,000万円となった。営業損失については、主にRio事業から生じたもので、Rio事業の営業損失は9億6,000万円としている。また、中間期業績予想を下方修正し、通期の売上高予想も下方修正した。
当初10月下旬の発売が予定されていたが、米レコード産業協会(RIAA)による同協会が制定したデジタルオーディオの著作権使用料支払いシステム「Audio Home Recording Act」(AHRA)にRioが違反するとして、販売差し止め請求の影響を受けて出荷が遅れた。10月末にこの請求が棄却され、12月上旬に発売。32MBメモリを内蔵して、実売価格は25,000円程度だった。 その後ソニックブルーは、MP3 CDプレーヤー「RioVolt」などのMP3製品を展開したが、親会社の米Sonicblueが、株式会社ディーアンドエムホールディングス(D&M)にRio事業を3,620万ドルで売却。ソニックブルーは清算されたが、D&Mになっても、Ethenet対応HDDプレーヤー「Rio Karma」を発売するなど、Rioブランドは生き残った。
しかし、iPodが市場席巻し、大手家電メーカーのほとんどがポータブルデジタルプレーヤー市場に参入。それ以外のメーカーは過酷な価格競争が強いられる市況となり、MP3プレーヤーの草創期を担ったRioは、約7年で退場することとなった。
□Rio Japanのホームページ (2005年8月26日) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
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