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IFA 2005レポート【BD/HD DVD編】
-近づく製品化。欧州のHD牽引役にも期待


会期:9月2~7日

会場:メッセ・ベルリン見本市会場


 最近の大型家電ショーでは、必ず大きな発表のあったBlu-ray DiscとHD DVD。しかしIFA 2005では、今秋発売のPC用ドライブなど以外は目立った動きはなく、「目玉はCEATECかCES」との声も多い。しかし、HD DVDは年末から来春の市場立ち上げを目標に、BDは2006年中の立ち上げと、2006年春発売予定のプレイステーション 3の動向を伺いながら、製品化に向けデモの完成度などは増している。

 また、HDTV放送がほとんど始まっていない欧州でのショーと言うこともあり、HDコンテンツを魅力を訴えるためのツールとして、SDとHDの比較デモなどが多数行なわれている。


■ BD関連ではデモの完成度が向上。インタラクティブ機能などを披露

 BD-ROMの仕様策定を控え、各社がBDプレーヤーを出展。HDTVの立ち上げが遅れている欧州ということもあり、レコーダ機能を謳うことはほとんどなく、HDコンテンツの魅力と、DVDを上回る使い勝手にフォーカスしたデモが各所で行なわれた。

ソニーの新BD-ROMプレーヤープロトタイプ

 ソニーは、BDAのブースで新デザインのBD-ROMプレーヤーを参考展示。CESやCeBITでもBD-ROMプレーヤーの再生デモを行なっていたが、新たに複雑なメニュー構造表示や拡張機能を実装し、再生デモを行なっている。なお、ユニークなデザインについては「プロトタイプなので、すぐに量産機でないことがわかるようにしたかった」とのことで、この形で製品化されることはまず無いという。

 新プレーヤーでは実際にBD-ROMディスクを利用し、再生中にメニューを立ち上げて映像を見ながらチャプタ選択操作や、プレゼンテーショングラフィックと呼ばれる拡張情報表示を行なうデモを実施。使い勝手の面でもDVDより優れた点をアピールしている。

 また、JAVAの拡張機能のデモも実施。今回はディスク上に情報を格納しており、「利用イメージ」とのことだが、インターネット接続し、京都の映像を見ている時に、地図情報をダウンロードして表示したり、天気情報を表示するなどと言った応用例を紹介している。

 また、デモ再生映像もMPEG-2 TSの約40Mbpsと過去最高のレベルとし、高画質をアピール。今回はHDコンテンツとBlu-rayフォーマットのプロモーションに力を入れていることから、より高画質でのデモを目指したという。また、「特に画質については日本のコンテンツホルダの要求が強いが、40Mbpsの映像を見てもらうと、大抵満足してもらえる」という。

実際にBD-ROMディスクを利用してデモ 映像再生中にメニュー表示するポップアップメニューと情報表示するプレゼンデーショングラフィック JAVA拡張のイメージ。マップをネットからダウンロードする

 ビクターは、BD-ROMと2層DVD-ROMのハイブリッドディスクを出展。同じディスクでBD-ROMプレーヤーとDVDプレーヤーの双方で再生するデモを行なっている。1層ブルーレイディスクと現行の2層DVDの3層構造のディスクで、BD-ROMで25GB、DVD-ROM部が8.5GBの容量を持つ。ブルーレイディスクの再生時には表面部分のBD層を再生し、DVD再生時には内部のDVD層を再生する。

 既にBDAでの規格化を開始、ブックも作られている段階と言うが、規格化の時期については未定。ただし、BD-ROMプレーヤー/DVDプレーヤーの双方で再生できるため、ソフト購入時はDVDのみでも、将来的にBDプレーヤーを購入すればハイビジョン映像が楽しめる。「市場の移行期には必ず必要となってくる。BDの市場が立ち上がる頃には間に合わせたい」という。

 なお、BDの2層化については、検討/開発は進めているが、「CDとのハイブリッド化などの要求もあり、どんなメディアにどのように対応するかは要求を見極めながら決めていきたい」とした。

ハイブリッドディスクをBDとDVDプレーヤーで再生 BD/DVDハイブリッドディスク

松下の新BD-ROMプレーヤー

 松下電器はBD-ROMプレーヤーの実働デモを実施。「DMR-E700BD」とほぼ同サイズの筐体でベアディスクのROMメディアを再生できるBD-ROMプレーヤーと、より薄型のプレーヤーを出展した。

 ハードウェア的にはCeBITの展示機とほぼ同じだが、ソフトウェアを更新し、JAVA対応などを実現。より量産製品に近い形でのデモを行なっている。発売時期は「2006年中」(同社)。再生専用機からスタートするか、レコーダからになるかなどは、「動向を見ながら製品企画する」という。


薄型プレーヤーも出展 PC用のBD/DVDドライブ

 また、2日にはSonic SolutionsがRoxio製品のBDサポートを発表。BDAのブースではデモも行なわれている。

日立もBDレコーダを参考出展。BD/HDDのハイブリッド型でCeBITからハードウェアに大きなアップデートは無いが2006年の発売を目指す パイオニアはBDレコーダ「BDP-1000」を参考展示。外形寸法は439×348×94mm。また、BDAのブースではBD-RE/Rドライブも出展している Samsungは、「BD-HR1000」のネットワーク配信機能をデモ。無線/有線でMP3やJPEGの送受信が可能だが、HDコンテンツのネットワーク利用はできない


■ HD DVDプレーヤーの国内リリースは予定通り

東芝はHD DVDプレーヤーでSDコンテンツとの比較デモを実施

 東芝はHD DVDプレーヤーを実働デモを実施。SDとHDの画質比較を中心に再生デモを行ない、多くの人の注目を集めている。ただし、欧州でのHD DVDプレーヤー発売については、「HDテレビの普及も日本や北米より遅れており、現在のところ未定」という。

 1日には一部で「北米でのHD DVDの立ち上げを2006年3月に延期」と報道されたが、「ハリウッドの意向もあり、北米では一斉に市場を立ち上げたいという意見が強い。そのための時期の調整は常に検討を続けている」とのことで、やや立ち上げが遅れる可能性は高いようだ。なお、日本での発売スケジュールについては、従来予告していたとおり、2005年末から変更はない。


東芝のHD DVDプレーヤー 背面。試作機だがHDMIも備えている

 NECはHD DVD-ROMドライブ「HR-1100」を出展。9月の正式発表/発売を予定しており、PCに組み込んで実機でVC-1のHD映像再生を実施している。インターフェイスはIDE/ATAPI。

 また両面2層で60GBの容量を前面に打ち出したプレゼンテーションなども行なっている。なお、「HR-1100」にはHD DVD-ROM対応は再生のみで、HD DVD-R/RWの記録はできない。記録型ドライブの発売は12月になる予定。

NECはPC用ドライブ「HR-1100」で再生デモ

□IFA 2005ベルリンショーのホームページ
http://www.ifa-berlin.com/
□IFA 2005のホームページ
http://www.phileweb.com/ifa/
□関連記事
【3月11日】CeBIT 2005レポート【ブルーレイ編】
AppleがBDAに加入。松下は新BDプレーヤーをデモ
日立は2006年に20万円のBD/HDDレコーダを投入
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050311/cebit03.htm
【3月12日】CeBIT 2005レポート【HD DVD/DVD編】
NECはHD DVDドライブの量産試作機を出展
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050311/cebit03.htm

(2005年9月2日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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