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株式会社ジュピターテレコム(J:COM)は28日、2005年9月第3四半期の決算説明会を開催。デジタル放送サービスへの移行方針や、新STBの投入計画などが明らかにされた。
第3四半期の営業収益は前年同期比12.7%増の1,334億円。M&Aによるサービスエリア拡大とそれに伴う営業費用や広告費の増加により営業利益は3.3%減の177億円となった。 総加入世帯数は前年同期比9%増の199万6,100世帯。RGU(収益獲得単位)は14%増の3,432,500件。同社ではCATVサービスの「J:COM TV」、インターネット接続サービス「J:COM NET」、電話サービス「J:COM PHONE」を展開しているが、このバンドル率も前年比0.08ポイント増の1.72となった。 同社の森泉知行代表取締役社長は、今後の事業戦略について解説。昨日のウィルコムとの提携による携帯電話事業への参入について言及し、J:COM PHONEとのシナジーを活かしたモバイル事業と定義、「(TV/NET/PHONEの)トリプルプレーヤーからグランドスラムプレーヤーになる」と意気込みを語った。 ■ J:COM TVデジタルでDVRサービス。12月にパススルー対応へ J:COM TVについては、9月に小田急ケーブルテレビジョンとケーブルテレビ神戸の株式を取得して連結子会社化。さらに、札幌や千葉県野田市などのネットワーク延伸を図り、M&Aやネットワークの拡張によりスケールメリットを追求していく方針という。両社のM&Aについては、「人口密集帯で、高収入、(J:COMとなる)ファミリー層が多い。ほかのJ:COMエリアとも近接しており、ネットワーク設備の共有などのシナジー効果も図れる」と説明された。
また、J:COM TVのデジタル放送再送信サービス「J:COM TVデジタル」については、加入世帯が50万世帯を突破。9月末で51万8,700世帯となり、デジタル化率も30%を超えた。同社では2005年のデジタル加入世帯目標を60万世帯としているが、「デジタルへの移行は順調で、2008年の全面デジタル移行へ向けて今後もこの流れが続くと考えている」と好調な移行状況をアピールした。 さらに、J:COM TVデジタルについては、「7月から全国展開のVODが好調で、購入数も15万を超えた」という。1~9月の売上げは3億円程度で、PPVも含めて約10億程度だが、今後コンテンツの拡充などで、VODの魅力を訴求。CMについてもVODを積極的にアピールしていくという。 J:COM TVデジタルについては12月にHDDレコーダ機能付きのSTB(DVR)のサービスも展開予定。ダブルチューナを搭載し、裏番組視聴も可能となる予定。製造は韓国のHumax。11月に正式発表する予定で、STBはレンタル提供。「現在のJ:COM TVデジタルにプラス800円程度でサービスインする予定(加藤徹事業開発統括部長)」。 なお、12月よりJ:COM TVデジタルで、地上デジタル放送のパススルーに対応する。現在のJ:COM TVデジタルでは、ケーブル局で変調を行なうトランスモジュレーション方式を採用しており、デジタル放送の視聴には専用のSTBが必要。そのため、地上デジタルをデジタル放送対応テレビで直接視聴できなかった。しかし、12月1日より関東/関西エリアでパススルーに対応することで、J:COMのサービス提供家庭のデジタルチューナ搭載テレビで、直接地上デジタル放送が視聴可能となる。 ■ スカパー!/NTT提携へ苦言も また、C.LINKによる上下100Mbpsのインターネット接続サービスも既に福岡などで実施。さらに、新たに加わった旧小田急ケーブルビジョン、ケーブルテレビ神戸のエリアについても「J:COM PHONE」の展開を図るなど、各サービスの連携により「ARPU(1ユーザーあたりの平均収入)」の拡大を目指す。 ウィルコムとの提携によるモバイル電話サービス「J:COM MOBLIE」は2006年にスタート予定。J:COM PHONEとの相互通話割引やワンストップサービスなどを訴求し、「J:COM PHONEの90万ユーザーのうち、5~10%を1~2年内に獲得する」。さらに、デジタルTVや電話、VODの事業者向けホールーセールも推進する。
また、伝送ネットワークについても、衛星経由でCSデジタル放送を配信するHITSから、光ファイバ網を活かした「HOG(Head-end on the ground)」への移行を促進。関東/札幌で10月、関西で11月、九州で12月に移行し、「競業である衛星事業者への依存から脱却したい」という。また、HD映像の伝送コストも低価格化するため、あわせてコンテンツのHD化にも活かしていく方針という。 さらにデジタルSTBの導入により、双方向機能を活かした視聴率調査も計画。地上波/BS/CSのチャンネル別視聴データを収集し、これらのデータを扱う事業会社の設立も検討しているという。森泉社長は、ペイテレビの広告収入の少なさ(年間約200億円)を例に取り、「実際には7~800億円程度の広告価値はあると考えているが、広告主に届いていない。チャンネルの専門性を活かしたターゲットマッチなどを図った広告が打てれば、価値が理解されるのでは」と語った。 なお、昨日発表されたスカパー!とNTT東西との提携による、Bフレッツとオプティキャストのバンドル営業、共同展開については、「放送と通信の融合は世界的に見ても自然な流れ」と一定の理解を示した。ただし、「まとめるならば一箇所にまとめなければならない。それぞれのサービスにおいて、1つのカスタマーセンターで対応するのは、現在のNTTでは難しい。われわれは全てのサービスを一括請求し、カスタマーセンターも1つ。トリプルプレーヤーとして顧客満足度が高いのはJ:COM」と優位を強調。さらに、「(スカパー!が)オプティキャストで相当損をしているので、外したかったいうことなんじゃないか」とユーモアを交えコメントした。 □J:COMのホームページ (2005年10月28日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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