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文化庁は11日、第9回・文化審議会著作権分科会法制問題小委員会を開催。その中で、検討課題であったiPodなどのHDD内蔵型オーディオ機器などを、私的録音補償金制度の対象とするか否かの問題について、結論を先送りし、課金を見送ることを明らかにした。 著作権分科会では、HDDオーディオプレーヤーなどの追加指定に関して、実態を踏まえて検討を行なっていたが、「仮に補償金制度導入時にHDDプレーヤーなどが存在していれば、制度の対象になったであろう」という意見がある一方、静止画など、音楽以外のデータを保存できる「汎用機器」であるため、対象とすべきでないという指摘があったという。 しかし、大まかな方向性としては「これらの機器は音楽の録音・再生を最大限のセールスポイントとして販売・購入されている」とし、「音楽の録音に用いられるもの」として制度の対象とすることは「不可能ではない」としている。 そのうえで、現在の補償金制度に様々な問題が指摘されていることを考慮。「こうした問題点を抱えたまま、新たな指定を行なうことについて反対意見が多数出ている」とし、現時点で指定を行なうことは適切ではないと思科する」と結論づけた。 これにより、現時点での指定は見送られたこととなるが、著作権分科会では今後の方針として、補償金制度自体の存否も含めた、抜本的な検討が必要と判断。この検討では実態を踏まえた解決策を見出すことが求められるため、「ユーザーや関係者が参加した形で検討することが適切だ」としている。 そこで、委員会とは別に、検討の場を設けることを提案。検討にあたっては、「国際条約との関連に大きな留意を払いながら、私的録音により権利者の利益が不当に侵害されないように考慮。さらに、ユーザーの視点も重視し、利用しづらいものにならず、利用者のプライバシー保護にも配慮。かつ、納得のいく価格構造になるよう留意する必要がある」とした。 検討の場の設置時期や、どのような形態になるかなどの具体的な事柄は未定だが「2007年度中には一定の具体的結論を得るよう、迅速に行なう必要がある」としている。なお、今回提出された報告書案は、12月1日に行なわれる次の委員会でとりまとめが行われ、公表される予定だが、内容は報告書案とほぼ同じものになる見込み。 また、同時に検討されていた、パソコン周辺機器のHDDや、データ用CD-R/RWなどの汎用機器・記録媒体への課金については「録音・録画を行なわない購入者からも強制的に一律に課金することになる」、「課金対象の無制限拡大につながる」、「実態として他人の著作物の録音・録画が利用の相当割合を占めるとは考え難い」、「現在の補償金制度の問題点を増幅させる結果を招く」などの理由で対象とすべきでないとする意見が多い。
委員会では「今後の私的複製における重要な課題であるため、来年以降十分な検討を行なう必要がある」としている。
□文化庁のホームページ
(2005年11月11日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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