|
三洋電機株式会社は18日、2005年度上半期(4月~9月)の連結業績を発表した。売上高は1兆1,874億円。営業利益は9月時点の予想である50億円の赤字から215億円悪化した265億円のマイナス。税引前利益は1,238億円の赤字で、当期純利益も1,425億円の赤字となった。 これに伴い、連結通期の業績予想を修正。売上高は9月の予想である2兆4,400億円から変更はないが、営業利益が180億円の予想から170億円の赤字に。税引き前利益が1,110億円の赤字予想から2,020億円の赤字。当期純利益も1,400億円の損失予想から、2,330億円の損失へと、大幅に悪化する見通し。これを踏まえて同社は、来期以降の業績のV字回復を目指し、1万人のリストラを含む中期経営計画を発表した。
■総合家電メーカーから脱却
事業の選択・集中を進めるため、総合家電メーカーからの脱却を発表。不振の続くAV事業や半導体事業などを「構造改革事業」と定義。抜本的な改革や他社とのアライアンスなどを進める。 さらに、コア3事業への集中・強化による成長戦略へシフトする。具体的には、好調な二次電池やカーオーディオ機器などの「パワーソリューション事業」は、自動車分野での成長戦略を軸に展開。業務用冷熱機器や太陽光発電システムなどの「冷熱、コマーシャル事業」は中国や欧州などの海外成長市場への展開を加速する。 デジタルカメラや携帯電話などの「パーソナルモバイル事業」では、携帯電話とデジカメ事業の本格的な融合を行ない、ビジネスモデルを強化していく。 なお、同社はこうした中期経営計画後の三洋の全体像を、これまでの総合家電メーカーから「環境・エナジー先進メーカー」と表現している。
■AVや半導体事業は「構造改革事業」に 同社は9月に、不振が続くAV事業においてDVDプレーヤー、DVDレコーダ、VCR事業の撤退を発表しているが、今後TV事業の大幅な再編にも着手。「他社とのアライアンスも視野に入れた抜本的な改革を行なう」とし、特に中国での集中生産・集中購買を進めることで、世界650万台生産規模のスケールメリットを活かす。 また、HD DVDについては光ピックアップの開発に資源を集中。他社OEM供給によってセット販売も行なう。コンデンサなどの高収益デバイスには、継続して注力する。 半導体事業では、DRAM、Flash、TFT液晶ドライバ、不採算なマイコン、不採算オーディオ用厚膜ICなど、不採算領域からの撤退を発表。アナログテレビ用LSIやカーオーディオ/デジタルオーディオ用LSI、PDPドライバ、超小型トランジスタなどの得意分野に集中。独立事業体としての自立を目指す。 白物家電事業は、アライアンス強化による事業再編を目指す。金融事業は、有力先との業務・資本提携でさらに事業強化を図る。提携先などは明らかにされていないが、子会社である三洋電機クレジットのファイナンシャルアドバイザーに大和證券SMBCを任命した。
■「聖域なき削減」を実行 財務体質の健全化を行なうため、不動産の売却などにより、2005年度に370億円、3年間で553億円のキャッシュインを予定。さらに、保有上場株式の売却を進め、2005年度に500億円、2年間で726億円の収入を見込んでいる。 また、人件費の削減として、「聖域なき削減を実行する」と発表。2006年1月末までに1万人のリストラを行なうことなどを明らかにした。 さらに、構造改革やコア事業への設備投資などを行なうために、資本増強を検討。約2,000億円から3,000億円規模の増資を予定しており、その方法として既存株主への株主割当と、第三者割り当ての組み合わせなどを検討。具体的な引き受け先などは決定していないが「今後必要な手続きを経て、随時発表する」としている。
□三洋のホームページ
(2005年11月18日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
Copyright (c)2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|