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リムーバブルHDDの規格団体「iVDRハードディスクドライブ・コンソーシアム」は29日、デジタル放送録画が可能な著作権保護機能を備えた「Secure iVDR」のライセンスを開始した。 ライセンスは「SAFIAライセンスグループ」が担当し、ライセンス料は評価用/小売業者向けが70万円、ストレージ関連機器の場合150万円、テレビ録画機器の開発メーカーが150万円。なおストレージ機器や録画機器1台当たり10円の認定料が課される。 iVDRは、2.5インチHDDのiVDR Max/1.8インチHDDのiVDR miniの規格化が終了、1インチについては暫定規格のiVDR Microを用意していたが、新たに3.5インチのSecure iVDRも規格化された。
3.5インチHDD採用のSecure iVDRは、従来のiVDRのような専用カートリッジを持たず、通常のHDDにSecure iVDRのセキュリティ機能とコマンド体系を加えたもの。主にハイビジョンレコーダでの採用を想定している。また、カートリッジを備えたリムーバブル型の3.5インチiVDRの規格化作業も進めているが、本当に需要があるのかなど市場動向を含めて、引き続き検討を進めるという。
なお、2.5インチと1.8インチについてはSecure無しのiVDRが用意されるが、3.5インチについてはSecure iVDRのみとなる。 Secure iVDRには、通常コマンドでアクセス可能な領域と、コンテンツの利用ルールやセキュア情報などを格納するTRM(Tamper Resistant Module)と呼ばれる領域を確保。このセキュア領域で、何回までの転送/再生や、何日までの再生、といったコンテンツの運用ルールを管理しており、この領域については専用の拡張コマンドによりセキュア化を図っている。 なお、アプリケーションフォーマットについては、デジタルテレビ録画録画とストレージデバイス用がそれぞれ策定されているほか、2006年第四半期には音楽用のフォーマットが策定される予定。また、地図データなどについても規格化作業を進めていく。 Secure iVDRのライセンス開始により、デジタル放送録画が可能となるが、実際に機器を発売するためには、Secure iVDRの著作権保護の仕組についてARIBで承認を得る必要がある。そのため、対応レコーダの発売は、承認後となるが、「いつとは言えないが、見通しはある程度得られた(日立製作所/SAFIAライセンスグループ 助田裕史氏)」という。 2002年の立ち上げ以来、アイ・オー・データの外付けHDD「iVDR-20/USB2-iVDR/20(2004年4月発売)」以外の採用例がなかったiVDRだが、デジタル放送録画機に関しては、「(著作権保護の仕組みがなかったため)今までは勝手に作って出すことはできない状態だった。ライセンス開始により、商品企画がやっと議論できるような段階になった(助田氏)」とのことで、ようやく本格的な対応機器の登場にも期待ができそうだ。 そのほか、Secure iVDR規格のアップデートとしては、「外形耐久温度」の推奨スペックがマイナス40度から85度と定められた。主に車載用途での活用を想定し、より温度変化が大きく過酷な環境でも問題なく動作できるよう、自動車メーカーなどの要求を取り入れたという。 また、「マイiVDR実証実験」も実施予定。これはiVDRに個人特定機能を付与することで、そのiVDRの持ち主の嗜好にあわせて好みの番組などを録画したり、外出先からの認証コントロールなどを行なう機能という。
■ iVDRで自動車本体機能もアップグレード?
iVDRハードディスクドライブ・コンソーシアムの日置敏昭代表は、「Secure iVDR」のライセンス開始を「PC周辺機器からSAFIAを利用したAV機器への展開」と表現。市場の拡大しているデジタルレコーダでの採用をアピールした。 また、カーAVなどでの応用例を紹介し、「ネットワークでHDDにコンテンツを貯め、フットワークで車にも持ち出せる」と表現。全てをネットワーク配信で行なうのでなく、モバイル用途にはHDDを持ち運ぶほうが“わかりやすい”と強調した。 さらに、3.5インチSecure iVDRについては、「従来のHDDレコーダでは、HDDの拡張ができなかったため、数年後にはHDD容量が足りなくなってしまう。iVDRでは簡単にアップグレードできるし、メーカーから見てもメンテナンスが容易になる」とメリットを語った。 日本シーゲイト株式会社戦略マーケティング部の渡辺亮氏は、新たに策定された3.5インチiVDRについて支持を表明。「コンテンツが高画質かつ大容量になっているが、これを車や出先、電車などで持ち運びたいというニーズがこれからでてくる」と予測。「HDDレコーダに3.5インチを入れて、小型のiVDRにムーブして、車で見ると言った応用も可能。このビジネスモデルは実現できる」と期待の程を語った。
また、トヨタ自動車株式会社 e-TOYOTA部 システム開発室の藤原靖久氏は、iVDRの車載用途への応用例を解説。特にHDDナビで問題となっている、著作権保護を施しながらの地図の更新や、地上デジタル放送対応、車/家庭でのシームレスなコンテンツ連携などを実現するための有力な選択肢として、iVDRの標準化に期待しているという。 さらに、AV機能だけでなく、エンジン制御ソフトやハイブリット制御ソフト、トランスミッションの制御ソフトなど車本体の機能向上への応用も可能。なお、具体的な採用時期については、「家電の展開次第で変わってくる。これがデファクトだとわかれば、車でも自ずと採用する」と語った。
(2005年11月29日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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