|
富士通日立プラズマディスプレイ株式会社(FHP)は、42V型でフルHD解像度のプラズマディスプレイパネル(PDP)モジュールを開発した。2007年春の量産開始を予定しており、日立製作所から同パネル搭載テレビが製品化される予定。
パネル解像度1,920×1,080ドットの42V型PDPモジュール。松下電器やパイオニアも50型以上でフルHDパネルの開発表明を行なっているが、42型でのフルHD対応は世界初となる。独自のALIS方式を改良し、従来比2/3のスリムリブ構造を新開発。画素ピッチを0.16×0.48mm2まで高密度化しながら、約61%の高開口率を実現した。 輝度は1,000cd/m2、暗室コントラスト比3,000:1。今回はあくまで開発表明のため、実際のスペックについては変更される予定で、「今後も材料や生産面などの改善を進めていく。輝度は現行の42型XGAパネル(A3シリーズ)の1,400cd/m2に近づけたい」という。 奇数ラインと偶数ラインを交互に発光させることで、1/2の電極数でライン表示可能なALISパネルの特性を生かし、高密度化を実現。従来比約2/3の薄さとしたスリムリブの採用や材料の改善などで開口率を高めるとともに、画素密度を向上させた。 また、ALISパネルの特徴でもある、全ラインを1度にスキャンするシングルスキャン方式を引き続き採用。そのため、42V型でフルHDの画素数を駆動する時にも、サステイン時間を長く保持できるほか、アドレスドライバを上下に配することで電極端子ピッチを広く確保し、輝度の低下を抑えながら、高い生産性も実現できるという。
フルHD化に伴い、信号処理技術も改善。高速駆動制御の採用により、輝度を高めたほか、表示画像にあわせた、信号処理を行なうことで、暗部の階調性や動画性能の向上を図っている。
■ 三番館の立ち上げを前倒し。2006年に月産20万台体制を確立
FHPの井本義之社長は、垂直解像度720ドット以上のHD対応パネルでシェア30%を目指すことを表明。さらに、現在建設中の宮崎事業所三番館の建設状況と、目標キャパシティについて説明した。なお、今回発表の42型フルHDパネルは三番館での製造を予定している。 三番館は、当初2007年1月の量産開始を目指していたが、「需要が逼迫しており、2006年10月の量産に前倒した」という。当初月産台数は10万台を予定。建物は320×120mの2階建てで床面積は約88,800m2。11月時点で建屋はほぼ完成している。 2006年10月の三番館の量産開始を受け、月産台数は二番館の10万台とあわせて合計月産20万台。さらに、2008年には三番館の第二期ラインの稼働により月産20万台、二番館との合計で30万台体制を確立するという。
FHP 開発設計本部の石垣正治開発統括部長は技術概要を説明。他社に先駆けて、プラズマテレビのボリュームゾーンとなる42型でフルHD対応を果たした理由については、独自のALIS方式の改善が大きいという。 ALISパネルでは現行42型パネルでも1,024×1,024ドットの解像度を有しており、垂直画素については1080化が容易。さらに、シングルスキャン方式のため、アドレス電極を上下に配することで、信頼性と高生産性を確保しながらフルHD化が可能となったという。 なお、価格については、「量産時の市場価格によるが、現時点では未定」としている。同社では55型のフルHDパネルの開発表明も行なっているが、「技術的な変更、改善点が多く、別の世代のパネル」とのこと。実際の製品化についても42型が先になる可能性もあるという。 また、デジタル放送や次世代光ディスクにより垂直解像度1,080ドットの映像ソースが増えていることから、フルHD以外のHDパネルについても、垂直解像度を1,080ドットに増やすことも検討している。
□富士通日立プラズマディスプレイのホームページ (2005年12月7日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
Copyright (c)2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|