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株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズの100%子会社である株式会社オプティキャストは、NTT東日本、NTT西日本と、光ファイバー接続サービスの営業会社を設立し、2006年2月より本格的に営業開始する。
新会社では、オプティキャストによるデジタル放送再配信/多チャンネル放送サービス「ピカパー!」と、NTT東西の光ファイバ網を用いた光アクセスサービス「Bフレッツ」をセットにし、集合住宅や戸建て向けの営業を行なう。オプティキャストでは、NTTグループの営業力による販売体制の強化が期待できるほか、NTTグループではBフレッツのオプションメニューとしてピカパー!を提案することで、高付加価値かつ魅力的なサービス提案が可能となる。 新会社の社名は株式会社オプティキャスト・マーケティング。現在のオプティキャストの営業部門を分割し、2006年1月25日に新株を発行。オプティキャスト、NTT東日本、NTT西日本がそれぞれ引き受ける。 新株発行後の資本金は37億円(現在は2,500万円)で、発行済み株式は74,000株となる。株主構成はオプティキャストが51%の37,740株、NTT東日本が34%の25,160株、NTT西日本が15%の11,100株。新会社の代表には、現スカイパーフェクト・コミュニケーションズ常務取締役の仁藤雅夫氏が就任し、1月末の従業員数は50名の予定。
また、オプティキャストは、新設のマンションなど集合住宅向け営業を中心に活動していたが、新会社では、新たに「一戸建て向けサービス(仮称)」も用意し、来春を目処に戸建て住宅向けの販売活動を開始する。一本の光ファイバ上で、IP電話、デジタル/マルチチャンネル放送、高速インターネット接続を提供する“トリプルプレイサービス”をキーワードにサービス展開を図る。価格は未定だが、セットで1万円以下を予定し、「競合となるCATVよりは安価になる見込み」という。
オプティキャストの斎藤達郎社長は、「NTT東西では2010年に3,000万の光アクセスサービスの提供を目標としており、スカパー!でも現在の加入者総数400万を2010年には800万件まで拡大することを目標に活動している。NTT東西とオプティキャストが協力してサービスを展開することで、目標の達成とともに、ユーザーにとっても便利でお得なトリプルプレイサービスを提供できる」と提携の意義を説明した。 新会社の設立により、オプティキャストは地上波/BS各局との再送信同意契約や、CS番組供給契約、コンテンツの調達などに注力。新会社のオプティキャスト・マーケティングでは、オプティキャストと販売総代理店契約を交わし、ISPや家電量販店、NTT東西などと代理店契約を締結し、販売活動に特化して顧客拡大を図る。 オプティキャストでは従来、関東/中部/関西エリアの人口集中地域の新築マンションを中心に営業活動を行なっていた。導入見込みの402棟/61,440戸を含めて、合計1,213棟/135,851戸の導入実績を挙げ、「都内の新築マンションの約50%に導入した」という。さらに、10月からは既存マンション向けの営業を開始し、2006年春には戸建て住宅向けの営業活動も行なう予定。 なお、集合住宅向けの「ピカパー!」サービスでは、放送(RF)とインターネット接続用の通信回線を別々(2芯)の光ファイバで伝送していたが、戸建て向けのサービスでは、NTT東西による波長多重技術「WDM(Wavelength Division Multiplexing)」の採用により、IP通信と放送を一本の光ファイバで伝送する。なお、放送波は従来のオプティキャストと同じくRF伝送となる。 価格については、地上/BSとCS多チャンネル、基本料、STBのレンタル費用などをまとめて4,000円以下を予定。さらに、Bフレッツや光電話、ISP料金などを含めたトリプルプレイサービスでも1万円以内を予定している。また、競合となるCATVとの比較では、「アピールしたいのは価格面よりチャンネル数。CATVは多くて60~70チャンネルだが、われわれは280チャンネル以上を提供できる」と多チャンネルのメリットを強調した。 また、ピカパー!の提供エリアについては、12月1日より横浜市の都筑区/青葉区/緑区や、兵庫県芦屋市や、西宮市、宝塚市の一部でサービス開始。さらに、12月25日からは東京の三鷹/府中/調布/狛江市、千葉県浦安市や市川市、愛知県名古屋市千種区/名東区の全域などでスタートするなど、順次提供エリアを拡大している。
また、NTT東日本の古賀哲夫代表取締役副社長は、トリプルプレイのメリットを強調。「大容量の映像伝送は光でなければできない。IPでは4th Mediaなどで取り組んでいるが、著作権の問題もある。コンテンツを持っているスカパー!協力して、RF方式とWDMによる映像伝送を行なうことで、需要に弾みを付けたい」とし、光アクセスの拡大に期待をかけた。 スカイパーフェクト・コミュニケーションズの重村一社長は、「CS放送で事業を開始し、契約数は今月で400万を超えるまで成長した。しかし、メディア環境や技術の変化の速度は早く、一箇所に留まっていてはうまくいかない。トリプルプレイの時代の究極的なソリューションは、光ファイバだろう。Bフレッツの顧客増加とがっちり手を組んで、地デジとスカパーの多チャンネルを一度に届けられるということは、お客様にも非常に便利」とトリプルプレイのメリットを強調。 さらに、「将来的には、同じ光ファイバを利用して、IPベースのVODも伝送路として期待できる。IP向けの権利処理などでもスカパー!が橋渡しをし、4th MediaやオンデマンドTVなどで配給することもできる。顧客にとっても利便性が上がるし、そうしたことを検討する意味でも、新会社の設立は非常に意味がある」と将来の構想を明らかにした。 なお、請求/回収業務については、スカパー!と同じDNC(データネットワークセンター)が担当する。また、既存の124/128度衛星を使ったスカパー!サービスとの競合については、「ある程度は競合するが、今後の展開を見ながらやっていきたい。ただ、結果的には悪い話にならない」と楽観的な見通しを示した。 また、オプティキャストで行なっているRF方式でなく、IPマルチキャストを利用したIP伝送については、「現段階ではIPとRFのいずれが将来有力になるのか判断がつかない。IPでも引き続きオプティキャストと提携できるのかなど、いろいろ話し合っていきたい。現在、著作権の問題がクリアできているのはRFだけだが、伝送装置などのコストはかかる。今後どうなるのか、状況を見ながら可能であれば両方ともやっていく」とした。 □スカイパーフェクト・コミュニケーションのホームページ (2005年12月26日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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