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米Sonyは現地時間の4日、CES 2006の開催に先立ち、自社ブース内にてプレスカンファレンスを開催。その中で、82型液晶テレビや、ほぼ実際の製品に近いというBlu-ray Discプレーヤー、ロケーションフリーシリーズの新展開として、携帯電話への映像配信技術の展示などを行なった。
■ テレビ関連
会場内には、S-LCD製の82型パネルを採用した液晶テレビを参考展示。解像度はフルHDの1,920×1,080ドット。世界で初めて動画色空間規格の「xvYCC」をサポートしたのが特徴で、「82型という大画面でも、色ムラなどが少ない」という。技術デモ的な要素が強く、製品化の予定や価格などは決まっていない。 「xvYCC」は、2005年10月に「IEC (International Electrotechnical Commission/国際電気標準会議)」で承認されたもので、2006年1月に発行される予定。現行の放送などで使われている色空間規格に対し「マンセル・カラー・カスケード」で約1.8倍の色彩が表現できるという。そのため、人の目に極めて近い色彩で撮影することができ、対応したテレビは撮影されたその映像をほぼ忠実に再現することができるようになるとしている。同社では世界で初めてxvYCC規格対応の信号処理回路を開発し、同モデルに搭載。バックライトには、RGBのLEDを使った「トリルミナス」を採用している。 また、液晶テレビ「ブラビア」シリーズの北米モデルの新商品も展示。46型は2006年5月、40型、32型、26型は3月にそれぞれ北米で発売する。なお、46型は日本で既発売の「KDL-46X1000」とほぼ同じ仕様のもので、解像度はフルHD。40型以下は1,024×768ドットパネルを採用。32型はチューナ非搭載のモニターとなっている。価格は40型が2,999ドル、32型が1,999ドル、26型が1,500ドル程度の見込み。
なお、32型にはDVDプレーヤーを内蔵し、上下にスライドする薄型スピーカーを搭載したシアター機能内蔵モデルも用意。A&Vフェスタ 2005で展示されたコンセプトモデルをブラッシュアップしたもので、通常はスピーカー部が液晶画面を隠しており、DVDソフトを投入するとスピーカーが下へスライド、画面が現れる。スタンド部にウーファを内蔵。薄型スピーカーにはセンターとフロント左右チャンネルを内蔵した3.1chスピーカーで、サラウンド機能も備えている。また、SACDの再生もサポートする。価格は未定。
リアプロジェクションテレビの「グランドベガ」シリーズでは、SXRDを採用した55型モデルを参考展示している。解像度はフルHD。SXRD採用のグランドベガは50型と60型がリリースされているが、55型では光学系を改良。従来の50型と比べ、奥行きを約30%薄型化したという。また、本体下部の出っ張りがフラット化しており、「視野角や四隅の色/輝度変化に加え、デザイン面でも液晶テレビと遜色ないものになっている」という。発売日や価格は未定で、日本での販売も検討しているという。
■ プレイステーション 3でBD-ROMを再生 Blu-ray Disc関連では、プレイステーション 3でBD-ROMの映画タイトルを再生するデモが行なわれている。残念ながら、再生しているプレイステーション 3は非公開だが、展示台の裏側ではPS 3開発用のツールで再生しているという。映像(MPEG-2 MP@HL)のデコード処理はCellプロセッサで行なっており、1080/60pの映像をHDMI端子で出力している。
また、Blu-ray Discプレーヤーやレコーダの展示も行なっている。プレーヤーの名称は「BDP-S1」。仕様はCEATECなどで展示されたものと同様で、実際に再生デモも行なっている。デザインが若干変更されており「ほぼ今回のデザインで製品化される」という。発売日は北米で2006年夏を予定。価格は未定だが、日本円で10~13万程度になる見込み。HDMI端子を備え、DVDビデオを1080/60pへアップコンバート出力できる。 さらに、PC用の外付型/内蔵型の記録型Blu-ray Discドライブも展示。BD-R/REに加え「発売時点に存在する全ての記録型Blu-ray Discフォーマットに対応する」という。さらに、記録型DVD/CDもサポート。いずれも年内の発売を予定しているが、価格は未定。
なお、会場では外付型とノートPC、HDVカム「HC1」をセットで展示しており、「ソニー製以外のPCを利用しているユーザーも、後からHD対応機器を追加するだけでHDでの録画、保存というソリューションが構築できることを提案したい」という。 さらに、現在ハイブリッドレコーダ「スゴ録」で搭載しているスライドショー作成機能「x-Pict Story」のHD対応バージョンもデモ。高解像度の静止画像をBlu-ray DiscレコーダでHD解像度のビデオ形式でスライドショー化。BDメディアでプレゼントし、BDプレーヤーで再生するといった提案も行なっている。
ほかにも、同社のPC VAIOシリーズのBDドライブ搭載モデルなどを展示。さらに、type X Livingの北米版モデルの参考展示として、BDメディアを含め、CD/DVDを計200枚収納できるVAIO用チェンジャも展示している。
また、ブースの側面には、BD-ROMでの映像ソフトの発売を予定している20世紀FOX、ワーナー、ユニバーサル、ソニーBMG、SPE、パラマウント、ブエナ・ビスタらの社名パネルを掲示。ブース内にはBD-ROMソフトのパッケージが様々な場所にディスプレイされている。なお、ケースのデザインは実際のものとは異なる可能性があるが「一目でDVDビデオとの違いがわかるような色使いにする予定」だという。
■ ロケーションフリーが携帯電話に対応 インターネットを介して、海外からでも自宅で受信したテレビ放送やハイブリッドレコーダ内のコンテンツをワイヤレスで表示できる「ロケーションフリー」。その新展開として、携帯電話への配信が提案されている。 3Gの携帯電話に、ベースステーションに入力した映像を転送するのだが、転送方式は通常の携帯電話のようにパケット通信を利用するか、携帯電話に無線LAN機能を備え、屋外の無線LANスポットで受信する利用形態をイメージしているという。 映像は従来のロケーションフリーと同様にMPEG-4で伝送。端末の試作機はソニーエリクソンが開発している。ただし、展示機は実際に遠隔受信は行なっていなかった。欧州で2006年内にサービスの開始を予定しているが、無線LANを利用しない場合は無料のパケット通信プランなどが必須となることから、キャリアとの交渉を行なっており、同時に日本や米国でも展開を模索していくとしている。
また、ロケーションフリーの据え置き型クライアント「LocationFree Box」も参考展示している。 LF-X11(米国で販売しているエアボード)と、日本でも発売しているベースステーション「LF-PK1」に対応しており、LNAポートとS映像、コンポジット出力などを装備。テレビと接続すれば、送信された映像を離れた家のテレビで鑑賞できるという。製品化の時期や価格は未定。
さらに、ベースステーションからの映像だけでなく、インターネットのストリーミング動画配信を受信できる端末も参考展示している。PC用の動画配信サービスが利用できるのではなく、ソニーが提供する専用サービスを利用する。配信価格などは未定だが、有料サービスになる予定。従来の端末での対応は難しく、対応端末が発売されることになるという。
□2006 International CESのホームページ(英文)
(2006年1月5日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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