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パイオニア株式会社は、カーオーディオのハイエンドシリーズ「carrozzeria χ」の新モデルとして、デジタルプリアンプ「RS-P90χ」と、CDレシーバ「RS-D7χ III」を4月中旬に発売する。光デジタルケーブルやCDレシーバ用のパワーラインフィルタなども用意。各モデルの型番、価格、発売時期は下表の通り。
「carrozzeria χ」シリーズは2004年4月にラインナップを一新し、デジタルプリメインアンプ の「RS-A9χ」(50万円)や、デジタルパワーアンプ「RS-A7χ」(30万円)、CDレシーバ「RS-D7χ II」(20万円)などをリリースしている。 今回新たに発売されるのは市場からの要望が高かったというデジタルプリアンプ。プレーヤーは「RS-D7χ II」の後継モデルとなる「RS-D7χ III」。
■ RS-P90χ
デジタルプリメインアンプ「RS-A9χ」のプロセッサ部の能力を受け継ぎつつ、様々なパワーアンプと連携できるデジタルプリアンプ。A9χと同等の音場制御機能を持っており、演算誤差が少なく、位相制御が自由に行なえる「FIRフィルタ」を採用。L/Rチャンネルで独立した4ウェイのデジタルクロスオーバーネットワークとして利用できる。演算処理のために、32bitの「SHARC」プロセッサを計3基搭載している。 また、L/Rで独立した3バンド、31ポイントのパラメトリックイコライザや、31バンドのデジタルイコライザが使用可能。タイムアライメント機能も利用できる。 さらに、DSP部とプリアンプ部にそれぞれ独立したマスタークロック回路を内蔵。ジッタを大幅に除去したという。また、DACは従来の24bitマルチビットタイプを、24bitアドバンストセグメントタイプの変更。高周波歪特性も改善したとしている。 サンプリングレートコンバータも新たに搭載。「RS-P70χ」(189,000円)では内部処理を44.1kHzで行なっていたが、P90χでは192kHzにアップコンバートし、内部で処理している。なお、A9χは96kHzへのアップサンプリングだったため、サンプリング周波数的にはP90χが上回っている。 銅メッキを施したシャーシに、非磁性体電源端子、削り出し金メッキのRCA端子を採用。入力は専用端子の光デジタルのみで、専用ケーブルを介して「RS-D7χⅢ」などと接続する。RCA出力は4系統8chを用意。販売店やユーザーの声を反映させ、RCA端子は従来の14mmピッチから18mmピッチに変更されている。外形寸法は240×240×59mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は3.6kg。
■ RS-D7χ III
D7シリーズの3代目となるCDレシーバ。FM/AMチューナも内蔵している。新たに、サウンドマスタークロック回路を従来のCD用だけでなく、サンプリングレートコンバータやDIT(Digital Interface Transmitter)などのデジタル信号処理回路用に追加投入した。これにより、デジタル信号の読み取り時/伝送時のジッタ成分を大幅に排除したという。 また、デザインを一新。ブラックを基調としたカラーリングとなり、フロントパネルにはヘアライン加工を施している。また、ボリュームとクロスキーはスピン処理しており、高級感を高めている。さらに、キーイルミネーションを従来のホワイトのみから、オレンジも選択できるようになった。オレンジの色味は欧州の高級車などを中心に、車内とのマッチングを重視したという。 ほかにも、CDの16bitデータを24bitに再量子化するハイビットコンバージョンや、専用設計の電解コンデンサ、4NのOFC電源ケーブルなど、様々な高音質パーツ/技術を投入。筐体には銅メッキ処理を施したシャーシを採用している。光デジタル入力と、専用端子採用の光デジタル出力を備えており、RS-P90χなどと接続する。
■ RD-7χ
D7シリーズと組み合わせられる専用電源フィルタ。D7χ IIIに合わせて発表されたが、従来の「D7χ」、「D7χ II」でも利用可能。従来モデルでも音質が向上することを確認しているという。 試聴の末に選んだというカスタムメイドの大型コンデンサを搭載し、安定した電源を供給。フィルタ部にはカスタムメイドのアモルファストロイダルOFCチョークコイルを採用。 筐体は銅メッキシャーシとアルミケースで構成しており、磁気誘導を排除した。外形寸法は137×115×46mm(幅×奥行き×高さ)。重量は690g。
■ CD-AD601χ/AD201χ carrozzeriaシリーズで採用している専用端子を備えた光デジタルケーブル。6mと2mの2モデルを用意しており、長さ以外の仕様は同じ。 最大の特徴は内部の芯を単芯ではなく、217芯のマルチコアタイプを採用したこと。ケーブルを曲げた時でも、ケーブル内で発生するジッタを大幅に低減したという。
さらに、芯の端面処理を磨き、丸いラウンド形状のラッピング処理を施して高音質化を図っている。
■ 「CDをソースとしたヘッドユニットとして最高の音質」
HQプロジェクト担当部長の豊田邦夫氏は、国内のカーオーディオ市場について「カーナビがかなり伸びているが、単体のカーオーディオは減少傾向にある」と説明。その理由について「ナビがオーディオ機能を取り込んだAVN化していること」や「純正オーディオの高級化」などを挙げた。 さらに「ハイエンドのピュア・カーオーディオ市場に限定すれば、“欲しかったお客様に行き渡ってしまった感”もあり、やや低迷しているのが実情」と分析。その上で、「既に高音質なカーオーディオを実践している人だけを相手にするのではなく、世代を含め、より幅広いユーザーに提供していきたい。50代、60代の人で“車の中で良い音が出るわけない”と思っている人たちに、素晴らしい音質と趣味の世界があることを伝えていくのが、今後の仕事になる」と語った。 また、今回の新製品については「時間をかけて開発したため、素晴らしいクオリティになった。特にCDレシーバのD7χ IIIは、CDをソースとしたヘッドユニットとしては“最終兵器”、最高の音質を実現できたと自負している」と語り、音質への強い自信を見せた。 さらに、毎年開催しており、今年で第10回を迎える同社主催の「つま恋 サウンドコンテスト」を9月に実施することを発表。参加車システムでピュアデジタル(フルデジタル)が増えていることや、同社製品のみで統一したシステムをインストールしている車が増えていることなどをデータを交えて紹介。 その上で「市場には他社のも含め、様々なキャラクターを持ったパワーアンプなどがある。それらを組み合わせる趣味としてのオーディオの楽しみを味わってもらいたいと考え、デジタルプリアンプも商品化した」とし、RS-P90χの魅力もアピールした。
□パイオニアのホームページ
(2006年3月15日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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