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東京ビッグサイトで行なわれた「東京国際アニメフェア 2006」。特設の大型ステージでは制作発表会なども開催されていたが、各メーカーのブースでも小規模ながら多様なステージイベントが展開。多くのアニメファンが足を止めていた。
中でも盛況だったのが、プロダクションI.Gのブースで行なわれた「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」のトークイベント。開始1時間前から観客が押し寄せるほどの盛況ぶりで、海外から来たアニメファンの姿も見受けられるなど、同作品の注目度の高さを伺わせた。 「Solid State Society」は、2004年1月からテレビ放送された「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズの最新作。既報の通り3月20日に製作が発表されたが、これまでのシリーズと異なり、100分程度の長編作品になるのが特徴。公開媒体はテレビだけでなく、映画やOVA(DVD)などが考えられるが、現在のところ未定。作品の内容にも謎が多く、少しでも早く新作の情報を知りたいファンが詰め掛けた。 ステージには監督と脚本を担当した神山健治氏と、同じく脚本を担当する菅正太郎氏、櫻井圭記氏が登場。残念ながら公開媒体について新しい発表は行なわれなかったが、作品の見所など、内容についてのトークを展開。観客からの質問も受け付けるなど、密度の濃い充実のイベントとなった。
■ 公安9課が“少数精鋭”ではなくなる?
新作のタイトルは「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」だが、「さすがにタイトルとして長すぎるんじゃないかと言う指摘はあった」と笑うのは神山監督。「S.A.Cを取れ! という意見もありましたが、“攻殻機動隊”だけになると押井さん(押井守監督)の映画と区別がつかなくなってしまう。現場ではとりあえずSolid State Societyを「SSS(スリーエス/エスエスエス)」と略してる。何か良い略称を思いついたら教えてください」と持ちかけた。
なお、「Solid State Society」というサブタイトルの由来についてはYMOの楽曲(アルバム)「Solid State Survivor」からヒントを得ているという。櫻井氏は「第3期シリーズではないのだけれど、“S”の3文字で“3”という数字を連想させたかった。なので、最後の“Survivor”を、作品メッセージに近い単語に入れ替えようと、英語の辞書でSの項目を必死に探しました」と語る。なお、タイトルに込められた意味について菅さんは「難しく考えず、そのまま直訳してもらうのが一番作品のメッセージに近いと思う」と解説した。
Solid State Societyの舞台は、「2nd GIG」の難民蜂起事件から2年後の西暦2034年。主人公はもちろん素子達が所属する公安9課だが、新作ではこれまでのシリーズとは状況が異なり、“少数精鋭”が特徴だった9課に、20名の新人が入ったという設定。
これについて神山監督は「笑い男事件、難民蜂起事件と、立て続けに大事件が起きてるので、“さすがに7人じゃ対処できないだろう”という話になった。新人を加え、組織が変化したことによって元々のメンバーの立ち位置がどう変わったのか、変わらないのか、そのあたりを見て欲しい」という。さらに、「I.Gで僕がいる制作スタジオも人手不足で、人手が欲しいという願望も入っている」と付け加え、会場を沸かせた。
■ 新たな敵“傀儡廻”
そんな公安9課の前に立ちふさがる新たな敵は「傀儡廻(くぐつまわし)」と呼ばれる超ウィザード級ハッカーだ。名前以外の情報は明らかにされていないが、名前だけを聞くと「あやつり人形をあやつる存在」というイメージで、押井守監督による劇場版「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」に登場した「人形使い」を連想してしまう。 これについて櫻井氏は「傀儡廻と聞いて、攻殻機動隊ファンなら“何かに似ているなぁ”と思うはず」と、前述の連想が正しい事を示唆。その上で「現時点で詳しいことは言えませんが、意味もなく、その“何か”に似せているわけではありません」と語った。 イベント後半の観客からの質問を受け付けるコーナーでは、発表されたSolid State Societyの声優キャストに、「攻殻機動隊 S.A.C」のマスコットとも言うべきタチコマ役の玉川紗己子さんの名前がないことから「Solid State Societyにタチコマは出ないんですか?」という鋭い質問。神山監督は「タチコマは2nd GIGの最後でああいう事になってしまったわけですが、新作では・・・・・・皆さんの声援次第ということにしておいてください」と笑い、櫻井氏がすかさず「脚本はもう終わってますけども」とツッコミを入れていた。
また、「バトーと少佐の恋愛は描かれるのか?」という質問について神山監督は「2nd GIGが終わった時、素子(少佐)の心理状態が暗いまま終わってしまったという思いがある。新作では彼女が元の明るい素子に戻れるかどうか、それにチャレンジしている。ぜひ見届けていただきたい」と、新作最大の見所を教えてくれた。
□アニメフェアのホームページ
(2006年3月27日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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