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ローランド株式会社は、映像/音楽制作分野向け機器ブランド「EDIROL」で、24bit PCMやMP3録音に対応するSDレコーダ「R-09」を4月28日より発売する。価格はオープンプライスだが、店頭予想価格は38,000円前後。 対応するフォーマットはPCM(WAV)とMP3。PCM録音時のサンプリング周波数は44.1/48kHz、量子化ビット数は16/24bitに対応。MP3録音時の対応ビットレートは64~320kbps、サンプリング周波数は44.1/48kHz。なお、24bit録音はPCM選択時のみ利用できる。 本体上で設定した年月日及び時間を、録音した音声ファイルの作成日付として利用する。そのほか再生時のエフェクト機能として、4種類のリバーブをかけることができる。 内蔵するAD/DAコンバータは24bit信号処理、サンプリング周波数44.1/48kHzに対応。専用設計のアナログ回路「Isolated Adaptive Recording Circuit(IARC)」を内蔵。通常のICレコーダでは、取り込まれた音声を直接デジタル化するが、IARCではアナログの段階でADコンバータへの入力レベルの最適化などの音声信号の処理を行なうため、高音質な録音が可能としている。
電源は単3電池×2本を使用。連続再生時間は5.5時間で、連続録音時間は4時間。SDカードの容量は、32MB~2GBまで対応する。 本体サイズは62.6×102×29.1mm(幅×奥行き×高さ)、重さは電池及びSDカード装着時で145g。 本体上面にはステレオ・コンデンサマイクを内蔵するほか、マイク入力、ライン入力をそれぞれ搭載。右側面にはヘッドホン出力を備える。底面のふたの中には、PC接続に使用するUSB端子とSDカードスロット、電池ボックスが収められている。 そのほか、オートゲインコントロール(ON/OFF)、ローカット(ON/OFF)、外部マイクタイプ(モノラル/ステレオ)、マイクゲイン(LOW/HIGH)の機能をそれぞれ独立したハードウエアスイッチとして本体背面に備えており、液晶ディスプレイを確認しなくても各種操作が可能。側面には入力レベルスイッチやボリュームスイッチも備えている。
ディスプレイは、128×64ドットの有機EL液晶を搭載。dB表示付きのレベルメータ以外にも、録音/再生時間やバッテリ残量などの情報を表示する。PCとの接続にはUSBを使用。USBマスストレージとして認識され、SDカードの内容を転送できる。
付属品は64MBのSDカード、USBケーブルなど。また、R-09用オプションとして、カバーとスタンドのセット「OP-R09C」(5,670円)、マイクスタンド/アダプタの「OP-R09M」(価格未定)、ステレオマイクの「CS-15」、専用キャリングケース「CB-R09S」(4,830円)、モニタ用ヘッドホン「RH-300」(17,640円)なども用意する。 ■ Pod Casting配信用のレコーディングにも最適 発表会では、DTMP開発部門担当の近藤公孝取締役がEDIROLのブランドの位置付けについて「ローランドではキーボードは「Roland」、エフェクタなどは「BOSS」といったように用途や目的に応じてそれぞれをブランド化した「マルチブランド」を行なっている。その中でEDIROLは、ビデオ編集機器などの映像制作機器とマルチトラックオーディオレコーダなど音楽制作分野の機器に特化したブランドで、2001年に設立して今年で5年目となる。今後もプロアマ問わず、シームレスな制作環境を提供していきたい」と説明した。
また、R-09が単なるICレコーダではない点を強調。「R-09では、原音を忠実に記録することと、どこでも簡単に使える手軽さの両立が設計コンセプト。これを実現するために5つの課題を用意した。まず24bit PCM対応と言うプロ向け機材としては最低限の基本性能を備えること。高性能のコンデンサマイクを内蔵すること。そしてワイシャツのポケットに入るサイズとバッテリ込み150g以下の重量、PCとの親和性である。今回のR-09はこれら課題の全てに対応できた」と製品に対する自信を見せた。
また、営業企画部の蓑輪雅弘氏は、プロがあまり使用しないと思われるMP3録音機能の搭載については、Pod Casting配信のレコーディング用途など、アマチュアユーザーの利用も強く意識したと説明する。またメモリを内蔵しなかった理由として、コストもその理由の1つだが、それ以外にも「SDカードなら容易に交換が可能なので、PCのない環境でもカードを交換することで録音が継続できる。電源についても同様で、あえて専用バッテリではなく汎用の電池を使えるようにすることで、容易に交換を可能にした」と言う。
ゲストとして、実際に現場でR-09を試したと言うレコーディングエンジニアの桑原氏が登場。「大ホールでクラシックの室内楽を録音したいという依頼を受けた際に、なるべく高いクオリティでなるべくお客さんに目立たないように、という要望があったため、発売前のR-09をお借りして試したところ、録音した音がより音楽的な音として記録された。これはありえないクオリティだ」とR-09を高く評価。 また、技術的な話として「人間の耳で認識できる音圧レベルの上限は130~135dBとされている。量子化ビットが16bitでは96dBまでしか再現できないが、24bitなら144dBまで対応できる。これこそ今後デジタルレコーディング業界で標準化していく機能だろう。これからはR-09で24bitレコーディングを広めていきたい」と、R-09の可能性を示した。最後には「R-09は海外や屋外など、どこでもレコーディングできる機器として多くの音楽業界関係者が重宝するだろう。多分、来年の今頃にはこれで制作したアルバムが何10枚も出るのでは? 」と今後の業界予測で締めくくった。
□ローランドのホームページ ( 2006年4月19日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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