|
リムーバブルHDDの規格団体「iVDRハードディスクドライブ・コンソーシアム」は24日、報告会を開催。iVDR用の著作権保護規格「SAFIA」がデジタル放送のコンテンツ保護方式として認定され、iVDRを利用したデジタル放送向けレコーダの準備が整ったことを明らかにした。 iVDRは、3.5/2.5/1.8インチの各サイズのHDDで利用可能なケース仕様や、著作権保護規格などを統一。異なるメーカー間の機器で、HDDを利用可能とするリムーバブルHDD規格。同コンソーシアムで、iVDRのハードウェア仕様やアプリケーション・フォーマットを策定するほか、著作権保護規格については、「SAFIA(サファイア)ライセンスグループ」が規格策定/ライセンスを担当している。
2005年11月には、SAFIAを利用して、iVDRへのデジタル放送録画を可能とする「Secure-iVDR」のライセンス開始を発表。実際のレコーダ製品化に必要な、ARIB(社団法人電波産業会)における承認に向け、作業を進めてきた。
今回、SAFIAがiVDRのコンテンツ保護媒体として、D-pa(社団法人地上デジタル放送推進協会)とBPA(社団法人BSデジタル放送推進協会)の認定を取得。同認定を受けたことで、ARIB(社団法人電波産業会)の技術資料「TR-B14(地上デジタルテレビジョン放送運用規定技術資料)」、「TR-B15(BS/広帯域CSデジタル放送運用規定技術資料)」にSAFIAを用いたiVDRへのデジタル放送録画に関する要件が反映された。 ARIBの運用規定に記載されたことで、今後同規定に基づき、同規定を満たした製品の発売が可能となる。「具体的な製品化スケジュールは、各メーカーの判断」となるが、「iVDRが、いよいよ家庭内のAV機器、デジタル機器への展開が可能になった」(iVDRハードディスクドライブ・コンソーシアム日置敏昭代表)」という。
■ HDD内蔵型のiVDR-Secure Built-inも
iVDRの規格や特徴については、シャープ株式会社/iVDRハードディスクドライブコンソーシアムの菱川薫氏が解説した。 iVDRでは、2.5インチ用の「iVDR」と1.8インチ用の「iVDR mini」、さらに暫定規格ながら1インチ用の「iVDR Micro」をの3タイプを用意。それぞれ、対応機器によりSAFIAによる著作権保護機能を備えた「iVDR-Secure」と、著作権保護無しの「iVDR」が選択可能となっている。 また、カートリッジを用いずにHDD内にSAFIAによる著作権保護機能を内蔵した「iVDR-Secure Built-in」も規格化された。3.5/2.5/1.8インチHDDにSAFIAの機能を内蔵したモノで、3.5インチはハイビジョンレコーダ、2.5/1.8インチはモバイル機器での応用が期待されている。
現在のHDD内蔵テレビなどでは、独自の著作権保護機能を利用しているため、HDD交換や増設をしても、既に記録済みのコンテンツを観ることが出来なくなってしまう。しかし、iVDR Secure Built-inなどで著作権保護機能の標準化が行なわれることで、増設や交換が容易になるため「アフターマーケットでのメンテナンス性が向上する(菱川氏)」という。 iVDRのアプリケーションフォーマットとしては、テレビ録画用/オーディオ記録用/静止画記録用の各フォーマットが用意されている。テレビ録画規格では、記録フォーマットをMPEG-2 TSに統一。ユーザーインターフェイスや番組/プレイリストの管理、お好みフォルダなどの機能が定められている。オーディオについては、AACやMP3、PCM(WAVE)などに対応、プレイリスト機能なども定められている。
■ コピー世代管理などを備えたiVDR-Secure
SAFIAの機能/ライセンスについては、日立製作所/SAFIAライセンスグループの助田裕史氏が説明した。3月にARIBでのD-pa、BPAでの認定を取得したことを報告し、「ようやく、デジタル放送のハイビジョン録画ができるようになり、実際のビジネスに展開できる体制が整った。(2006年は)非常に大事な一年になると思う」と意気込みを語った。 SAFIAを搭載した「iVDR-Secure」では、通常のアクセスエリアに加え、専用コマンドでのみアクセス可能な「Qualified Storage(QST)」と呼ばれる領域を用意。ここに暗号鍵やコピー世代情報などを格納し、専用のSAFIA拡張コマンドでアクセスしている。 このQSTにUsage Passと呼ばれるコピー制御情報を格納。コンテンツ鍵の他、ビデオ/オーディオなどのアプリケーションを識別するUsage Pass Typeのほか、コピー世代管理を行なう「ACs(Access Condition for Storage Device)」、コンテンツ種類を識別する「ACe(Access Condition for Export Device)」などのUsage Ruleを格納し、コピー世代やコンテンツ種類を識別可能としている。
SAFIA対応HDD同士では、コピー制御ルールに基づき、高速な転送が可能。例えば、Built-inタイプのiVDRを内蔵したHDDレコーダをATA接続で他のiVDRと繋げば、鍵情報などを暗号化しながら、コンテンツはほぼHDDの最高速度に近い速度で転送できる。なお、SAFIAのアプリケーションフォーマットは、テレビ録画向けの「RPD-TV」が既に策定されているほか、第2四半期にはオーディオ機器向けの「RPD-Audio」が策定される見込み。 日立製作所 セキュリティ事業部 ユビキタスHDDビジネスセンター センター長の土屋健二氏は、同社が開発したiVDR-Secure用のミドルウェアなどについて紹介。iVDR-Secureの録再機向けのホスト機能や、暗号化/複合化機能を内蔵したミドルウェア、ファイルシステムなどをセットにして提供することを案内した。 さらに、伊藤忠からの出向という自身の立場を紹介し、「昨年ぐらいからSAFIAのミドルウェアに、お金の匂いを感じた。商社の人間からみて、ビジネスになりそうだと感じた」と述べ、iVDRへの期待の程を語った。
会場では、日立のパソコンなどでiVDRの実動デモを実施。iVDRに収録した21MbpsのMPEG-2 TS映像をSAFIAデコード処理を行ないながら、リアルタイムで再生していた。
□iVDRコンソーシアムのホームページ ( 2006年4月24日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
Copyright (c)2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|