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V字回復を成し遂げた中村邦夫氏が、社長として最後の株主総会ということもあり、大阪本会場に2,646人(昨年は1,486人)の株主が出席したほか、中継で結ばれた東京会場には215人、名古屋会場には202人の株主がそれぞれ出席した。
■ 薄型テレビの世界占有率40%に挑戦 冒頭、中村社長は、FF式石油暖房機の問題に触れ、「5件におよぶ痛ましい事故を起こしたことは大変申し訳ない。また、これまでの信頼を損なうような事件を起こしてしまったことに対してもお詫びを申しあげたい。現在、15万台のうち、10万台の回収および所在の確認ができているが、最後の1台を見つけだすまで継続していく。また、再発防止に向けて、製品全般の安全基準の見直しなど、品質の本質的な解決に取り組んでいく」とした。2006年度の見通しについては、2004年度から実施している中期経営計画「躍進21」の総仕上げの年と位置づけ、「連結営業利益率5%以上、連結CCMで0以上という数値目標をなんとしてでも達成するとともに、安心、安全、愛着による身近なところでお役に立てる会社になることを目指し、2010年には世界の優秀企業の仲間入りを果たしたい」と中村社長は語った。 薄型テレビ事業に関しては、「テレビは電機メーカーの顔」と位置づけ、「デジタル家電市場は熾烈な競争を繰り広げる消耗戦が続くと思われる。また、原油、原材料の高騰、円高、ドル安という状況にもある。だが、日本、北米、欧州の同時発売で大きく発展させ、37インチ以上の大画面テレビで圧倒的な強さを追求できた。また、今年春には、アジア、中近東、オセアニアにもそれを広げ、全世界に向けて62機種を一斉に発売し、世界各地で圧倒的な占有率を占めた。大画面、高画質のテレビを、全世界で強力に推進し、今年は世界占有率40%に挑戦する」と意欲を見せた。
そのほか、海外事業は全社の成長エンジンと位置づけ、国ごと、地域ごとにそれぞれ重要な製品を投入し、最大の効果を発揮する方針を示したほか、松下電工との協業では、「ブランド統一、事業重複の見直し、営業体制の強化という第1フェーズに続き、より強力な商品、サービスを打ち出すことが第2フェーズとして、部品やブラックボックスの共同活用、販売網の徹底活用、中国を中心とした海外事業の強化に取り組んでいく」とした。
■ ビクターは今年度の浮上に期待 質疑応答のなかでは、27日に発表された、社員への最大5万円の激励金支給の件に触れ、「社員が、FF式石油暖房機の捜索活動において、一軒一軒くまなくまわり、多くの努力を払ってくれた。回収すべき製品は、まだ残っているが、一応の区切りとして、社員にも感謝の意を示したい。成果、努力に対して、報いていく姿勢を社員にわかってもらうという狙いもあった」という。携帯電話に関する質問については、パナソニックモバイルコミュニケーションズの櫛木好明社長が回答。「2004年度、2005年度は赤字となったが、2005年度の国内携帯電話事業は黒字化しており、海外事業が赤字となった。国内の方式がそのまま海外では使えないこともあり、海外対応が十分でなかった。また、国内が新機能を搭載することが前提となっているのに対して、海外ではこれが合わなかったことも影響した」と述べた。 櫛木社長は「現在、第2世代の携帯電話は収束させ、第3世代以降に集中させており、2006年度は黒字を必達とする。海外への再参入については、強い商品力を持った製品の投入、強いコスト力を持った価格対応が可能な製品、ITを駆使した事業管理体制、国内携帯電話事業とプラットフォームを共通化したベースの構築といった4つが実現できることを前提としたい。また、必要なアライアンス政策を積極的に推進していきたい」とした。
総会の最後に中村社長は、「これまでの6年間に渡り、株主のみなさんのご支援に対して、心より厚く御礼を申し上げたい。今後は会長として、後任社長とともに社業の発展に全力を傾ける」と挨拶。社長に就任する大坪文雄氏は、「重責を感じている。社業に全力を傾注する所存であり、ご支援をお願いしたい」と手短に挨拶した。 なお、定款一部変更、取締役選任などの第1号議案から第5号議案までの決議事項はすべて可決。午前10時にスタートした総会は、午前11時45分過ぎに閉会した。
( 2006年6月28日 ) [Reported by 大河原克行]
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