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株式会社MM総研は20日、2005年度の国内DVDレコーダの市場概要を発表した。出荷台数は前年比2.9%減の430万台。出荷金額でも同11.7%減の2,030億円となり、調査が開始された2002年度以来初の前年割れとなったが、同社では「マイナストレンドに入ったのではなく、緩やかな成長ペースに立ち戻った」と見ている。 ■ メーカーシェア変動なし。ハイビジョンでは日立が3位に
出荷台数/金額が前年割れとなった要因としては2点を指摘。第1は「高価なハイビジョン対応機を垂直的に立ち上げたことで消費者に価格面で心理的圧迫感を与えた点」としており、2005年度はハイビジョン対応機の構成比が約24%に伸長し、年末商戦における販売店の棚割りの半数以上をハイビジョン対応機が占めた状況などから、「単価の引き上げには貢献したが、消費者の購入意欲を低下させたことは否めない」としている。 第2は2004年度がアテネオリンピック効果で異常な出荷数だったとする点。2004年度は通期で前年比約2倍の出荷数となっていたことから、2005年度は2004年度に比べると減少しているが、「2002年度から見ると依然成長段階にあり、総じて見ると市場は縮小したのではなく、2004年度のスポット的な急拡大から落ち着きを取り戻し、緩やかな成長ペースへと立ち戻ったことが窺える」との見方を示している。 メーカー別では上位6社の順位に変動はなく、1位は4年連続で松下(24.4%)。2位以下はソニー(19.3%)、東芝(17.2%)、シャープ(15.1%)、パイオニア(6.7%)、三菱電機(6.3%)。このうち東芝とシャープだけが出荷台数を伸ばす結果となった。 一方、ハイビジョン対応モデルでのシェアはトップが松下(25%)で、2位がシャープ(21%)。3位は、総出荷数ではランク圏外だった日立(18%)となっており、「ハイビジョン対応機が主戦場になる今年度以降の動向が注目される」と分析している。
■ 市場全体は好調、メーカー単位では危険性も
レコーダの平均単価は4万7,300円で、2004年度に比べ4,600円(前年比8.9%)の下落。2003年度、2004年度はいずれも約30%の下落幅を示していたが、ハイビジョン対応機やHDDの大容量化、ダブルチューナ搭載などの高付加価値モデルが多数登場したことで単価下落に歯止めを掛けたと見ている。 2005年度末時点での世帯普及率は24%を超えており、2006年度以降は第1波の買い替え需要や、ワールドカップ特需などの影響で出荷台数は、前年度比16.3%増の500万台を予測。全出荷台数に占めるハイビジョン対応モデルの割合は約65%に達すると予想しており、出荷単価もプラスに転じると見込んでいる。 一方、次世代DVD対応モデルが2007年度下期から本格的に立ち上がると見られることからの消費者の買い控えや、ハイビジョン対応機におけるプライスリーダーの出現による市場環境などの悪化などをネガティブ要因としてとらえており、「市場全体ではこれまでの悪循環から脱する好機にあるものの、メーカー単位ではプライシングや新製品投入時期の見誤りによっては競争から脱落しかねない危険性を孕んだ市場になっている」とまとめている。
□MM総研のホームページ ( 2006年7月21日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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