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sabraは2000年に創刊されたグラビアアイドル雑誌で、第2・第4木曜日の月2回刊行されている。通常号ではDVDビデオが付録だが、それに代わって11月9日発売の11/23号ではHD DVDとDVDのツインフォーマットディスクが付録。最近ではDVDが付録の雑誌はたくさん出ているが、次世代ディスクが雑誌の付録になるのは世界初だという。ディスクの製造はメモリーテックが全面協力し、プレス枚数はHD DVDとしては史上初となる10万枚以上。
価格も通常号と同じ550円なのが嬉しいところ。「とりあえずHD DVDを体験!」といったお試し購入でも、躊躇なく購入できる価格だ。また、まだHD DVDビデオを在庫していないDVDショップも多いので、雑誌としてコンビニや、書店など購入できるという入手性の高さも付録のメリットだ。
HD DVDディスクは、DVD付録と同じような添付方法で、雑誌の中に貼り付けてある紙袋に収められている。HD DVD陣営では、HD DVDがDVDと同じ0.6mm厚の2枚貼り合わせ構造を採用していることにより、製造コストが低いことや傷などに強いことウリにしている。
また、DVD層を持つことができるので、従来環境と互換性を保てるのもHD DVDの特徴だ。今回DVDと変わらない価格や、添付方法で付録にできたことで、そういったHD DVDのウリを証明してみせている。また、「DVDと同じような感覚で付録に採用できる」という宣伝にもなっている。
■ HD DVDグラビアの画質は?
HD DVD層にはハイビジョンカメラで撮影した熊田曜子×安田美沙子×夏川純(約6分43秒)、ほしのあき(約5分40秒)、吉野紗香(約5分30秒)、優木まおみ(約6分25秒)、滝ありさ(約5分46秒)と、Xbox 360用ゲームソフト「DEAD OR ALIVE Xtreme2」のトレーラー(約1分15秒)が収録されている。なお、コンテンツの一部は「SabraTV」で無料公開されている(3Mbps以上はフレッツユーザー限定)。
ディスクを入れてHD DVD層を選んで再生をスタートすると、sabraと連動したWebサイト「sabra net strictly」の広告(約1分15秒)が強制的に再生される。この広告はスキップどころか早送りもできず、メニュー画面になるまで、しばらく待たされる。
実はHD DVD層のグラビアコンテンツは、今回のための撮り下ろしというわけではなく、同社がNTTの「フレッツ」ユーザーなどに提供している、ハイビジョン映像とおなじソースを使用しているようだ。もちろん、ビットレート的には、HD DVDの方が圧倒的に有利ではある。 実際に再生した画質は、DVDと比較すれば解像度は高いものの、HD DVDビデオとしては、正直なところあまりよくない。そもそも、収録されている映像を見る限り、スチルでグラビア撮影している横から、メイキング的にハイビジョンカメラを手持ちでAF撮影しているようだ。 そのため、映像が安定せず、手ブレしたり、パンやチルトといったカメラの動きがぎこちなかったり、AFが追いつかなかったりする。ライティングもハイビジョン撮影用にセッティングされているわけではないので、肌の部分でも白飛びがかなり発生している。 不安定な映像自体はライブ感があるともいえるのだが、VC-1エンコードの設定と相性が悪いのか、ブロックノイズが少なからず発生してい落ち着かない。ソースがあまりよくない上に、編集やエンコードでも画質が追い込まれていないように思う。ただ、550円の雑誌の付録なので、高画質のハイビジョングラビアを求めても仕方ないだろう。 一方、「DEAD OR ALIVE Xtreme2」のトレーラーはCGなので大丈夫かと思ったら、グラビアに比べると大分ましとはいえ、暗部ノイズに加え、時折ブロックノイズが出てくる。やはり、VC-1エンコードがあまりうまくいっていないようだ。 なお、DVD層には吉岡美穂、小林恵美、愛衣、原幹恵、南明奈、草場恵、丹野友美&山口美羽の映像を45分収録している。音声はドルビーデジタル。アスペクト比が4:3ということもあり、HD DVD同様に「sabra net strictly」の広告も最初に再生されるのだが、HD DVD層とは内容が異なっている。つまり、HD DVD層とDVD層で同じ映像がないため、純粋な比較はできない。
ただ、HD DVD層とDVD層(HD-XA1で1080iにアップスケール)の画質の差は、歴然としており、ハイビジョンの凄さが実感できる。ただ、DVD層の画質が、DVDとして画質があまりよくないので、純粋にHD DVDとDVDのフォーマットの差とはいえないのだが……。
■ お試しハイビジョンとして買って損なし
しかし、マイクロソフトが11月22日にXbox 360用の「HD DVD プレーヤー」を20,790円で発売する。Xbox 360本体の39,975円(D端子HD AVケーブル付属の標準パッケージ)/29,800円(コンポジットAVケーブル付属のコアシステム)と組み合わせて、60,765円/50,590円でHD DVDビデオ再生環境が整うことになる。HDMI出力に対応していないという弱点があるものの、HD DVD再生が、格段に身近になる。 AVマニアでない、ゲームユーザーがHD DVD再生環境を手に入れたとき、いきなり数千円のHD DVDビデオを購入するのは冒険に思うだろう。そんな時に、雑誌の付録にHD DVDが付いていれば、お手軽にハイビジョン体験が可能になる。
今回の付録ディスクで、HD DVDの最高画質を体験できるとまではいかないが、十分にハイビジョンのよさを感じることはできる。すでにHD DVDタイトルを鑑賞しているHD DVDユーザーだと、画質的にはガッカリするかもしれないが、550円分は楽しめるだろう。まだHD DVD再生環境がないXbox 360用「HD DVD プレーヤー」待ちの人も、先に購入して、22日の発売を待っても損はない。
□小学館のホームページ
(2006年11月10日) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
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