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社団法人日本記録メディア工業会(JRIA)は17日、DVDやビデオテープ、MDなどの記録メディアの世界需要予測と生産予測を発表した。 今回の予測から、新たに青紫色レーザーディスク(HD DVD/Blu-ray Disc)の需要予測を追加。また、これまで単年のみ行なっていた予測を、2007年から2009年までの3年間の中期予測を行なうこととした。そのほか、メモリーカードについては、種類ごとではなく、容量単位での予測に切り替えることになった。 また、今回より5.25インチのMOディスクの世界需要予測と、フロッピーディスクの世界生産予測の2項目を除外した。 いずれの予測も、2006年の推定実績に基づいてまとめられたもの。対象となる記録メディアは青紫色レーザーディスク、DVD-R/RW、CD-R/RW、MO、オーディオテープ、録音用MD、ビデオテープ(Cカセット/8ミリ/ミニDV)、フロッピーディスク(FDD)、小型メモリーカード(SD/メモリースティック/CFなど)。 ■ 次世代DVD需要は2009年に1億4,100万枚 今回より新たに加わったHD DVD/Blu-ray Discなど青紫色レーザーディスクの世界需要は、2006年の推定実績として100万枚と予測。その後2007年には前年比1,000%の1,000万枚に増加し、2008年は同520%の5,200万枚、2009年には同271%の1億4,100万枚と全世界で1億枚の大台に乗るとした。これら需要予測はいずれもHD DVD/Blu-ray Discの合計によるもので、両者の比率については予測不可能としている。なお、生産予測については行なわれていないが「需要に伴って生産数も増加すると予測している」とした。 DVD-Rなど追記型の記録型DVDの世界需要は、ゆるやかに上昇率が下がっていくが、2009年までは成長傾向。2007年は前年比121%の57億2,700万枚で、10~20%程度の成長率で推移し、2009年は同107%の69億2,300万枚。生産予測についても同様で、2007年は同121%で、2009年には同107%の76億1,500万枚とした。 書換型の記録型DVD需要については、2007年予測は前年比121%の4億9,500万枚。追記型以上に成長率は早く低下、2009年には同102%の5億4,100万枚と予測。生産も需要に合わせて低下し、2009年には同102%の5億9,500万枚まで低下する。 国内における録画用DVDの需要については、2007年が前年比116%の5億5,600万枚。デジタル放送の普及を背景に、デジタル放送録画用メディアとしてある程度安定した需要が見込まれるものの、次世代メディアの普及に伴い減少傾向に向かうと予測。2008年は同105%、2009年には同99%の5億7,900万枚。また、国内におけるデータ用DVD需要は、今後も低価格メディアとして消費者に広く受け入れられていくとしており、成長率の減少は比較的ゆるやかと予測。2007年は前年比120%の4億2,100万枚で、2009年には同107%の5億1,700万枚。 また、DVDカム用の8cmDVDメディア需要については、追記/書換型ともに成長率の低下はゆるやか。追記型の2007年予測は前年比168%の5,200万枚、2008年は同133%で、2009年には同114%の7,900万枚。書換型も2007年は同145%の3,200万枚、2008年は同131%、2009年は同121%の5,100万枚としている。 録音用CD-R需要については、2004年をピークに減少傾向に転じている。HDD搭載のポータブルオーディオや、音楽のネット配信の普及など、音楽を聴く形態の変更が大きな理由としており、2007年予測は前年比94%の2億5,800万枚で、減少率6~7%程度のまま推移し、2009年は同94%の2億2,500万枚。 データ用CD-Rメディアの需要予測についても同様で、2005年から減少に転じており、2006年以降も、大容量化へのニーズの高まりなどによりCDからDVDへのシフトが進むとしている。2007年は前年比93%の65億5,600万枚、2008年は同93%、2009年は同92%の55億9,300万枚と減少傾向が続く。 ■ 磁気メディアは今後も減少傾向。海外需要に期待 オーディオカセットテープの世界需要は、今後もさらに減少傾向が続く。2007年予測は前年比80%の2億2,800万巻で、2008年も23%の減少率で、2009年には同78%の1億3,700万巻。ただし生産量については、中近東、中南米の需要が根強く、2009年の世界生産は同84%の6億3,500万巻程度と予測している。 録音用ミニディスク(MD)の需要については、現時点でも日本が世界市場を牽引しているが、今後加速的な需要の減少が起こると予測。2007年は前年比73%の6,900万枚との予測だが、2009年には3,500万枚まで減少。 ビデオカセットテープについては、DVDの普及に伴い、今後も20%以上の減少率で推移していくと予測。2007年は、前年比76%の2億6,500万巻だが、2008年は同76%、2009年は同77%の1億5,500万巻。 8mmカセットも、2005年をピークに減少しており、2007年は、前年比90%の2億2,500万巻、2008年は同84%と推移し、2009年には同88%の1億6,800万巻。ミニDVカセットは、2006年をピークに減少すると推定しており、2007年は同95%の1億7,700万巻と予測、2009年には同90%の1億4,700万巻。 そのほか、SDメモリーカードなどの小型メモリーカードの国内需要は、7~10%程度の上昇率のまま推移していくと予測。2007年は、前年比110%の6,100万枚で、2009年には同107%の6,944万枚と安定して成長するとした。 ここでは、ユーザー調査の結果を引き合いに出し、2005年度のメモリーカード利用者の利用目的内訳は、デジカメが61%、携帯電話が23%、PCが8.3%となっており、2004年度から携帯電話での利用者が急増しているという。 同協会では、今後も、音楽プレーヤー、ワンセグ記録/再生、動画撮影などによる大容量へのニーズにより、メモリーカード利用の主体は携帯電話に向かうと予測している。なお、デジタルカメラでの大幅な伸びは難しいと予測しているという。 容量別内訳では、1GB以上の伸びが顕著になると予測。2006年推測では、1GB以上の需要は全体の19%程度だが、2007年には全体の50%が容量1GB以上になるとし、2009年には容量1~2GBと4GB以上のカードだけで、需要の95%を占めると予測している。 ■ 予測が困難な次世代メディア
JRIA政策評議会 議長の亀田 敬氏(日立マクセル株式会社)は、今回の需要/生産予測について、「単年度予測では、各メディアの動向が測りにくいため、新たなチャレンジとして、3年間の中期予測を行なうことにした。これにより、メディア動向の傾向などがより分かりやすくなる」とした。 また、HD DVDやBlu-ray Discの予測については、JRIA CD-R・DVD委員長の伊藤信久氏(株式会社リコー)が「次世代DVDメディアは需要予測するのも難しく、予測についても開始のタイミングが難しいところ。今回の予測調査でも取り上げるか否かで話し合いを行なったが、今後アナログからデジタル放送への切替などに伴い、爆発的に伸びる可能性もあるため、早めに予測を開始した」と語った。 また、予測の方法としては「機器メーカーやメディアのメーカーなどの動向を調べ、それらを元に予測を行なったが、メーカー数も少ないため、今回の予測は『あえて』行なってみるなら、といった意味合いが強い」と、次世代メディアの動向予測の難しさを語った。 □JRIAのホームページ ( 2006年11月17日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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