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社団法人日本オーディオ協会は、「音の日」である毎年12月6日に、音を通じて文化や生活に貢献し、オーディオの発展に取り組んだ人を「音の匠」として顕彰している。今年は聴覚の素晴らしさの啓発活動を行なっているエッセイストの三宮麻由子さんが選ばれた。 「音の日」は、1877年の12月6日にトーマス・エジソンが蓄音機「フォノグラフ」を発明したことにちなんで、日本オーディオ協会や日本レコード協会、日本音楽スタジオ協会などが‘94年に定めたもの。‘96年からは、同日に、音を通じて社会に貢献した人々を「音の匠」として顕彰している。
これまではAV機器の開発エンジニアや、音楽CDの録音エンジニアなどが選ばれることが多かったが、今年はエッセイストの三宮さんが選ばれた。三宮さんは4歳で病気により視力を失うが、旺盛な好奇心と明るい性格でそれを克服。卓越した聴覚で鳥の鳴き声で時刻や天候の変化を判別でき、鳥達とのコミュニケーションを通じて鳥の生態研究に大きく貢献。エッセイの執筆や講演会でも活躍している。 挨拶に立ったオーディオ協会の鹿井信雄会長は「音に対する努力を重ねられ、鳥と話ができるという素晴らしい能力を身に付けられた。そして、聴覚の素晴らしさを説くとともに、人々に勇気を与えられている。今年の音の匠は、そんな三宮さんに贈呈したい」と彼女の功績を称えた。
また、賞状とともに、三宮さんもピアノの伴奏で参加したという新井満さんのCD「この街で」を封入した記念盾も贈呈。さらに、三宮さんが鳥の声の録音なども行なっていることから、ソニーのリニアPCMレコーダ「PCM-D1」も進呈された。
三宮さんは「音の匠に選んでいただき、心から嬉しく思っています」と挨拶。「視力を失ったことで聴力が鍛えられたと言われることもありますが、私自身は“音を聞く力を付けるために、見ることをしない運命になった”と感じている。そのおかげで自然の素晴らしさなどを感じる心の耳が養われた。大変なこともあるが、今回の音の匠のように、嬉しいことが沢山ある」と喜びを語った。 さらに、プレゼントされたリニアPCMレコーダにも触れ「録音機械を使うことが多くて、本当に新しいICレコーダが欲しいと思っていた。クリスマスかお正月まで我慢しようと思っていたところに、こんな最新機種を頂けてビックリしています。鳥の声の録音に使わせていただきます」と笑顔で語った。
顕彰式後には、元NHK解説委員の小林和男氏が聞き手として登場し、三宮さんの記念講演会が開催。三宮さんが子供の頃、スズメの声で音に興味を持った事や、その鳴き声の聞き分け方/意味などを説明。「この音は何だろう? この鳴き声の時に鳥は何をしているのだろう? という好奇心が全ての原動力」と語った。
■ 音の日旬間体験キャンペーン オーディオ協会では「音の日」の前後に、各AVメーカーの機器が視聴できるショールームや視聴施設を協会のWebサイトで案内する「音の日旬間体験キャンペーン」を実施している。 同ページでは各メーカーの試聴室やショールームの場所や利用方法が掲載されており、ユーザーが自分が良く聴くCDを持参し、再生できるか否かなどの情報も掲載されている。
□音の日旬間体験キャンペーンのページ
□日本オーディオ協会のホームページ
(2006年12月6日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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