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セイコーエプソン株式会社は12日、リアプロジェクションテレビやデータプロジェクタなどでの使用を想定した、高温ポリシリコンTFT液晶パネル(HTPS)の新モデル「L3D07U-81G00」を開発。0.7型で解像度は1,920×1,080ドット。1080pに対応する。サンプル出荷を開始しており、量産は2007年春を予定している。 同社のHTPSは、これまで「Dシリーズ」としてD1、D2と進化してきたが、2005年5月に無機配向技術を利用した「クリスタルクリアファイン」(略称C2FINE)を発表。同技術を投入したD6世代の0.74型、1080p対応パネルを開発。同社のフルHDフロントプロジェクタ「EMP-TW1000」や、松下電器の「TH-AE1000」、三菱電機の「LVP-HC5000」などに採用されている。 今回発表されたものはこれとは異なり、C2FINE技術は投入していない、コストを重視したTN型/有機配向膜モデル。しかし、高精細加工技術を使用することで開口率を従来パネルより20%以上向上。従来のTN型1080pモデル「L3D09U-61G00」は0.9型だったが、L3D07U-81G00は0.7型に小型化したものの、開口率は51%から55%へと向上。画素ピッチは10μmから8.5μmに微細化されている。 順序としては「D7」にあたるパネルだが、画質を最優先したC2FINEを投入したシリーズとは異なる製品群になるため、現在は未定ながら、新しいブランド名が付けられる予定だ。なお、新パネル駆動方式には、倍速駆動とD6のハイブリット駆動技術が使われている。
■ TN型とVA型 TFTパネルのTN方式は、電圧がかかっていない時に液晶分子が水平に並び、バックライトの光を通過させて「白」を投写。電圧をかけると液晶分子が垂直に立ち上がり、光を遮って画面が「黒」になる。 VA方式では反対に、電圧がOFFの時に液晶分子が垂直、最大電圧の時は水平に並ぶ。そのため、電圧がかからないと「黒」に、かかると「白」になる。TN方式は「ノーマリーホワイト」と呼ばれコスト面で優れるが、液晶分子が完全に立ちきらないために光漏れが発生。VAは「ノーマリーブラック」とよばれ、コストはかかるがより沈み込んだ黒が実現できる。
VA型のC2FINEでは、これに加えて無機配向膜を採用。被膜形成を分子レベルで堆積することで、配向膜を生成するもので、成膜と配向処理を同時かつ非接触で実現可能。従来のHTPSで必要だったラビング工程(配向性をもたせるためにこする工程)が不要になった。
だが、新パネルではTN型に有機配向膜を使用しているためラビング行程が必要。それにともなって縦縞が投写される問題も発生するが、「リアプロジェクションテレビやデータプロジェクタではそうした要素よりもコストが重視されるため、従来方式で開口率を向上させるシリーズも開発した」(TFT設計技術部 販売推進担当の前田光男課長)という。
同社では今後、画質を最優先にした「C2FINE」と、コストパフォーマンスを追及する新パネルの2系統で展開。C2FINEはフロントプロジェクタ、新パネルはリアプロジェクションテレビやデータプロジェクタなどに投入する予定。
□セイコーエプソンのホームページ
(2006年12月12日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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