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JSAT株式会社は20日、CS放送「スカパー!」などで利用する通信衛星の管制/運用施設「横浜衛星管制センター(YSCC)」を報道関係者に公開した。 JSATは国内衛星通信事業の最大手。2007年4月には「スカパー!」サービスで、JSATの通信衛星を利用している株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズと経営統合し、新持株会社を設立する予定。
2006年12月現在、JSATでは、バックアップ1機を含む8機の衛星を運用している。そのうち、110度CSデジタル放送「スカパー! 110(2007年2月より『e2 by スカパー!』)」では、「JCSAT-110」を、スカパー!では「JCSAT-3」、「JCSAT-4A」を利用している。そのほか、衛星ブロードバンドサービス「SPACE IP」や、衛星海洋サービス「Mega Wave Marine」、ライブ中継サービス、カーオークションシステム、国際伝送サービスなどに同社の管理する衛星が用いられている。 今回、公開されたYSCCは、衛星の運用を行なう「サテライトポート(衛星運用棟)」と、アップリンク/ダウンリンクやインターネット接続サービスなどを担当する「テレポート(ネットワーク運用棟)」の2つの棟で、衛星の管理を行なっている。 サテライトポートには、アンテナ設備や衛星の管制センターを配している。管制センターでは、赤道上空36,000kmの軌道を周回する衛星の監視や、衛星の姿勢制御、軌道制御などを行なっている。 JSATでは3交代制で監視、制御業務を実施している。衛星の軌道制御は2週間に一回程度で、地球の公転の関係から冬至や夏至の頃には1週間に一回程度となるという。軌道に影響を与える要素としては、地球の扁平性や太陽や月の引力などがあり、それらによる軌道のずれを測距し、所定の位置に戻るように衛星のスラスタを噴射、軌道まで修正する。
JSATの管理する衛星のうち、初期に導入した衛星はヒューズ(現ボーイング)製の「Boeing 601」だったが、現在はロッキードマーティン製の「A2100AX」などを導入している。初期の衛星は制御コンピュータとして旧DECのVAXを用いているが、最近はWindowsに移行が進んでいるという。 テレポートは、回線の監視や障害対応のほか、アップリンク(地上から通信衛星へ電波を送る)/ダウンリンク(衛星から電波を受信)サービス、インターネット接続サービス用通信などの伝送が行なわれる。 JSATではYSCCで衛星の集中管理を行なっているが、バックアップ局として群馬県榛東村にも群馬衛星管制所(GSCS)を設けて、万一の災害に備えているという。 なお、YSCCが横浜に作られた理由については、衛星放送での利用では主に10~15.7GHzの「Kuバンド」を使うことから、NTTが既に使っていたKuバンドへの混信が起こらない地域で、なおかつ東京からさほど遠くないところ、という条件で選定されたという。
□JSATのホームページ ( 2006年12月20日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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