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シャープ、亀山第2工場の第3期生産ラインを7月から導入
-大型化へのシフト進め、40型以上の出荷360万台目指す


1月8日に発表した世界最大の108V型の液晶テレビと並ぶ、シャープ・町田勝彦社長

1月12日発表


 シャープ株式会社は12日、年頭記者会見を行ない、同社・町田勝彦社長が2007年の事業方針などを明らかにした。


● 液晶テレビと太陽電池を2007年の重点事業に

2007年度の全社連結売上高は3兆3,000億円を目標とした

 町田社長は2007年の重点事業として、液晶テレビ事業と太陽電池事業の2点をあげ、2007年度の全社連結売上高として、過去最高の3兆3,000億円を目指すことを明らかにした。

 「同質競争を回避し、安定収益を確保することに力を注ぐ。需要創造型の商品を投入し、価値のあるオンリーワン商品を作っていく」(町田社長)とした。

 2007年度の見通しは、2006年度予想が売上高3兆円に対して10%増となるが、「営業利益も10%増を目指す」(佐治寛副社長)としている。2006年度予想では営業利益1,800億円で、こちらも過去最高の更新に挑むことになる。

 重点事業とした液晶テレビ事業では、2006年度は全世界の液晶テレビの市場規模を4,200万台としていたものを、4,500万台へと上方修正。さらに、2007年度は、前年比50%増の6,800万台に拡大すると予想した。とくに、40型以上の製品の構成比が約20%に達するとした。

 「40型以上の商品が大幅に伸びることになるだろう。シャープとしては、2006年度には、年間600万台の液晶テレビの出荷を見込んでいるが、そのうち40型以上の構成比は約12%。2007年度には、900万台を見込み、約40%を40型以上で占めたい」(町田社長)として、業界全体よりも大型化へのシフトを進める姿勢を示した。

 液晶テレビ事業は、2006年度には1兆300億円の売上高見通しだが、2007年度には17%増の1兆2,000億円に引き上げる考えだ。

液晶テレビの世界需要は、2007年度には全体で6,800万台となり、そのうち40型以上が20%を占めると予測 2007年度の販売台数は900万台を目指し、40型以上でそのうち40%を占める目標を設定 売上額は2007年度で1兆2,000億円を目指す


● 亀山第2工場の第3期生産ラインを7月から導入

亀山第2工場の第3期生産ラインを7月から導入し、月産6万枚の生産体制を確保

 同社では、こうした旺盛な液晶テレビへの需要や、大画面化に対応するために、亀山第2工場の第2期生産ラインの稼働を前倒しし、1月から稼働させたのに続き、今年7月を目途に第3期生産ラインを新たに導入し、現在の月産3万枚のマザーガラスの投入能力を、2倍となる月産6万枚とする計画を明らかにした。

 さらに、2008年中には月産9万枚にまで増強させる。9万枚体制に向けた投資額は、約2,000億円を見込んでいる。

 亀山第2工場では、第8世代のパネル生産を行なっており、40型クラスで8面取り、50型クラスで6面取りが可能になるなど、大画面に最適化している。液晶テレビ事業を担当する片山幹雄専務は、「米国では生産の遅れから11月終わりになって、ようやく商品が店頭に並びはじめたが、40型以上の領域で10%を超えるシェアを確保し、存在感を発揮できた。欧州や中国でも思った以上の反響がある。また、日本においては、46/52型に対する需要が旺盛で玉切れを起こしたほど。予想以上に大型化に対する需要が大きい」と、液晶テレビの大画面化が、全世界規模で進展していることを裏付けた。

 同社が先行しているフルHD化については、「シャープの液晶テレビが最も得意とする部分であり、37型以上では、フルHDテレビが圧倒的な売れ行きを見せている。また、32型でもフルHDパネルを搭載したが、きめ細かさを評価する若い人が多く、意外なほど売れている。国内では、今年中には37型以上の領域では、フルHDモデルの構成比が100%を占めることになる。海外ではWXGAの需要が根強いため、100%とはならないが、できるだけ100%に近づける。32型ではコストの問題もあるが、一定数量をフルHDで展開していきたい」とした。

□ニュースリリース(亀山第2工場に第3期生産ラインを導入)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/070112-d.html


● メキシコ第2工場を建設。全世界で生産体制を強化

 また町田社長は、亀山地域以外のグローバルな生産体制の強化にも触れ、「ポーランドでは、今年1月から月産10万台体制で液晶モジュールの生産が可能になり、2007年末には月産30万台体制とする。7月には、液晶モジュールから液晶テレビまでの一貫生産を開始する予定。さらに、メキシコ工場では、7月を目処に液晶モジュールから液晶テレビまでの一貫生産を行なう第2工場の稼動を開始し、42~65型の大型液晶テレビを中心に月産20万台の体制としていく」とし、「2007年7月には、亀山第2工場の第3期ラインの稼働とあわせて、ポーランド、メキシコの3工場で、同時立ち上げを行ない、2007年のクリスマス商戦に向けた体制を全世界で万全とする」とした。

 シャープでは、2007年度の液晶テレビ900万台の出荷計画のうち、国内は320万台、海外は580万台を予定している。

 町田社長は、「2010年には、全世界のテレビ需要の10%のシェアを獲得する『グローバル10』を実現したい。その時には、年間2億台のテレビ需要が想定されるが、10%のシェアでは年間2,000万台。2008年には、32型換算で2,000万台、37型換算では1,500万台の生産が可能になっている。だが、外販も2割程度を占めること、大画面化が進んでいくことを考えると、2009年から2010年には、生産能力が不足すると考えている」として、「亀山第2工場の次の生産拠点の建設については、今年夏までに決めると宣言している通り、いまの段階ではまだ決めていない。今は40型台が主力であるが、今後の動向を見て、どのサイズのマザーガラスの生産がいいのかを検討していきたい」とした。

 一方、Blu-ray Discに関しては、「青紫レーザーやピックアップにおいて、強いデバイスを持つことができた。今年春にはBlu-ray Discレコーダを発売する方向で検討している。青紫レーザーは、1月には25万個の生産体制だが、10月までには50万個の体制に拡張できる」とした。

 また携帯電話は、2006年度には年間1,300万台の出荷体制を、2007年度には1,400万台に増やす計画を明らかにした。

日本、ポーランド、メキシコ、マレーシア、中国の5箇所で、一貫生産体制を進めていく ポーランド工場では、7月から液晶テレビの一貫生産を計画 メキシコでも7月を目処に、液晶テレビの一貫生産を行なう第2工場の稼動を開始

亀山第2工場の第3期生産ライン、ポーランド工場の一貫生産、メキシコ第2工場を2007年7月に同時立ち上げ 2007年度の販売目標は900万台。そのうち、国内は320万台、海外では580万台を予定

□ニュースリリース(メキシコで新たに第2工場を建設)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/070112-c.html


● 太陽電池は葛城工場の増強や、富山に事業所を開設

 もうひとつの重点事業とした太陽電池事業に関しては、国内におけるハウスメーカーとの連携強化、ドイツや中国をはじめとする海外での売り上げ拡大を背景に、2007年度は前年比18%増の2,350億円を計画。主力となる葛城工場の生産能力を3月から増強する計画を明らかにし、同工場における年間生産能力を600MWから、710MWへと拡張する。

 また、シリコンウエハの不足が懸念されることから、葛城工場の生産能力の向上にあわせて富山事業所を開設し、太陽電池用シリコンの生産を開始。「葛城工場の増産で必要とされる約1,000トンのシリコンを、部材メーカーとの長期契約化と、富山事業所の開設で埋める」という。

 シャープでは、2007年度の連結設備投資額として、液晶分野で約2,000億円、太陽電池分野で約100億円をはじめ、年間3,000億円程度を見込んでいるという。

2007年度の太陽電池事業の売上目標は2,350億円を計画 連結設備投資額は、液晶分野に2,000億円、太陽電池分野に100億円など、総額3,000億円を計画

□ニュースリリース(葛城工場の太陽電池セルの生産ラインを増強)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/070112-c.html
□ニュースリリース(ソーラーシステム事業本部 富山事業所を新たに開設)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/070112-c.html


● 「極・楽・備」と「軽・薄・探・省」の商品づくり

個人消費の推進役になれる商品づくりを目指す

 町田社長は、「2007年は個人消費が景気回復の牽引役になる」と位置づけ、それに向けた商品づくりに取り組む姿勢を見せた。

 具体的な需要層として、団塊世代と団塊ジュニア世代をあげ、「団塊世代に対しては、暮らしを楽しみ、不安に備える消費が求められることから、極・楽・備(ごくらくび)の商品を投入する。一方、団塊ジュニア世代に対しては、生活をいっそう簡便にする消費として、軽・薄・探・省(けいはくたんしょう)の商品を投入する」とした。

 極・楽・備では、もてなしに「極」上な商品、趣味を手軽に「楽」しめる商品、健康や環境、安全への不安に「備」える商品を指し、軽・薄・探・省では、身近で実用的な手「軽」商品、すっきり収まる「薄」型商品、すぐ簡単に調べられる「探」索商品、手間がかからずメンテナンスフリーな「省」(ロボット)商品を指すという。

 「ユーザー動向を踏まえて、明確に差別化した商品を投入することで、持続的な成長を狙いたい」と、過去最高の業績達成についても、意欲を見せた。


□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
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【2006年12月25日】シャープ、亀山第2工場生産ラインを前倒し稼働
-第2期ラインで1月より生産開始。月産30,000枚体制に
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061225/sharp.htm

( 2007年1月12日 )

[Reported by 大河原克行]


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