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ソニー、第3四半期決算を発表。売上は過去最高
-BRAVIA好調でテレビ黒字化。PS3は184万台生産出荷


1月30日発表


 ソニーは30日、2006年度第3四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比9.8%増で、四半期としては過去最高となる2兆6,077億円。営業利益は同14.9%減の1,789億円、税引き前利益は1,798億円。当期純利益は前年比5.3%減の1,599億円となった。

第3四半期の連結業績

 エレクトロニクス事業は、売上高が前年同期比約16.9%増の1兆8,727億円と好調で、特に液晶テレビ「BRAVIA」や、デジタルカメラ「サイバーショット」が増収に寄与。円安などの要因もあり、エレクトロニクスの営業利益は前年比102.8%増の1,774億円となった。

 特に年末商戦のBRAVIAの売り上げが好調に推移し、テレビ事業は第四半期に黒字化を達成した。「リアプロは不調だが、液晶テレビは好調。下期のテレビ事業黒字化の見通しに変更はない」という。

 なお、ゲーム事業については、PLAYSTATION 3の発売により増収だが、PS3の戦略的価格改定や立ち上げ関連費用の計上により、営業損失542億円となった。2006年末のPS3生産出荷台数は184万台。

 エレクトロニクスの増益と映画の好調などにより、売り上げや営業利益は過去最高となったが、ゲームでの損失や金融部門の低調により、全体では減益となった。


■ BRAVIA好調。「下期にテレビ黒字化」の目標を達成へ

大根田伸行 EVP兼CFO

 同社の大根田伸行 EVP兼CFOは、売上高が過去最高となったことを報告。売上高が前年同期比約16.9%増の1兆8,727億円と好調のエレクトロニクスについては、液晶テレビ「BRAVIA」が全地域で好調なほか、デジタルカメラなどが増収となった。

 営業利益は前年比102.8%増の1,774億円。営業利益率は9.5%。売上高、営業利益ともに四半期ベースではともに過去最高という。利益の大きい順では、「デジタルカメラ、ビデオカメラ、液晶テレビ、システムLSI、イメージセンサ」。


 製品カテゴリごとの増益要因は、デジタルカメラ、液晶テレビ、システムLSI。デジカメは全世界で販売好調。液晶テレビについては「全世界で大幅増収」という。システムLSIについてはPLAYSTATION 3向けの本格出荷が増益に寄与した。

 一方、減益カテゴリとしては液晶リアプロジェクションテレビ。特に、「北米市場で、MD(マイクロデバイス)のプロジェクション(リアプロジェクション)が伸びなかった。昨年末はPanasonicのPDPの価格が大幅に下がるなど、PDPとの競争でMDプロジェクタが相当影響を受け、苦戦した(大根田CFO)」という。

エレクトロニクスの業績 エレクトロニクスの営業利益増減要因

 テレビ事業単体では、売上高が前年比15%増の約4,250億円。営業利益は前年から170億円改善し、130億円となった。2005年より掲げてきた「2006年度下期のテレビ事業黒字化」という目標を達成可能な見込みという。

 液晶テレビについては「北米市場ではシェアは30%近くまでいった。欧州は32型が予想以上に好調で、台数を拡大。国内はシャープの攻勢もあり、予定にはやや届かなかった」という。液晶テレビ価格下落については、「時間を追ってリニアに落ちるのではなく、前倒しに落ちている」と分析。「予想からは大きく外れていないが、サイズ別で40型の液晶は年間30%ぐらいと思っていたのが35%ぐらいと急になっている」という。

 また、リアプロジェクションについても、「大型の製品では、コスト面の優位性がある。今年は苦戦しているが、50型以上の市場では十分戦っていけるのではないか。さらなる薄型化やハイデフ化などで、MDPJはビジネスとしてやっていける」とした。

 なお、「パイオニアへの出資によるプラズマ再参入の噂があるが?」との質問には、「PDPを自前で開発して再参入するかというと、今は考えていない。開発投資については、今はないと理解して欲しい。OEMについても、現在計画はない」とコメントした。

 Samsungのとの液晶パネル合弁会社「S-LCD」については、第3四半期で約7億円の損失となったが、「効率の良い第8世代のラインが稼働したが、セットモデルとのミックスの関係で今期は32型が多く出た。32型は市場価格が厳しく、採算性がよくないため、いつまでも採算性の良くないものを作り続けるというわけではない」という。

 なお、好調なデジタルカメラ事業の中でも、デジタル一眼レフは苦戦を強いられており、「ニコンやキヤノンが対抗製品を出してきて、大変苦戦しています。第2弾、第3弾 と考えているが、いつなにを出すといったことはまだ言えない」と説明した。


■ PS3の生産出荷は184万台。65nm版Cellで低コスト化

ゲーム部門の業績

 ゲーム事業は、PLAYSTATION 3(PS3)の発売により、売上高は5.6%増の4,428億円と増収だが、PS3の戦略的価格改定や立ち上げ関連費用の計上により、営業損失542億円となった。2006年末のPS3生産出荷台数は184万台。

 PS3については、発売後約2カ月で200万台を生産出荷し、「SCEのプラットフォームとしては最速の立ち上げ」と紹介された。PS3用のソフトの生産出荷本数は520万本。

 今後の施策としては、「PS3の逆ざや(製造コストが販売価格を上回っている状況)を来年の下期に向かって、ブレイクイーブンに持って行く。具体的には、チップ(Cell)のシュリンク、部品点数の削減、半導体の歩留まり改善などが見込まれる」という。

 現在主に90nmプロセスで製造されているCellを新しい65nmプロセスに移行することで、ダイサイズで約40%、コストでも同様に約40%削減できる見込み。65nmプロセスのCellについては、「まだ、大々的にというわけではないが、良品を使っていくという意味では、量産といえる」とし、すでに量産体制に入っていることを明らかにした。なお、コストダウンにともなう値下げについては、「2~3年後はあるかもしれないが、当面、価格ダウンはない」。

 PS2の生産出荷は前年同期比125万台減の411万台、PSPが同446万台減の176万台。ソフトウェアについては、PS2が同1,500万本減の7,800万本、PSPが同410万本増の2,120万本。

 ニンテンドーDSとの比較で、PSPの売り上げが落ちているのでは、との質問については、「PSPをやめることは全く考えていない。ただし、予定よりダウンしているので、マネジメントとしてこれをどうして盛り返すか。いくつかの案を検討している。SCEからの新しいアプリケーションの発表を待って欲しい」とした。

 なお、同社では、ゲーム機の累計出荷台数について、販売台数や出荷台数(流通業者などへの出荷)ではなく、実質的な生産数を示す「生産出荷」という言葉を用いている。生産出荷という用語を用いている理由については、「経緯はわからないが、よりアキュレート(正確)に把握できる数字。セルスルー(販売)の数字は調査会社のデータより、かなり異なっていることがあるから、ではないか」と説明した。


■ ソニー・エリクソンは過去最高益。通期連結も上方修正

ソニー・エリクソンは過去最高の営業利益を達成

 ソニー・エリクソンは、売上高が前年同期比約64%増の37億8,200万ユーロ、純利益が同210%増の4億4,700万ユーロで、四半期として過去最高の売上高、純利益を達成。結果、ソニーの持分法による投資利益として336億円の利益を計上した。

 特にサイバーショット携帯、ウォークマン携帯などのヒットが業績に寄与。「売上高で世界第3位のポジションを獲得した」という。

 映画については、売上高が前年同期比46.8%増の2,970億円。営業利益は262億円と黒字転換した。「ダ・ヴィンチ・コード」や、「Talladega Nights:The Ballad of Ricky Bobby」などのDVDソフトがヒット。さらに、映画「007/カジノ・ロワイヤル」や「幸せのちから」などにより、劇場収入が増加したことで、黒字化を果たした。

 金融事業は、収入が前年比9.2%減の1,729億円。その他の部門では、リテール事業の株式売却により売上高が減少。ソニー・ミュージック・エンタテインメント(SMEJ)は、CHEMISTRY「ALL THE BEST」やORANGE RANGEの「ORANGE RANGE」などのヒットがあったものの、前年に平井堅の「Ken HIRAI 10thAnniversary Complete Single Collection '95-'05“歌バカ”」などの大ヒットがあったため、売上減となった。ソニーBMGは売上高が前年比1.6%減の14億4,100万ドル、純利益では同26.4%増の2億2,500万ドル。

 エレクトロニクス分野の改善やソニー・エリクソンの業績好調などにより、2006年度通期の連結業績見通しも上方修正された。売上高は約8兆2,300億円で2006年10月時点の予測から変更無いが、営業利益は100億円増の600億円、純利益は300億円増の1,100億円を見込んでいる。

その他部門の業績 ソニーBMGの業績 通期連結業績予測を上方修正

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/info/presen/index.html
□関連記事
【2006年10月26日】ソニー、第2四半期決算は営業損失208億円
-バッテリ不具合が影響。エレクトロニクスは回復
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061026/sony.htm
【2006年7月27日】ソニー、2006年度第1四半期は営業黒字に転換
-「BRAVIA」好調でエレクトロニクスも黒字に
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060727/sony.htm

( 2007年1月30日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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