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株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズは1日、社長定例会見を開催。2006年第3四半期の業績説明や、前売りPPVサービス、IP放送への取り組み、加入促進戦略などについて解説した。
第3四半期の連結営業収益は、前年比9億800万円増の214億7,000万円、営業利益は6億2,700万円で、前年同期の9億7,600万円の損失から黒字転換した。純利益は12億8,700万円。総登録者数は420万8,000人で、個人登録者数は360万6,000人。 新規個人契約件数は、スカパー!とスカパー! 110が予想を下回ったほか、スカパー!光の戸建て向けの作業が遅れなどが響き、減少。また、「FIFAワールドカップドイツ大会」放送後の解約が多く、個人解約率が9.8%と高い水準となったという。 そのため2006年の新規加入見通しも当初の53万件から、47万件に下方修正。内訳についてはスカパー!(124/128)が4万件減の26万件に、スカパー! 光は2万件減の3万件。スカパー!110(2月1日からe2byスカパー!)は18万件で変更無し。 通期の業績見通しは営業収益が15億円減の860億に下方修正。ただし、営業利益についてはマーケティングコストの減少などから15億円増の25億円に上方修正。純利益も5億円増の20億円。
■ 新ブランド「e2byスカパー!」で110度CSデジタルを訴求
同社では、衛星通信事業者のJSATとの経営統合を控えており、2月9日の臨時株主総会を経て、4月2日に新会社スカパーJSATを設立、東証一部上場予定。そのため、中期の経営計画については3月頃に改めて発表する見込み。 仁藤雅夫社長は、新規加入動向の変化や、Jリーグを中心とした新しい顧客獲得施策について説明した。 同社では124/128度CS衛星を用いた「スカパー!」に加え、110度CSデジタル放送を利用した「e2byスカパー!」、NTT東西のFTTH網を利用した「スカパー! 光」など複数の伝送路を使った展開を図っているが、スカパー!は減少傾向ながら、e2byスカパー!は伸張しており、新規での加入が増えているいるという。
従来の110度CSデジタルサービスは「スカパー! 110」として展開していたが、店頭などで「スカパー!(124/128)との違いがわからない」という意見が多かったという。そのため差別化をはかり、ブランド名を2月1日付けで「e2byスカパー!」に変更した。 特に、地上/BS/110度CSデジタルチューナを備えた3波共用のデジタルテレビが増えていることから、HDコンテンツや共用チューナなどのメリットを生かして訴求していく方針で、同社ではe2byスカパーのさらなる加入増を予想している。 また、規制緩和によりHD放送への変更が容易になったことからも、積極的にHD化を推進する予定で、「2007年度には3~5チャンネルをHD化する」という。
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「スカパー! 光」については、新規加入が見込みを下回ったが、サービスを開始している都市部での申し込みは増えているという。 ただし、「特に戸建て住宅における、工事で課題がある」としており、申し込みは増えているがBフレッツの工事の後、スカパー!光の工事が約1カ月半や2カ月ほど遅れてしまうなどの問題が生じているという。 「テレビが見たいのに、2カ月も待てないという声が多い。改善は進んできたが、もう一度フローを見直して、できれば(Bフレッツとの)同時施工なども目指したい」という。スカパー!光のエリア展開については、2007年3月よりさいたま地区でのサービスを予定している。 ■ 「Jリーグ」を新規顧客獲得の目玉に
コンテンツ面では2007年から2011年までの5シーズンにわたる、CS独占放送権を取得したサッカー「Jリーグ(J1/J2)」を加入促進の目玉に据える。 スカパー!とスカパー!光では全620試合を完全生中継。また、e2byスカパー!では毎節2試合をハイビジョンで生中継する。「(2002年の)日韓ワールドカップに匹敵する大プロジェクト」と位置づけて、各チームのホームタウンを中心とした地域マーケティングで加入促進を図っていくという。 「従来は、広告宣伝費をかけてテレビや店頭などで訴求してきたが、そろそろ難しくなっている。Jリーグや各チームと組んで、エリアに根ざした販売をやっていきたい」とする。具体的にはスタジアムに特設ブースを設けたり、各地域の店頭でチーム色を前面に出して、チームのファンを中心に訴求していく。 地域マーケティングにより、Jリーグと協力。5年間でJリーグの観客動員(47万世帯/年)を20%アップさせるとともに、そのうち約4割のJリーグセット加入を図る方針で、「チームと一緒に加入者を延ばしていきたい」としている。
□関連記事 ■ 「前売りPPV」でPPV環境を整備。IPTVにも積極的に取り組む 新しいサービスとしては、スカパー!のPPVサービスにおいて、カスタマーセンターに電話するだけでPPVコンテンツを購入できる「前売りPPV」をスタートする。従来のPPVでは電話回線の接続が必須となっていたが、前売りPPVを利用することで、電話回線をチューナに接続することなく、PPV視聴が可能となる。 また、天気情報を提供する株式会社eTENの子会社化により、天気チャンネルの運用や、防災情報の強化を図るほか、W-ZERO3とSlingboxのセットモデルやロケーションフリーを利用した別室視聴などを提案し、さまざまな利用スタイルを呼びかけていく。 解約防止策としては引っ越しに伴うアンテナ移設や取り付け工事費用相当の9,450円分のクーポンを提供する「引っ越しサポートキャンペーン」を2月から5月まで実施する。 また、スカパー! 光のサービスに加え、IPマルチキャストを利用したIPTVサービスについても具体的な検討に入るという。さらにIP網を使ったVODサービスなども強化する予定で、NTT東/西本向けのSTBを利用した動画配信サービス「オンデマンドTV」を運営するオン・デマンド・ティービーに追加出資を決定。さらに、電気通信役務利用放送事業者(有線)としてオンデマンドTVにサービス提供しているアイキャストにも出資する。 RF伝送のスカパー!光以外にも、VODやIPマルチキャストによる地上デジタル再送信など、IP網を活かしたサービスについて検討を進めていく。 仁藤社長は「コンテンツアグリゲーションと、エンコーディング/送出、顧客管理業務など、スカパーの強みを生かせる領域は多い。NGN時代に向けて、スカパーも本格的に展開する」と意気込みを語った。 □スカイパーフェクト・コミュニケーションズのホームページ ( 2007年2月1日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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