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パイオニア株式会社は、2008年3月期第1四半期連結決算を発表。売上高は前年比4.7%減の1,826憶4,100万円、営業利益は81.3%減の13億2,300万円。所沢事業所や大森事業所の一部土地建物売却益119億円を計上したことから、純利益は117%増の123億3,100万円となった。 ■ プラズマは高付加価値を訴求。「松下より5割高は覚悟している」
ホームエレクトロニクス事業は、売上高が前年同期比14.7%減の694億3,100万円。営業損益は54億3,700万円の損失と、昨年の4億5,200万円の損失から赤字幅が拡大している。 主な原因はプラズマテレビの損益悪化のため。市場競争の激化に加え、新製品導入にあたり、欧州での現行製品販売を慎重に計画したことから減収となった。ホームエレクトロニクス事業に占めるプラズマテレビの構成比は約34%。DVDドライブの売上は増加したが、DVDレコーダは国内を中心に売上減となっている。
プラズマテレビについては、近日中の新製品投入を予定しており、大画面化とフルHDの構成比拡大を図る。台数の拡大ではなく、収益を確保を重視する方針。通期の販売予定台数は72万台で、サイズごとの構成比は60型が10%、50型が50%、42型が40%を見込む。フルHDモデルの構成比は約20%まで高めていく。 価格下落は、昨年の第1四半期と比較して約13%の価格ダウンとなったが、通期ではフルHD/大画面化を進めることにより、出荷ベースで3%の価格上昇を見込んでいるという。 岡安秀喜 常務取締役は、「他社の同サイズの製品と比べて、ざっくり50%価格が高いことは覚悟しているが、画質や音質、製品のつくりには自信がある。その価値を伝えていくことがキーになる。アフターサービスの安心感などもお客様に伝えていきたい」とした。なお、他社製品の具体名については、「パナソニックのプラズマ」とコメントした。 建設を凍結しているプラズマディスプレイパネルの新工場については、「第8世代の新しいXGAモデルが6月に欧州で発売されたが、まだ反応を確認するに至っていない。これから夏の終わりにかけてフルHDモデルを投入する。その反応を見極めてから、決定する」としている。
カーエレクトロニクス事業は、カーナビ、オーディオともに売上が増加し、売上高は前年比6.2%増の970億170万円となった。営業利益は前年比1%増の76億900万円。カーナビは国内市場で減少したものの、北米で伸長。カーオーディオは、市販市場向け売上が中南米で増加したものの、北米が減少、OEMは国内や中国で増加した。 特許関連では光ディスクにおける一部の特許権期間が満了し、売上高は前期比で91.5%減の1億700万円。営業損益は7,600万円の損失。その他の部門では、パッシブ型の有機ELディスプレイの売上が増加したが、FA機器の売上減により前期比9.1%減の売上高160億860万円となった。営業損失は6億7,400万円で、携帯電話用スピーカーの価格下落が響いたという。 ■ BRICsの拡大にあわせたカーエレ事業展開
通期の業績予想については、5月発表時から変更はなく、売上高は前年比4.8%増の8,350億円、営業利益は同20.1%増の150億円。純利益は125億円を見込んでいる。ホームエレクトロニクス事業は売上高3,800億円、営業損失80億円、カーエレクトロニクスは売上高3,750億円、営業利益200億円と予想している。 岡安常務取締役は、「第1四半期は、前年比で減収/減益ではあるが、計画は上回っている。しかし、為替や素材価格、欧米の大画面テレビ市場の動向など、不透明感がある。営業利益150億円は達成可能と考えているが、プラズマの第8世代を含めた動向など自信たっぷりともいいい切れない部分もある。カーエレクトロニクスは当初の予定のとおりに推移すると考えている」と説明した。 なお、日立によるクラリオンの吸収合併や、ケンウッドとビクターの経営統合など、カーエレクトロニクス事業における業界再編、競合環境の変化については、「業界再編は自然な流れだが、その影響がすぐに出るとは考えていない。国内新車販売が低迷したり、先進国でのOEM比率が増えるなど、先進国ではやや頭打ちの傾向があるものの、BRICsなどの新興市場はその低調を補って余りある。業界全体は拡大傾向で、われわれもその中で、しっかりやっていきたい」とした。
□パイオニアのホームページ ( 2007年7月31日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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