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米Dolby Laboratoriesは、年末に米国で劇場公開予定の新3D上映システム「Dolby 3D Digital Cinema」を発表。27日に都内で技術説明とデモ上映が行なわれた。 「Dolby 3D Digital Cinema」は、DLPシネマプロジェクタ用の新技術。RGB各色を左目用、右目用に分けて制作された映像を高速で交互に表示、プロジェクタ内部のフィルタホイールと対応メガネの利用で、映像が立体化して見えるというもの。大きな特徴は、フィルタをランプと光学エンジンの間にあらかじめ掛けることで、後からカラープロセッシングを行なうことなく投射できる点。
バルコ/NEC/クリスティのプロジェクタで利用でき、CDサイズというフィルタホイールと、映像を同期させるコントローラ「DFC100」、専用メガネを用意すれば利用できるため、「ポストプロダクションにとってもシンプルで、興行関係者にも使いやすい」としている。なお、ランプは2Dの場合より高輝度化することが必要で、今回のデモでは出力2倍となる6kWのランプが使用された。 また、毎分4,000回転というフィルタホイールを採用、従来技術に比べフリッカーが起こりにくくなったという。さらに、従来技術では光の分配が均一でないことから生じる、客席位置による見え方の違いも解消したとしている。スクリーンは、特殊なシルバースクリーンではなく、ホワイトスクリーンで利用できる。 専用メガネは左半分が左目、右半分が右目用フィルタホイールと同じフィルタになっており、左右各50層にも及ぶ構造を採用。再利用も可能で、「洗浄テストを行なった400回は少なくとも使用できる」としている。
■ 米で11月にスタート。国内での課題は字幕
デモは、品川にあるIMAGICAの試写室で実施。Ioan Allen上席副社長は「2Dから3Dへの切り替えが簡単に行なえ、クオリティを従来に比べ同等以上とし、ポストプロダクションや映画館にとって追加負担を必要としないもの」が開発基準であったとし、「ドイツのInfitecが静止画用に持っていたカラーフィルタの特許を、動画に活用できることが簡単だと考えた」と経緯を説明。 同社は、国内で2005年に公開された「チキン・リトル」で、一部の劇場において米REALDが持つ3D映像表示の特許技術とドルビーのデジタル上映システムを用いた3D上映を実施。今回のシステム開発も、「チキン・リトル」での経験が発端になったという。 今回のデモでは、U2のライブ映像や、「スター・ウォーズ」の一部シーンなどを上映。画面の輝度が極端に落ちたり、スクリーンの場所により輝度の差が出るといった不満もなく、立体映像を楽しめる。派手なアクションで臨場感を味わうことももちろんだが、特に動きの激しくない映像でも、自然な立体感を演出するなど制作側の工夫により、没入感を高められるのではないかとも感じた。なお、メガネ無しで見ると、従来の3D映像と同様に輪郭がずれて見える。 字幕の対応について質問が出ると「どの深度に字幕を出すかということは、技術以外にアーティスティックな面でも問題」と慎重な姿勢。Allen氏自身も「タイ語字幕版を見たとき、読もうと思わなくても自然に目が字幕にいってしまい、目が疲れた」と述べており、米国で字幕版をデモ上映した際にも「観客は5分ほどで頭痛を起こし、部屋から出ていった」という。吹き替え版を推奨するかどうかは「映画会社の判断」としたものの、国内では吹き替え版が先行することが予想される。 米国では11月16日に劇場公開される「Beowulf」で正式に採用。これまで行なわれたデモ上映では、通常より1ドル高い料金で上映されていた。 日本での採用時期や作品などは未定。上映はドルビーのサーバーを持つ映画館に限定され、同サーバーを所有する映画館は現在国内では20スクリーン前後。 なお、同社にとって初出展となる10月2日からのCEATEC JAPANでは、試写スペースを設けて「Dolby 3D Digital Cinema」のデモ上映を実施予定。6日までの期間中、一般来場者を含め体験が可能となる。
□Dolby Japanのホームページ ( 2007年9月28日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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