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株式会社サイバーコネクトツーは3日、映像事業への参入を発表。クロスメディアプロジェクト「.hack//G.U.」(ドットハック・ジーユー)の新展開として、2008年1月25日に発売を予定しているOVA作品「.hack//G.U. TRILOGY」のBlu-ray Discビデオ、DVDビデオの説明会を行なった。
「.hack//G.U.」は、バンダイ、バンダイビジュアル、テレビ東京、角川書店などが参加するメディアプロジェクトで、同名のプレイステーション 2用ゲームを軸としながら、テレビアニメ、コミック、ラジオ、携帯電話など、幅広いメディア展開を行なっている。 新作の「.hack//G.U. TRILOGY」はオリジナルビデオアニメで、全編3DCGで描かれている。ゲームを開発したサイバーコネクトツーが、自ら手掛けた長編映像作品であることが特徴で、制作にあたっては会社内に「sai」(サイ)と名付けられた映像制作集団を結成。“少数精鋭”をモットーに、ゲームともアニメとも異なる、斬新な映像にチャレンジしているという。
なお、BD/DVDビデオのリリースは、既に9月14日に発表されており、東京ゲームショーではプロモーション映像も先行公開された。その際、価格はBDビデオ版が10,290円、DVDビデオ版が7,140円とアナウンスされたが、今回の発表に合わせ、BDビデオ版が8,190円に値下げされた。「より多くの人に観てもらいたいと考えたため」(サイバーコネクトツー松山社長)という。BD/DVDビデオ版の音声/映像の仕様は既報の通り。
■ ゲーム版とは異なる展開と結末
サイバーコネクトツーの松山洋社長は、同社がこれまで手掛けてきたゲームソフトを振り返りながら「一貫してこだわってきたのは、映像と演出」だという。「以前は.hackの世界を3本のゲームとして表現したが、今回は映像作品としてもう一度、この世界を描きたいと考えた」とのこと。
そのため、基本的な登場人物はゲーム版を踏襲しており、「ゲームをプレイした人ならば、“見たことがある”と感じる場面も少しある」という。詳しいストーリー展開は公表されていないが、ストーリーそのものや結末はゲーム版とは異なっており、「ゲームのファンも、.hackをまったく知らない人でも、“これは凄い”と感じてもらえる作品を目指している」(松山社長)という。
なお、ゲームからの動画の使いまわしは一切無く、「素材なども含め、TRILOGY用に新たに作り上げたもの」だという。TRILOGYで追加される要素もあり、発表会では主人公・ハセヲが使う“フォーム”の新バージョンとして、TRILOGYにのみ登場する“Bi-stフォーム”の画像も公開された。
さらに、出演声優の櫻井孝宏さん(ハセヲ役)、川澄綾子さん(アトリ役)、東地宏樹さん(オーヴァン役)からのビデオメッセージも上映。また、同じく.hackシリーズに声優として参加している榎本温子さんは、今回の発表会の司会も担当した。
榎本さんは「大好きな.hackにまた参加できて嬉しいです。ゲームのアフレコでは皆バラバラに収録する事が多いので、今回の映像作品はそういう意味でも特別な作品。また、声優の演技を先に収録し、それに合わせて映像が作られるという手法がとられていたので、自由な演技がしやすかったです」と感想を語った。
■ 「バンダイビジュアル価格からPS3ゲーム価格に」 制作時のこだわりとして松山社長は、3DCGながら、モーションキャプチャーは使っていないことを挙げる。「リアルな人間の動きを再現すると言うよりも、どちらかというとアニメ的な演出を目指し、全シーン“手付けアニメ”で制作している」という。このこだわりは、過去のゲーム内で使われたムービーでも貫かれており、今回のTRILOGYもそうした“ゲーム中における映像表現・演出手法を、映像作品にまで昇華させたものである”と、強調する。 「単なる3DCGの映像じゃないかと思われるかもしれないが、こうしたこだわりで、アニメでも実写でも無い、どの映像制作会社とも違う表現を目指している」(松山社長)とのこと。この姿勢は制作体制にも適用されており、「皆さんが想像するよりもずっと少ない人数で、少数精鋭で制作している。アニメと異なる、ゲーム制作の工程を適用することで、“効率化”を念頭に制作している」という。
続いて挨拶に立ったバンダイナムコゲームスの鵜之澤伸社長は、サイバーコネクトツーが手掛けた映像のクオリティの高さを評価した上で、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」が日本で100万枚以上、欧米でも好調なセールスを記録したことに触れ、「ゲームクリエイターが良い物を作ると、映像作品でも多くの人に受け入れられる実例」とした。 さらに鵜之澤社長は、「次世代ゲーム機により映像のクオリティが向上し、アニメとほぼ同じような映像をリアルタイムの3DCGで表現している作品もある。今回のTRILOGYはプリレンダリングの作品だが、将来的にはゲームのデータでリアルタイムに描かれる映像で、映画が作られるような時代になるかもしれない。一方でダウンロード配信などで低価格なゲーム市場にも新たなチャンスが生まれている。そうした新しい展開の第1弾として送り出していきたい」と、TRILOGYに寄せる期待を語った。
ソフトの販売を担当するバンダイビジュアルの森本浩二取締役は、価格の変更について説明。「当初は10,290円という、Blu-rayにおける“バンダイビジュアル価格”だったが、制作途中の仕上がりやクオリティの高さを見て、8,190円で行こうと決めた。PS3用のソフトと比べても遜色無いプライシングだと考えている」とした。
□サイバーコネクトツーのホームページ
(2007年10月3日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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