|
日本ビクター株式会社は、ハイビジョンHDDビデオカメラ「Everio」シリーズの新モデルとして、世界初となる本体で1,920×1,080ドット/60pの出力が可能な「GZ-HD6」を2月中旬に発売する。搭載HDD容量は120GB。60GB HDDを採用し、1080/60p出力非対応の「GZ-HD5」も同時発売。価格はどちらもオープンプライスで、店頭予想価格は「HD6」が17万円前後、「HD5」が15万円前後の見込み。カラーリングはHD5のみブラックとシルバーの2色を用意する。
1,920×1,080ドットのフルHD解像度でMPEG-2 TS記録を行なうHDDムービーカメラ。2007年3月にリリースされた「GZ-HD7」の後継モデル。撮像素子や光学系は「HD7」と共通だが、上位モデル「GZ-HD6」の最大の特徴はカメラ本体からの1080/60p出力に対応したこと。 1/5型、総画素数57万画素(1,016×558ドット)/有効画素数53万画素(有効976×548ドット)、16:9のプログレッシブスキャンCCDを3枚搭載し、斜め画素ずらし構造でフルHD(1,920×1,080ドット)記録に対応している。RGB各色 14bitで入力された、1080/60p信号を独自の画像処理エンジン「HD Gigabrid」で処理。P/I変換した後、ビデオコーデックでMPEG-2 1080/60iのファイルにエンコードするところまでは「HD7」と同じ。新たにI/P変換回路を追加。プログレッシブ変換することで1080/60pに戻し、カメラのHDMI端子から出力できる。
映像の入口と出口をプログレッシブ(倍密)処理していることから、同社ではこの方式を「W倍密」と名付け、1080p入力対応の薄型テレビとの組み合わせを提案していく。なお、ファイルとしてHDDに保存されるのは1080i動画であり、1080p再生されるのは本体のHDMI出力を使った場合のみとなる。また、記録までの処理はHD7とほぼ同じだが、斜め線の描写などをより滑らかにI/P変換できるよう、記録時のP/I変換にも若干の改良を行なっているという。
HD6とHD5の違いはこの1080p出力機能で、HD5には搭載されておらず、1080i出力となる。HDD容量以外の主な仕様は共通。光学系は両モデルともHD7を踏襲。FUJINONレンズを採用したフルHDの3CCDカメラシステムで、ズーム倍率は光学10倍(F1.8~1.9)。35mm換算の焦点距離は39.5~395mm。手ぶれ補正は光学式。 また、HD7と比べ、約40%の小型化を実現。新設計の小型基板を採用したほか、パワーマネジメントによる基本配置の最適化も行なった。液晶モニタ外側のラインには、コンパクトさを強調する低重心のデザインを採用している。なお、HD7に搭載されていたビューファインダーとマニュアルフォーカスリングは省かれた。本体の外形寸法はHD6が79×130×73mm(幅×奥行き×高さ)で、HD5が78×130×73mm。バッテリ装着時は奥行きが143mmとなる。撮影時の重量はHD6が585g、HD5が565g。
HDDをHD6は120GBと大容量化。HD5も60GBのHDDを内蔵した。サイズは1.8インチ。また、録画モードに、新たに長時間撮影用の「LP」を追加。1,440×1080iで、平均11Mbps、最大15Mbpsでの録画モードとなる。120GBモデルの場合は、同モードで約24時間の録画が可能。また、microSDHCメモリーカードスロットも備え、カードにも動画の録画が可能。ただし、転送速度の問題から、カード録画時に選べるのはSPモードのみとなる。
ほかにも、x.v.Colorに対応。撮影した動画から1,920×1,080ドットの静止画を本体で切り出したり、液晶モニタの開閉と連動して電源をON/OFFする機能なども装備。液晶モニタは2.8型で、x.v.Color表示には対応していない。出力端子はHDMI ver.1.3、コンポーネント、AV、i.LINK、USB 2.0。外部マイク入力も備えている。なお、HD6のみイヤフォン出力も用意する。付属バッテリ「BN-VF815」を使用した際の連続撮影時間は、HD6が約1時間20分(実撮影40分)、HD5が約1時間25分(実撮影45分)。 既発売のDVDライター「CU-VD40」と接続することで、PCを使わずにDVDメディアへハイビジョン動画を保存可能。薄型タイプ「CU-VD3」も使用できる。編集/管理ソフトとしてサイバーリンクの「BD Solution」を同梱。編集用の「PowerDirector 6 NE」や、「PowerProducer 4 NE」、再生ソフト「PowerCinema NE for Everio」などが利用可能。Mac用には「QuickTime Component for Everio」を用意し、インストールすることでiMovie HD 6とFinal Cut Pro 5/6で、HD動画の編集が行なえるようになる。
■ “W倍密”でフルHD映像をさらに進化させる
モバイルAV事業グループ カムコーダーカテゴリー長の堀伸生氏は、全世界におけるビデオカメラ市場の動向について、「マーケットの規模に大きな変化は無いが、国内では急速にハイビジョン対応モデルへの置き換えが進んでいる。2008年は海外でもハイビジョン対応ビデオカメラの市場が本格的に立ち上がるだろう。それに伴い、長時間録画が行なえるHDD内蔵型が主流になるだろう」と予測し、フルHD録画に対応しながら長時間録画も可能にした新モデルの強みを解説。 さらに、SD解像度向けモデルも含め、新たなユーザー層開拓拡が必要だとし、1月上旬より導入した、デザイン性に優れた小型モデル「Everio GZ-MG330」を紹介。「1月21日の新聞記事(Gfk調査)によれば、国内のビデオカメラ台数シェアで、ビクターは20%の2位に位置している。しかし、MGシリーズを投入したことで、1月14日~20日のシェアが22.9%に拡大した」と報告。「(新規ユーザー層開拓という)意図通りの成果が出たと感じている」とした。
また、2003年3月に投入した民生用初のハイビジョンビデオカメラ「GR-HD1」や、初のフルHD撮影対応モデル「GZ-HD7」など、ハイビジョンビデオカメラにおいて新技術をいち早く取り入れてきた歴史を振り返りつつ「“W倍密”によって、フルHD映像をさらに進化させたHDシリーズを投入し、さらなる市場シェアのアップを目指したい」と語った。
□ビクターのホームページ
(2008年1月29日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|