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A&Vフェスタ2008【ビクター/デジタルドメイン編】
ビクターが新スピーカー/アンプを参考展示
個性的なiPod用のオーディオ機器も多数


開催期間:2008年2月23日~25日

開催時間:10時~17時(初日のみ19時終了)

会場:パシフィコ横浜 カンファレンスセンター

入場料:無料


 オーディオ・ビジュアル関連の総合展示会「A&Vフェスタ2008」が23日、横浜みなとみらいのパシフィコ横浜・カンファレンスセンターで開幕した。会期は2月23日~25日までの3日間。入場料は無料だが、webで事前登録、もしくは当日会場での登録が必要となる。

 ここではビクターを中心に、アスキーの創業者として知られる西和彦氏が社長を務めるオーディオメーカー、デジタルドメインのブースなどをレポートする。


■ ビクター

 ビクターは広いフロア内に設けたブースで各種新製品を展示しているほか、新スピーカーやアンプが体験できるオーディオ用と、200インチのスクリーンとD-ILAプロジェクタ「DLA-HD100」を組み合わせたシアタールームの2室の視聴室を用意している。

 オーディオ用の新製品として参考展示されたのは、マグネシウムを振動板に使用した2ウェイのブックシェルフスピーカー。2008年夏頃の発売を予定しているもので、1本10万円程度を想定して開発が進められているという。フロア型など、シリーズ展開も考えられている。

ビクターのブックシェルフスピーカー、試作機 マグネシウムを振動板に使用。オブリコーン形状となっている 背面

 ユニットサイズは、ウーファが14.5cm径、ツイータが19mm径。エンクロージャはリアバスレフ。最大の特徴はウーファの振動板にマグネシウムを使ったこと。振動板の形状は、振動板の中心をセンターからずらすことで、中・高域の共振を分散させるお馴染みのオブリコーン形状を踏襲しているが、従来のアルミニウムからマグネシウムに変更することで、形状が生み出す特性をより活用できるという。

 振動対策も工夫している。エンクロージャー内部に木製のベース(突起)を設け、ウーファユニットを背後からネジで固定。バッフル面にユニットを固定する通常のスピーカーでは、ユニットの振動がバッフルに伝わり、再生音にキャラクターが乗ってしまう。しかし、内部のベースを介してエンクロージャー全体に振動を伝えることで、振動を分散させて逃がすという。板が振動しても極力自然な響き音になるよう、側板にはMDFをチェリー付き板でサンドイッチした構造を採用。エンクロージャー自体も背面を傾斜させており、定在波が発生しにくい形状を追求している。

オブリコーン形状を踏襲しながら、マグネシウムを振動板に採用 内部構造 背面も傾斜が付けられており、定在波の発生を抑えている

 ピュアオーディオ用アンプとして参考展示されたのは、2chのデジタルアンプ。視聴室では試作機の再生デモが行なわれたほか、ホール内の展示ブースではデザインモックアップも展示されている。

 独自のPWM変調によるデジタルアンプDEUS(Digital Emotional Universal Sound)を「ハイエンドまで進化させた」というもので、製品化が検討されているが、具体的な発売時期や価格は未定。

デジタルアンプの試作機 同じデジタルアンプのデザインモック。黒いマスクで覆われている部分に、歪みを低減する秘密があるという

 「DEUS」は、LPF通過後の信号をPWM変調前へアナログでフィードバックすることで、変換誤差やスイッチング歪みなどを低減する技術だが、新開発のアンプでは、余裕のある高効率大電力でありながら、音質を最優先させたという最新の電源システムを投入。これにより、「デジタル特有の歪みが無くなり、アナログA級アンプのような直線で、歪みの少ない出力波形が得られる」という。具体的には歪み率00.002%以下、S/N比120dB、ダンピングファクター1,000以上を実現する。

 従来通りフィードバックも行なわれているが、「素性の良い音をさらにフィードバックで高音質化しているため、大幅な音質向上が期待できる」とする。ただし、それを実現する電源部の工夫など、技術の詳細は非公開。デザインモックでも筐体底部や背面部などがマスクされた状態で展示されている。「業界が驚くようなアイデアが盛り込まれている」とのこと。

アナログアンプの出力信号のゼロクロス部分の波形。A級アンプが最も理想的だが、電力効率が悪いという欠点がある 電力効率の良いデジタルアンプでも、新技術を使うことで、A級アンプのような波形が実現できるという

デジタルアンプを採用したDVDシアターシステム

 シアター関連では、DVDプレーヤー内蔵のアンプと、サテライトスピーカー、アクティブサブウーファで構成される2.1chシアターシステム「NX-F3」を海外発売予定モデルとして展示。欧州や北米での販売を予定しており、日本でも投入を検討していという。価格は約499ドル。

 2004年に発表されたフロントサラウンドシステム「√4(ルート・フォー)」を進化させた技術を投入したという。左右のサテライトスピーカーには各2個のユニットを内蔵。出力は片チャンネルで50W×2。左右合計では50W×4。サブウーファは150W。DVDプレーヤー部は1080pへのアップスケーリング出力に対応。HDMI CECにも対応しており、同社液晶テレビや他社の対応モデルと電源連動や各種操作が連携できる。

サテライトスピーカー アップスケーリング出力も可能なDVDプレーヤー内蔵アンプ サブウーファ

 液晶テレビでは、昨年のCEATECで展示されたものと同じ、42型の薄型液晶テレビを参考展示。最薄部は3.7cm。同社は2008年のCESで、海外向けに夏頃の発売を予定している42/46型、最薄部39mmの液晶テレビを展示していたが、それとは異なるプロトタイプ。「投入時期は未定だが、日本での発売も検討している。製品化の際には海外向けと同様に、強度を考慮して厚さが若干増えるだろう」とのこと。パネル解像度や、搭載する高画質化回路などは未定だが、「おそらくフルHDで、倍速駆動など、市場で求められる機能を盛り込んだモデルになる」という。

42型の薄型液晶テレビ。2007 CEATECで展示されたものと同じだ 最薄部は3.7cm。海外向けモデルと同様、日本に投入される場合は、若干厚みが増えるという

ウッドドームユニットを採用したカナル型イヤフォン「HP-FX500」や、新ノイズキャンセルヘッドフォン「HP-NC250」なども視聴できる net K2テクノロジーの紹介コーナーでは、対応携帯電話も展示

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【1月10日】【CES 2008】【ビクター編】薄さ3.9cmの液晶テレビを米国発売
-iPod直挿の液晶テレビやデュアルiPodスピーカー
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080110/ces16.htm


■ デジタルドメイン

デジタルドメインの視聴ルーム

 アスキーの創業者として知られる西和彦氏が社長を務めるオーディオ機器の企画、開発、販売を行なう、ファブレスメーカー。第1弾モデルとして3月に発売を予定しているDCパワーアンプ「B-1a」と、DAコンバータ「D-1a」、「D-1b」の3モデルをデモしている。価格は「B-1a」が105万円、DACに米MSB TechnologyのマルチビットDAC「MP-ACD311」を使っている「D-1a」が157万5,000円、「MP-ACD512」を内蔵する「D-1b」が105万円。

 「B-1a」は、SIT(静電誘導型トランジスタ/Static Induction Transistor)を各段に採用した、ステレオのDCパワーアンプ。SITは3極真空管に近い電気特性を持つトランジスタで、高速動作・低損失で、信号波形の忠実な増幅ができるという。発明されたのは'74年で、かつてヤマハやソニーなどが採用。特にヤマハは半導体プロセスから自社開発/生産し、B-1、B-2、B-3と、SITアンプを3機種投入した。今回の「B-1a」開発にあたっては、デジタルドメインがB-1の設計者である横山健司氏に「新時代のSITアンプ」として設計を依頼したものだという。なお、デジタルドメインの会長も、元ヤマハの音響技術者である持田康典氏。

 出力は150W×2ch。BTL接続で300Wのモノラルアンプとしても使用できる。全ての信号パスにSITを使っているほか、信号パスやグランド周りの配線に銀金線を使用。銅5mm厚のシャーシの上に電源トランスをマウントするなど、振動対策も強固に行なっている。外形寸法は220×220×600mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は40g。複数台を組み合わせ、シアターでも使用可能。西氏は「公民館など、業務用市場にもアピールしていきたい」と言う。また、SITのトランジスタ単体をパーツとしても自作アンプ向けに販売を検討。「秋葉原のパーツショップなどで取り扱って欲しいと考えている」(西氏)という。

「B-1a」を4台横に並べたところ。8chアンプとして動作する 天面には特徴的なデザインマークがあしらわれている SIT単品でもパーツとして販売したいという

 DACの「D-1a/b」は、米MSB TechnologyのマルチビットDACを採用するのが特徴。両モデルとも、左右チャンネルの信号を24bit ラダーDAC 2基で変換。S/N比130dBという性能を実現したという。CDの16bit/44.1kHz信号を、4倍の24bit/192kHzにアップサンプリングして処理することや、DSPフィルタのモードを変更することで音質の違いを楽しむこともできる。

 「DACアーキテクチャは1.5MHzのストリームを処理できるほど高性能で、24bit/96kHzや24bit/192kHzなどの信号も余裕を持って処理できる。MSBネットワーク(CAT5)という通信ポートも備え、8chの32bit/192kHzのデータなども同時転送可能。将来的に高サンプリングレートのデータを入力する場合でも柔軟に対応できる」(西氏)としている。そのほかの入力は同軸/光デジタル入力を各1系統備える。

DACの「D-1a/b」 米MSB TechnologyのマルチビットDACを採用するのが特徴

 ほかにもブースでは、デノンのユニバーサルプレーヤーのDSPデシメーション・フィルターを交換したプレーヤー(カスタムモデルとして販売するか否かは未定)や、プリアンプ、新開発の同軸ユニットを搭載したフロア型スピーカーなどを展示している。スピーカーについて西氏は「Project EVEREST DD66000(JBLの創立60周年記念スピーカー)を目指しているが、登山は厳しい」と、開発段階の苦悩を表現していた。

プリアンプの試作機も展示 中央が、新開発の同軸ユニットを採用したフロア型スピーカーの試作機 マルチビットSACDプレーヤーも参考展示された

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【2月22日】西和彦氏のオーディオメーカーが第1弾製品を3月発売
-ハイエンドアンプ/DAC。A&Vフェスタにも参加
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080222/ddomain.htm


■ そのほか

 丸紅インフォテックのブースでは、既発表のモデルだが、香港L&Iのデザイナーズオーディオブランド「Lars & Ivan」の製品を展示。曲面を活かしたユニークなデザインの筐体上部にiPod用クレードルを備えた真空管アンプ「PA40Ti」(実売44,800円前後)や、側面から見た際にアルファベットの「B」によく似た、独特のエンクロージャが特徴の2ウェイブックシェルフスピーカー「BoBo Speakers」(実売19,800円前後)などが来場者の注目を集める。

CUBE-S Speakers(実売34,800円前後)と、iPod用クレードルを備えた真空管アンプ「PA40Ti」 独特のエンクロージャデザインが特徴の2ウェイブックシェルフスピーカー「BoBo Speakers」。中央にあるのが参考出品されたiPod用小型デジタルアンプ「iSofa」 BoBo Speakersを横から見たところ

「iSofa」の背面。USB端子も見える

 参考出品されたのは、同ブランドのiPod用小型デジタルアンプ「iSofa」。価格や発売時期は未定。「試作機で、実際に商品化するにしても夏頃まではかかると思う」とのこと。価格は15,000円~20,000円程度を想定しているが、詳細は未定。背面にはUSB端子を備えており、クレードルとしてPCとの同期機能も検討されているようだ。

 日本電産ピジョンでは、。静電容量方式を取り入れた「MFBサーボスピーカーユニット」を搭載し、デジタルアンプを内蔵したアクティブスピーカー「ORPHEAN WB-28A」(ペア:62,790円)をデモ。このユニットをサテライトスピーカーとして小型化し、ウーファを加えたコンパクトな2.1chシステムの試作機も展示している。iPod用スピーカーやPC用卓上スピーカーとしての展開を想定しているという。

日本電産ピジョンの「ORPHEAN WB-28A」(右)。左はそのMFBサーボスピーカーユニットをサテライトに使った2.1chシステムの試作機 ブリッジ・オーディオ・ラボは、輸入販売予定のBOLZANO VILLETRIのフロア型スピーカー「BV 3005/TORRE」を展示。価格はペアで189万円 キサラギ研究所は、分割コーンを採用したフルレンジスピーカーを参考展示

「自作オーディオ自慢大会」も開催。ビール缶を筐体に使った真空管アンプや、ナルトをモチーフにしたスピーカーなど、手作りの個性的なオーディオ機器が展示され、来場者はその形状やコンセプトを楽しみながらお気に入りの1台に投票していた

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【1月29日】丸紅インフォ、iPod対応真空管アンプを2月発売
-キューブスピーカーなど「Lars & Ivan」製品を展開
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080129/minfo.htm

□A&Vフェスタ2008のホームページ
http://www.avfesta.com/
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【2007年11月6日】2月開催の「A&Vフェスタ2008」の概要を公開
-試聴/試写中心の体験型イベントとして展開
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071106/avfesta.htm
【A&Vフェスタ2006レポートリンク集】
http://av.watch.impress.co.jp/docs/link/avf2006.htm

(2008年2月23日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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