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株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、PSP-2000用のリモコン付きクレードル「PSP-S360」を4月24日に発売した。 これまでサードパーティ製でクレードルやスタンドつきスピーカーなどはあったが、純正アクセサリでは、本体を立てかけるだけの簡易スタンドがアクセサリセットに含まれているだけだった。PSP-S360はリモコンが付属することも特徴で、ワンセグやUMDビデオ視聴に利用できることもあり、AV機能を中心に試した。 ■ ビデオプレーヤーとしてPSPを活用
PSP-S360の価格は4,800円で、同日より発売されているD端子ケーブル付きのセット「PSPJ-15013」は6,500円。セットに含まれるD端子ケーブルは単体発売されているアクセサリ(2,800円)と同じで、個別に購入する場合に比べ1,100円低価格となる。 クレードルは、後述する通りテレビ出力することで全ての機能が利用でき、D端子ケーブルを持っていないなら、セットを購入することをお勧めする。今回はセットを購入して試した。 クレードルは、PSPの底面端子部と接続。側面も支える形になっている。背面に出力端子を備え、アクセサリのD端子ケーブルや、ステレオミニの外部スピーカーなどを接続可能。装着したままでも側面の電源/ホールドボタンを利用できるように切り欠きになっている。なお、PSP-S360はPSP-2000専用のため、初代PSP(PSP-1000)では利用できない。端子位置の違いから装着すること自体ができないので注意したい。
クレードル本体のボタンとしては、映像出力をPSP/外部ディスプレイのいずれかに切り替える「DISPLAY SELECT」と、PSPのイジェクトボタンのみ搭載。「DISPLAY SELECT」ボタンは、PSP本体からだと設定メニューから外部ディスプレイ設定を選んで切り替えるという操作をワンボタンで実行でき、再度押すとPSPでの表示に戻る。なお、PSPと外部ディスプレイの同時出力はできない。 装着時は端子が接続されるだけなので、本体がクレードルに固定されてはいないが、PSPを手で引っ張って外すことで液晶を傷つけたりしないように、取り外すときはイジェクトボタンを使うほうが無難。スタンド底部にはゴム足を備えており、テーブルなどに置くと、見た目よりもグリップが効いていて、滑りにくくなっている。
■ テレビも操作できるリモコンが便利
クレードル装着時の操作は主に付属のカード型リモコンを使用。PSP付属のACアダプタをクレードルに接続することで、リモコンからPSPが操作できる。リモコンには○×△□の各ボタンや十字キーに加え、PSP本体にはないENTERや再生/停止の専用ボタンも備えている。アナログパッドや無線LANのON/OFF以外の操作はリモコンでカバーできる。
なお、クレードルに給電しないとリモコンの利用や外部ディスプレイ出力は行なえないので、この製品は常にACアダプタをつないでおくものと考えたほうが戸惑いはない。 リモコンにはテレビ操作用のボタンもあり、リモコンコードを合わせることでテレビの電源や入力切替、チャンネル/音量の操作が可能。説明書によればソニー/アイワ/NEC/サムスン/三洋/シャープ/東芝/ビクター/パイオニア/日立/船井/松下/三菱製のリモコンコードに対応となっている。これらのテレビを利用しているユーザーはリモコンコードを所有のテレビに合わせておきたい。 まずは別売チューナを使ってワンセグを視聴。PSPのワンセグは上下キーでチャンネル切り替え、△ボタンでメニュー呼び出しのほか、□ボタンで番組表、Rボタンでデータ放送、といった操作があるため、リモコンのボタンを使って問題なく操作できる。ボタン配置も慣れれば問題ないが、カード型のため人によっては使いにくく感じるかもしれない。 気をつけたいのは、音量調整についてはリモコンではできないこと。テレビに出力している場合はテレビ側で調節することになるため、テレビのリモコンコードが対応していれば、2つのリモコンを手に持つ羽目にはならない。なお、クレードルに装着した状態でもPSP本体のボタン操作は有効。 テレビへ出力する以外に、ステレオミニ接続でイヤフォンやスピーカーに音声だけを出力することも可能。PSP純正のリモコン付きイヤフォンを使えば、音量調整なども行なえる。音声出力についてはクレードルにACアダプタを接続しなくても出力できる。ただし、リモコン付きイヤフォンで操作するにはAC給電が必要。
次に、UMDビデオの再生も試してみた。リモコンには再生/停止ボタンやスキップなどの表示があるため、PSP本体ボタンよりも迷いなく操作できる。DVDなどを観ているときと同様に操作でき、据え置きプレーヤーとして問題なく使えそうだ。なお、ワンセグの場合と同様に、音量調整はテレビ側で行なうか、PSP本体での操作になる。 クレードルの機能とは直接関係無いが、ワンセグはテレビに出力するとどうしてもノイズが目立つのに対し、UMDビデオはまだ鑑賞できるレベル。ゆっくり視聴するならもちろん高画質のディスクを用いることになるだろうが、例えば外出時に持ち出したドラマや映画を途中まで観て、続きをすぐ観たいときなどは、持ち帰ったPSPをそのままクレードルに挿して観られ、同時に充電もできるメリットは大きい。リモコンの操作キーを見ても、この製品が最も適しているのは、UMDビデオや、自分で変換した高画質な映像ファイルの再生といえるだろう。 そのほか、本来の用途から外れるが、テレビに出力してゲームも試した。アナログパッド以外のキーはリモコンでも使えるので、多少無理はあるが、ワイヤレスコントローラとして利用できなくは無い。スピードを必要としないパズルやアドベンチャーなどのゲームならば一応できる。ただ、アクションはさすがにイライラする。クレードルごと手に持っても操作はできるが、そんなややこしいことをするよりもD端子ケーブルをPSPに直挿しするほうが当然ながら操作しやすい。なお、説明書にもあるが、ゲーム中にスリープ状態になった場合は、リモコンで復帰することはできない。こうしたことから、改めてこのクレードルはAV用途がメインだといえる。
■ シンプルなリモコンレシーバ/充電スタンドとして
単にテレビに出力するのであればケーブルだけで事足りる。このクレードルはリモコンが使えることが最大でほとんど唯一のポイントとなっており、前述の通り、リモコンを使うには常に給電し、テレビにつないでおくことになる。ゲームだけでなく動画/音楽プレーヤーとしてもPSPを常用しているユーザーなら、外出先から帰っても引き続きPSPを使えることは魅力だろう。 ただ、テレビ周りに置く機器としては、カード型リモコンは若干頼りないとも感じる。コストの問題もあるだろうが、これは完全に据え置きの製品なのだから、もう一回り大きなサイズで持ちやすいスティック型などにしてもよかったのではとも思う。このリモコンでテレビも操作できることは便利なだけに、少し残念だ。 さらに希望を言うなら、スピーカーを内蔵してベッドサイドオーディオとして使えたらとも思う。どうせクレードルに通電するなら、PSPより出力の高い、高音質なアンプとスピーカーが内蔵されていればテレビのそば以外でも使えるだろう。 純正アクセサリとしては、わかりやすく正しい方向性ともいえるが、例えばウォークマンの録画対応クレードルのように、やや高価ながらユニークなアクセサリも存在する。今後は、さらなるバリエーションの拡大にも期待したい。
( 2008年5月2日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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