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株式会社日立製作所が発表した2007年度連結決算は、売上高が前年比9.6%増の11兆2,267億円、営業利益は89.3%増の3,455億円、税引前純利益は60.5%増の3,247億円、当期純損失はマイナス581億円の赤字となった。 そのうち薄型テレビや白物家電などを含むデジタルメディア・民生機器事業の売上高は前年並の1兆5,046億円、営業損失はマイナス1,099億円の赤字。前年の584億円の営業損失から、さらに赤字幅が拡大した格好だ。 日立製作所の中村豊明執行役専務は、「デジタルメディア・民生機器事業では、事業構造改革として460億円を計上。プロジェクションテレビ事業やコンシューマ向けPC事業の縮小、撤退といった要素も影響した。また、薄型テレビでは、大画面テレビが、北米市場を中心に、当初計画に比べて伸び悩み、価格も想定以上に早く下落した」と、同事業における赤字拡大の理由を説明した。 構造改革では、薄型テレビを中心とした海外販売体制の再構築や、低収益製品の縮小、撤退などに取り組んでいる。同社では、プロジェクションテレビやコンシューマPCなどの構造改革で150億円、テレビ事業の構造改革で370億円の合計520億円程度を構造改革費用と想定していたが、それが60億円程度少ない計算となる。 なお、2007年度のプラズマテレビの出荷台数は10%増の85万台。液晶テレビは49%増の76万台となった。 ● デジタルメディア・民生機器の黒字化は2008年度も持ち越し 一方、2008年度の業績見通しでは、売上高は前年比1.1%減の11兆1,000億円、営業利益は10.0%増の3,800億円、税引前純利益は1.6%増の3,300億円、当期純利益は400億円を掲げた。 デジタルメディア・民生機器の売上高は前年比1%増の1兆5,200億円。営業損失はマイナス350億円と、約750億円改善するもの、黒字化は持ち越しになりそうだ。 「引き続き、値下げ圧力などの影響が大きいが、構造改革費用がなくなるとともに、コスト引き下げ効果も期待される。研究所の力を導入して、日立色が出る製品を市場に投入していきたい。また、中国をはじめとする海外セットメーカーに対して、プラズマパネルの外販も開始する。すでに1社との契約が決定しており、今後、外販を拡大する方向で営業活動を強化する。外販の増加によって、パネル生産の操業度が高まることで、下期からは収益にも寄与するだろう。上期は新製品の立ち上げ費用などもあり、赤字が残ることになるだろうが、下期黒字化を達成したい」(中村執行役専務)とした。 2008年度のプラズマテレビの出荷計画は6%増の90万台。液晶テレビは58%増の120万台を予定している。「超薄型を旗艦とした、高付加価値プラズマテレビおよび液晶テレビを投入するとともに、高付加価値商品をベースとした販売体制の再構築、売価ダウンを凌駕するコスト競争力の強化を図ることで、テレビ事業の収益改善に取り組む」などとした。
□日立製作所のホームページ ( 2008年5月14日 ) [Reported by 大河原克行]
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