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NECエレ、8倍速記録対応のBDドライブ用1チップLSI
-シェア5割へ。プレーヤー向けはEMMAと融合も


SCOMBO/UM2A

6月18日発表


 NECエレクトロニクス株式会社は18日、記録/再生機能を1チップ化したBlu-ray Discドライブ用LSI「SCOMBO(エスコンボ)/UM2A」と再生に特化した「SCOMBO/UM2P」を発表。同日よりサンプル出荷を開始した。サンプル価格はUM2Aが2,000円/個、UM2Pが1,500円/個。2008年上期に月産30万個で量産開始、年度末に月産100万個まで拡大する予定。

記録対応の「SCOMBO/UM2A」と再生のみの「SCOMBO/UM2P」を用意

 SCOMBO/UM2シリーズは、光ピックアップを制御するアナログ処理回路をデジタル化し、データ変復調やエラー訂正を含むデジタル処理回路も含め、世界で初めて1チップ化。記録対応のSCOMBO/UM2Aでは、Blu-ray Disc規格で世界最高速となる8倍速での記録/再生を実現している。

 2007年3月に市場投入した「SCOMBO/UM」では、BDへの最大5倍速記録/再生に対応していたが、アナログ処理とデジタル処理の2つのLSIから構成されていた。SCOMBO/UM2では、これらを1チップ化し、実装面積を約20%、消費電力を約33%低減している。

 アナログ処理回路のデジタル化と1チップ化に伴い、光ディスク駆動装置の部品点数を大幅に削減できるため、システム全体のコストダウンが図れるという。記録/再生速度も従来の最高5倍速から、8倍速に向上。DVDの記録速度は20倍速まで向上している。

 BD記録対応のSCOMBO/UM2Aは、PC向けやBDレコーダ向けに展開。パラレルATAの「μPD63420A」と、シリアルATAの「μPD63421A」をラインナップする。製造プロセスは0.15μmのCMOSでパッケージは216ピンのLQFP。BDの8倍速記録/再生と、DVDの20倍速記録/再生、CDの48倍速記録/再生に対応する。

 再生専用のSCOMBO/UM2Pは、BDプレーヤー向けに展開、シリアルATAの「μPD63425」を用意する。製造プロセスは0.15μmのCMOSでパッケージは216ピンのLQFP。BDの5倍速再生と、DVDの12倍速再生、CDの24倍速再生に対応する。


PCレコーダ用「SCOMBO/UM2A」の特徴 BDプレーヤー用「SCOMBO/UM2P」の特徴 「SCOMBO/UM2A」を使ったBDドライブの構成


■ BDドライブ用LSIのシェア5割を目指す。EMMAとの融合も

第二SoC事業本部 新津 副事業本部長

 NECエレクトロニクス第二SoC事業本部 副事業本部長の新津茂夫氏は、同社の約4割の売上をもつSoC事業について説明した。

 デジタルAV機器向けのシステムLSI「EMMA」やSCOMBOなどを中心にSoC事業を展開しているが、「EMMAをアピールしているが、SCOMBOは縁の下の力持ち」と表現。パソコン用や民生用プレーヤー/レコーダなどで使われる光ディスクドライブの市場について2007年度はDVDが2億4,000万台、BDが350万台と圧倒的にDVDが多いものの、2010年度にはDVDが3億2,000万台、BDが7,000万台まで拡大すると予測した。

 2008年には大幅に市場が拡大しており、特にPC向けの拡大を見込んでいるという。2007年度の市場規模は350万台で、内訳はPC向けが180万台、AV向けが170万台だったが、2008年にはPCが1,000万台、AVが800万台の合計1,800万台に、2010年にはPCが4,000万台、AVが3,000万台の合計7,000万台になるという。なお、同社では記録型の製品はPCと分別しているため、レコーダ用のLSIはPC向けとして計算している。

 同社では新製品の投入により、PC向けで約2割だったシェアを4割に、AV機器市場で約6割だつたシェアを7割とし、BDドライブ用LSI全体で2008年度シェア5割を見込んでいる。また、単価の高いBD向けの拡大により、「売上ベースでは、今年度末には赤(DVD)と青(BD)が拮抗する。売上的には青へのシフトがはじまったと考えている」とした。

光ディスクドライブの市場予測 BDドライブ市場は2010年度に7,000万大規模に AV用の2008年度シェア70%。トータルでシェア5割を目指す

光ディスクドライブ用LSIメーカーも寡占化が進む

 一方で、光ディスクドライブ用のLSIメーカーはここ数年で減少しており、NECエレとMedia Tek、松下電器、ルネサステクノロジの4社に絞られている。数量シェアも4社がほぼ均等に分かれているという。

 同社では2008年5月に累計出荷1億5,000万個を達成。今回のBD用の1チップ化も、DVD用の開発リソースを活かしながら、BDに展開しているため先行できたという。例えば、BDの8倍速記録については、DVDの20倍速記録において開発した技術を導入し、高速化を実現している。

 今後は、記録対応のPC向けについては、低消費電力と小型化とともに、高速記録/再生を強化。さらに、BDプレーヤー用は機能特化し、バックエンドのシステムLSI「EMMA」への機能統合を進めていく方針。

 特に、プレーヤー向けについては、SCOMBO/UM2PとEMMAによりBDプレーヤーを構築できるため、「“ここ”を制したものが再生機を制するといっても過言ではない。ドライブだけでなく、AV向け全体でキーとなる事業だと考えている」という。

SCOMBOシリーズのロードマップ PC用とAV用のドライブ用LSIの今後の取り組み

□NECエレクトロニクスのホームページ
http://www.necel.com/index_j.html
□関連記事
【2006年10月10日】NECエレ、HD DVDとBD両対応のドライブ駆動LSIセット
-HD DVD/BDは5倍速、DVDは16倍速で記録/再生
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061010/necel.htm
【2006年12月27日】NECエレ、HD DVDプレーヤー/レコーダー向けLSI「EMMA3」
-東芝「HD-XA2/XF2」に採用。HD DVD再生機能も集積
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061227/necel.htm

( 2008年6月18日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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