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三洋電機株式会社は1日、大阪・大東市の大東事業所において、同日に発表したプロジェクタのHDワイヤレス伝送技術の投射デモを行なった。また、同事業所内にあるプロジェクタの生産ラインについても公開された。
同社は2008年度後半の商品化を目指す新技術として、プロジェクタで世界初という非圧縮HD映像の無線伝送技術を発表。実際のプロジェクタを用いた伝送デモが行なわれた。 製品としては、Blu-rayなどの再生機に接続する送信機と、プロジェクタに装着する受信機で構成。大きなホールなどでの使用を想定する。送受信機単体での販売は予定しておらず、同社プロジェクタとセットにした状態での提供を計画する。 5GHz帯を使用して、1080i/720p映像をプロジェクタに無線伝送できる技術で、複数アンテナを用いた送受信技術などにより、約1.5Gbpsの高速通信と、30mまでの通信距離を実現。物理的には4本のアンテナを使用し、独自技術でIEEE 802.11aに比べ約28倍という速度を実現。ベースとしては、イスラエルのAMIMONの無線伝送技術を使用し、プロジェクタへの搭載については同社技術で商品化のメドがついたという。
高速通信の実現により、非圧縮伝送での高画質化を実現するだけでなく、映像伝送時に圧縮を行なう場合に比べてエンコード/デコードによる映像と音声のズレを防ぐ。また、分配器などを介することなく複数台への同時配信が可能となり、2台・3台とスタックして投射する場合などでも利用できる。なお、セキュリティ保護されたコンテンツについては同時配信には対応しない。 実際に同社のホール用シネマプロジェクタ「LP-WF20」に受信ユニットを装着し、Blu-rayプレーヤーからのコンテンツを再生・伝送。同じ映像を分配して、伝送時に映像のエンコード/デコードを行なう場合と比較投射することで、非圧縮伝送では映像に遅延が無いことを示した。
■ プロジェクタ生産ラインを公開
同事業所内にあり、日産800台の生産を行なっているというプロジェクタの生産ラインを公開。国内で生産している大型・高輝度モデルにおける組み立て、検査、出荷準備までのプロセスと、効率化・正確さの追求について説明された。 主な工程としては、光学エンジンの組み立て、シャーシ組み立て、ホワイトバランスや色ムラなどの調整、衝撃テスト、1時間のエージング、画質検査を経て、梱包される。 特に正確性が求められるパネルの貼り合わせ工程では、自社開発の装置で、LCDパネルを6軸で動くマニピュレータに装着し、光源と合わせてフォーカス/コンバージェンスの調整を行なう。組み込み精度は、ホームプロジェクタのフルハイビジョンパネルで1画素8ミクロン(髪の毛の約1/10)となり、2ミクロンのズレでもはっきりした違いが生まれる。同社では、自社開発の調整器を使用し、1ミクロンのオーダーによる調整を行なっているという。また、ホコリの混入を防ぐため、HEPAフィルターと、超音波洗浄による除去や、静電気対策を施している。 また、大型モデルの特徴として、部品が700点以上、重量300kg以上となるため、台車を用いたセル生産方式を採用。機種に応じたセルの組み換えや、1台ロットでの生産も可能とするという。さらに、作業者が一人で組み立てを完結し、受注から出荷まで一日という「ワンデーものづくり」にも取り組んでいる。 そのほか、工場内には、製品を分解した部品を並べた展示ケースがあり、各部品の原価を表示。作業者がコストについて意識して作業できることを目的としている。
( 2008年8月4日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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