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ソニーは、フロントプロジェクタなどで使用するレーザー光源として、世界最高出力を実現したという赤色半導体レーザーを開発した。9月に開催される「2008年秋季第69回応用物理学会学術講演会」にて学会発表する。レーザープロジェクタの製品化時期などは未定だという。 ソニーは2005年3月に開催された日本国際博覧会(愛・地球博)において、縦10m、横50mの2005型という、超巨大スクリーン「レーザー ドリームシアター」を出展。レーザーを光源としたフロントプロジェクションシステム「GxL」を用いて、映像を投写した。 R/G/Bのレーザーから発せられた光を、それぞれに対応したGxL素子で制御。3つの光を合成することで映像を投写するというもの。光源に色純度に優れたレーザーを使うことで、色鮮やかな色彩表現を可能にしていた。 今回開発されたのは、赤色レーザーを生み出す赤色半導体。愛・地球博で使われた波長645nmのレーザーと比べ、視感度が高い波長635nmとすることで、従来比約1.6倍の輝度を実現したという。
長さ10mm、エミッタ数25個というアレイ構造の半導体チップを、銅製ヒートシンクに結合。レーザー構造の中の活性層薄膜の均一性を向上させたほか、クラッド層材料であるアルミニウムインジウムリン(AlInP)の高純度化と、p型伝導を得るためのマグネシウムドーピングの濃度コントロールを強化した結果、レーザーの発振開始電流が低減。レーザー発振の性能向上を実現したという。
また、レーザーアレイとヒートシンクの接合に新しい実装技術を導入、ヒートシンクへの排熱効率を向上させたほか、レーザーアレイの実装位置精度も向上。レーザー光の光学部品への光の結合効率も向上した。その結果、光出力は7.2W、エネルギー変換効率23%、動作温度25度を達成。プロジェクタに組み込む際の熱/光学設計も容易になるとしている。
□ソニーのホームページ
(2008年8月21日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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