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東芝は液晶テレビ「REGZA」シリーズや、DVDレコーダ「VARDIA」、AVノートPC「Qosmio」などを中心にブース展開。REGZAの“立てかけ”モデルやCell TVなど数多くの技術展示も行なわれており、注目を集めている。 また、半導体関連のブースでは、SpursEngineを搭載したPCI Expressカードをリードテックが出展している。 ■ “立てかけ”REGZAやエコREGZAを展示
液晶テレビ「REGZAシリーズ」の展示は、ZH7000/Z7000/FH7000など最新モデルが中心で、超解像技術のデモなども人気を集めている。 参考出品モデルとして、液晶テレビ「REGZA」の“立てかけ”モデルを出展している。52型/1,920×1,080ドットの薄型液晶モジュールを採用し薄型化しただけでなく、デジタルチューナなどの関連機能を内蔵し、壁に立てかけるように設置できる液晶テレビ。従来のデスクトップスタンド型と比べると、約3割の設置スペース削減が可能という。 本体前面はガラス素材を配して高級感を演出。「奥行き感」にこだわったデザインを採用しているという。参考展示機だが、チューナだけでなく録画機能もなども内蔵。64GBのSSDを内蔵しており、デモ用の映像もSSDから出力している。 あくまで参考出展段階だが、「薄型では東芝は最後発。なので新しい変わったことを提案していきたい(東芝デジタルメディアネットワーク社 テレビ事業部 日本部 参事の本村裕史氏)」とし、製品化についても前向きに検討しているという。
また、もうひとつの参考展示モデルとして消費電力を低減した32/37/42型のREGZAも出展している。 バックライトからの透過光を効率的に通すことができるという新開発の高効率光学フィルムを採用したことで、バックライトの輝度を抑制。32型で従来モデル比で約34%、37/42型でそれぞれ約24%の消費電力低減が図れるという。ボディデザインなどは変更されるが、同技術を搭載したREGZAを2009年に発売予定としている。 ネットワーク機能では、ひかりTV対応などをデモ。さらに、Yahoo! JAPANの動画配信サービス「Yahoo!動画」がデジタルテレビに対応。REGZAでYahoo!動画を再生するデモも行なわれている。 IPTVフォーラムの規格をベースとしながら、リモコンでの操作をしやすいようにYahoo!動画のUI改善などを図っている。例えば、リモコンの10キーで番組を選択可能とするなど、デジタルテレビでの操作性を高めている。また、お気に入りの動画を登録するMYチャンネル機能なども搭載予定。実現の時期やコーデックなどは未定だが、Yahoo!では今後各メーカーと協議して実現を目指していくという。
■ Cell TVで超解像“熟成”。Wireless HDのデモも
2009年に発売予定の「Cell TV」のデモも実施している。9月18日の新REGZA発表会のデモと基本的には共通で、東芝ブース中央で実施。人気を集めている。 Cell Broadband EngineをAV処理に利用し、超解像や、地デジの8ch同時表示など、高い映像処理能力をアピールした。 REGZAでも採用された超解像技術「レゾリュースションプラス」により、リアルタイムでの映像アップコンバート処理だけでなく、Cellの演算量を使って、長時間をかけてより高画質化を図る「熟成」映像のデモも行なっている。
東芝の超解像技術では、元映像から生成した仮の高解像度画像と、独自アルゴリズムで同画像から再び低解像度化した映像を照合し、その差分を検出して、高解像度画像に補正をかけて画質の向上を図る。この差分検出/補正の回数は超解像搭載REGZAでは一回だけだが、Cellテレビでは「一晩」など、より時間をかけて、検出精度を細かく補正回数を多くし、さらに高画質な映像を生成できるという。デモの映像がどれくらいの時間をかけて生成したものかは明らかにしていない。 その熟成映像の表示に加え、シーン別のサムネイルを色分けし、簡単に検索可能にする技術や、8chのテレビ映像同時表示/チューナ高速切り替えのデモも行なっている。
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さらにブース中央のステージでは、Wireless HD技術を使った「デジタルホーム」のデモンストレーションを行なっている。 12面体のメディアサーバーや液晶テレビ、ノートPCなどをWireless HDを使って連携するというもの。テレビでサーバー内のコンテンツを視聴できるほか、携帯電話をテレビにかざし、「TransferJETのような技術(デモの説明より)」でテレビからサーバーに伝送して蓄積。サーバーを介して、パソコンのSDカードスロットから書き出して持ち出すなどの利用が可能という。 さらに、家庭内のAV、PC、ネットワークコンテンツをシームレスに扱うことを目的としたUI「関連ナビ」により、関連するコンテンツをメディアの種類や保存先の機器を問わず、検索して出力できる。これらのワイヤレスホームネットワークを東芝の次世代のAV機器像として提案している。
■ SpursEngine搭載PCI Expressカードは3万円台 東芝のデジタルプロダクツ関連ブースは、大手電機メーカーなどが集まる「ホール3」にあるが、半導体やデバイス関連についてはデバイスメーカーなどが多い「ホール8」にブースを構えている。 NANDフラッシュメモリや燃料電池などに加え、メディアプロセッサ「SpursEngine」についても大きなコーナーを設けて、展示している。
SpursEngineは、PLAYSTATION 3に搭載されているプロセッサ「Cell」のアーキテクチャを継承しながら、民生用AV機器向けの機能を強化。4個のSPE(1.5GHz)のほか、ハードウェアのMPEG-2、MPEG-4 AVC/H.264デコーダを搭載している。 このSpursEngineを搭載したMPEG-2/MPEG-4 AVCエンコード/トランスコードカード「WinFast PxVC1100」をリードテックが展示している。PCI Express x1接続のデスクトップPC用エンコード支援カードと呼べるもので、バンドルソフトのCorel「DVD MovieWriter」を利用した、HD/SD解像度のMPEG-4 AVC映像のリアルタイムエンコードに対応する。 さらに、再生ソフトの「WinDVD」で、SpursEngineのミドルウェアで提供されている超解像アルゴリズムを利用した、アップコンバートも可能となっている。PxVC1000は10月下旬の発売を予定しており、価格は3万円台の見込み。 なお、SpursEngineではビデオのエンコード/デコードライブラリが、開発メーカー向けに東芝から提供されるが、オーディオ用ライブラリは含まれていないという。そのため、CRI・ミドルウェアでは、SpursEngine用のオーディオライブラリ「CRI for sofdec」を開発。WinFast PxVC1100では同ライブラリを利用しているという。現在sofdecの対応音声形式は独自形式となっているが、今後オーディオ形式としてAACを、システムストリームとしてMP4をサポート予定としている。
同ブースでは、カノープス(10月1日よりトムソンカノープス)のAVC/MPEG-2変換カード「FIRECODER Blu」も展示されている。9月12日に製品発表が行なわれているが、同カードもSpursEngineを搭載している。 PCI Express接続のカードで、AVCHDからMPEG-2への変換を実時間の1/4~1/5で行なえる。AVIやMPEG-2、AVCHDからの変換や、AVCからHDVへの変換なども可能となっている。発売は未定だが、まもなく発表する予定。また、2009年の早い段階で、同社の編集ソフト「EDIUS」に対応。EDIUSにおけるビデオ編集/出力時にSpursEngineを利用することで、CPU負荷率の低減と作業効率の向上が見込めるという。
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( 2008年9月30日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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