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■ テレビ関連技術
各社がLEDバックライトを採用した液晶ディスプレイを展示しているが、ビクターブースでもLEDバックライトモデルが参考展示されている。エリア駆動技術を導入することで、コントラスト比100万:1や、低消費電力を実現。LEDの色純度の高さを活かし、NTSC比126%の鮮やかな色再現も実現したという。倍速駆動にも対応しており、応答速度は5ms以下。
同社は従来のイベントでもLEDバックライトモデルを展示していたが、今回のCEATECでは42型から47型へ、展示モデルのサイズがアップ。LEDは1,152個搭載しているという。最薄部は41.5mm。薄さを強調するデザインも特徴だという。なお、シャープではLEDを下向きに配置して導光板で発光の向きを変えているが、ビクターは直下型。「導光板を使うと薄型化はできるが、輝度が落ちたり重量が重くなる問題もある。直下型で41.5mmを実現しているところが特徴」だという。
製品化の時期は未定であり、同社は日本市場におけるテレビ事業を縮小させているが、力を入れている欧州市場向けのハイエンドモデルに搭載する予定だという。 薄型化によるデザイン性の向上も図っており、ブースにはウッドコーンユニットを搭載した細身のスピーカーと、デザイン性に優れたBDレコーダ内蔵チューナユニットと組み合わせたスリムなワイヤレス液晶テレビの参考展示も行なわれていた。なお、BDレコーダ兼センターユニットとディスプレイはワイヤレス接続のイメージだが、展示の試作機ではポールの中で有線接続されている。
さらに、42V型で薄さ39mmの液晶テレビや、北米向けに出荷済みで人気が高いという、iPod用Dock付の液晶テレビも展示されている。
技術展示では、2D映像を軽い処理でリアルタイムに3D化できる技術を参考出展。480i/p、720p、1080i/pに対応できる技術で、映像の数ラインごとに処理を行なっている。具体的には、テレビの向こう側に向かって、半円球が存在すると仮定。その半円球の内側に、“青い空ならば上側の奥の方”、“緑の芝生なら下側の手前の方”など、色情報をもとに“配置する色の奥行き”を決定。それをもとに3D表示するというもの。デモでは偏光フィルム「X-pol」を画面に貼り付け、偶数/奇数ラインで左右の眼用の映像を振り分け、専用メガネを介して見る方式を採用している。 色情報のみで奥行きを決めているため、例えば空のように青い湖が手前にあった場合、奥のほうに配置されてしまうこともある。しかし「強い違和感を感じることはない」という。数ライン分の映像を処理していくことで実現できるため、処理が軽く、テレビへの内蔵やビデオカメラへの搭載も想定。ライセンスビジネスも実施していく予定。
高画質化技術としては、同社独自の「GENESSA PREMIUM」の最新版「GENESSA PREMIUM II」を参考展示。従来の技術に「i-Shadow」と呼ばれる精細感/コントラスト感を向上させる技術をプラスさせたもの。通常の精細感向上技術は、映像の周波数成分の高い部分を輪郭と判断して強調するが、「i-Shadow」ではその情報をもとに映像のなかの“物体”を判断して処理を行なうという。また、輝度差が少なく、従来は強調されない部分に対しても、輝度差を広げて検出。全体としてコントラスト感が向上している。今後の欧州向けテレビに搭載される予定。 ほかにも、秒間60コマの映像に対し、2コマの画像を予測/生成して挿入するすることで、180Hz駆動を実現する液晶テレビ向け技術も展示された。
■ ビデオカメラ関連 ビデオカメラ関連では、次世代Everioのコンセプトモデルが展示されていた。2009年前半の発売を想定に開発が進められており、コンパクトなボディが特徴。詳細は明らかになっていないが、ボディに「SDHC」や「AVCHD」のロゴマークがプリントされていることから、SDカードスロットを備え、AVCHD形式で撮影が可能なようだ。フルHDでの撮影もサポートするとのこと。 従来のEverioはどちらかというと、家族旅行や運動会などで利用するイメージだったが、コンセプトモデルは細身でブラックな筐体を採用。「30代の男性をメインユーザーに想定しており、ビジネスや趣味の撮影での使用も想定している」という。コンセプトモデルは横型と縦型の2種類を展示しているが、実際の商品がどちらに近いスタイルになるかは未定。「来場者の意見も取り入れながら、開発を進めたい」という。 現行Everio用の新アクセサリとして、マリンケース「WR-MG200」も新登場。水深40mまで耐えられるという本格派で、価格は92,400円。
■ オーディオ関連 ピュアオーディオ用アンプとして参考展示されたのは、A&Vフェスタ2008にも展示された2chのデジタルアンプ。同社のデジタルアンプ「DEUS」は、LPF通過後の信号をPWM変調前へアナログでフィードバックすることで、変換誤差やスイッチング歪みなどを低減する技術だが、新開発のアンプでは、余裕のある高効率大電力でありながら、音質を最優先させたという最新の電源システムを投入。デジタル特有の歪みが無く、アナログA級アンプのような直線で、歪みの少ない出力波形が得られるのが特徴だという。 出力は200W×2ch。同社アンプのハイエンドモデルと位置付けられ、「開発は80%程度完了している」という。発売時期や価格は未定。「100万円は越えないイメージ」だという。試聴室では、マグネシウム採用の新スピーカー「SX-M7/M3」と組み合わせたデモも実施されている。
また、10月上旬より発売する、ウッドコーンスピーカーを採用した高級ミニコンポの新モデル「EX-AR3」(オープン/実売84,000円前後)も展示。されに、同モデルの限定版も参考展示された。主な仕様は同じだが、ウッドコーンユニットの振動板に、横方向の音速(伝搬速度)を高める異方性振動板を投入。コンパクトなスピーカーながら、よりワイドな音場を実現するという。ほかにも、メインユニットの天板にウッドトップベースを投入。特製ウッドボイスコイルなども投入している。価格は12万円程度になる見込みで、「年末前にはリリースしたい」という。ほかにも、ウッドコーンをテレビの内蔵スピーカーに採用したモデルも参考展示している。
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■ プロジェクタ関連 プロジェクタ関連では、新開発の8K D-ILA プロジェクタのデモが人気だ。NHKの「放送技研公開 2008」で公開されたものと同じで、解像度8,192×4,320ドットの「1.75インチ8K4K D-ILAデバイス」を搭載。2段階の変調部で構成されており、スーパーハイビジョン映像を入力前に画像処理回路で3,840×2,160ドットの色変調データに、7,680×4,320ドットの輝度データに分ける。色信号は800万画素/4,096×2,160ドットのLCOSパネルを3枚利用して表示。リレーレンズを介して、第2変調部で輝度用素子へと投写。輝度信号に対しては、7,680×4,320ドットの輝度データを8,192×4,320ドットの単版LCOSパネルに入力して表示。この2つの映像を合わせたものがスクリーンへ投写される。 人間は色信号に対しては輝度よりもアバウトなので、輝度のみ7,680×4,320ドットにすることで十分な画質を体験できるという。色信号用に800万画素デバイスを用いることで、低コスト化も実現できる。さらに、RGBの光出力を輝度用素子でさらに輝度変調させているため、黒をより暗く表示することが可能。コントラスト比は110万:1を実現。ソースの問題でデモは静止画のみだが、ほぼ“真っ暗”な黒が体験できる。ランプには2kWのキセノンを使用し、輝度は1,200ルーメン。 4Kシアターも用意されているほか、新D-ILAプロジェクタ「DLA-HD750」のデモも行なわれている。同デモコーナーでは、BDレコーダも参考展示。HDDの搭載や具体的な発売などは一切未定だという。 ほかにも、10月1日付けで共同持株会社「JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社」を設立し、経営統合するケンウッドとの協業成果とも言えるAVアンプも出展。共同で開発したというHDMI/DSPモジュールを搭載しており、ケンウッドブランドのAVアンプとしてまずは欧州で発売される。
□CEATEC JAPAN 2008のホームページ
(2008年9月30日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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